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特定建築物調査員

特定建築物調査員とは

特定建築物調査員とは、「特定建築物」を定期的に点検・検査し、特定行政庁へ報告する国家資格です。特定建築物には、学校や病院、映画館、ホテル、デパート、オフィスビルなどが該当。

これらの大型建築物が老朽化して事故や災害が発生してしまうと、多くの人の命が危険に晒されます。そこで、該当建築物の敷地構造や電気、上下水道、空調などの設備を点検し、安全性を定期的に検査するのが特定建築物調査員の仕事です。

特定建築物調査員の仕事内容

特定建築物の調査・点検

点検作業では、屋根の仕上げ材の不具合や雨漏りの原因となる劣化がないか、外部の擁壁などに亀裂やふくらみがないか、地盤沈没はないか、雨水の排水は適切かなどを確認します。また、建物内部の仕上材の劣化・破損がないか、バルコニーや階段などの避難設備は避難を妨げるような障害物が置かれていないかなどの確認も特定建築物調査員の仕事です。

建築物の点検は、規定によって3年ごとに実施することが義務付けられています。点検の結果は、各建築物の所在地を所管する地方自治体に報告する必要があります。

建築物の設備の調査・点検

設備とは、電気設備、換気設備、排煙設備、給排水設備、防火設備、避難設備などです。点検は主に目視での確認で、ひび割れや錆がないか、腐食していないか、設備は正しく作動するかなどを細かくチェックします。

建築物の設備に関する点検は、規定で1年以内ごとに実施することが義務付けられています。点検の結果は、同じく各建築物の所在地を管轄する地方自治体に報告します。

特定建築物調査員を取得するには

特定建築物調査員の資格を取得するためには、特定建築物調査員講習を受講する必要があります。受講できるのは、以下の条件のいずれかを有している場合のみとなります。

  • 大学の指定学科を卒業し、実務経験が2年以上の者
  • 3年制の短期大学の指定学科を卒業し、実務経験が3年以上の者
  • 2年制の短期大学か高等専門学校の指定学科を卒業し、実務経験が4年以上の者
  • 高校を卒業し、実務経験が7年以上の者
  • 建築に関する実務経験が11年以上の者
  • 建築行政に関する実務経験が2年以上の者
  • 火災予防業務に関し、消防吏員としての実務経験が5年以上の者
  • 甲種消防設備士としての実務経験が5年以上の者
  • 防火対象物点検資格者としての実務経験が5年以上の者
  • 上記と同等以上の知識と実務経験を有する者

特定建築物調査員の試験概要

受講内容

下記の科目を4日間にわけて講習を行い、最終日に行われる修了考査で合格すれば資格を取得することができます。

  • 特定建築物定期調査制度総論(1時間)
  • 建築学概論(5時間)
  • 建築基準法令の構成と概要(1時間)
  • 特定建築物等の維持保全(1時間)
  • 建築構造(4時間)
  • 防火・避難(6時間)
  • その他の事故防止(1時間)
  • 特定建築物等調査業務基準等(4時間)
  • 修了考査(2時間)

参照元:(一財)日本建築防災協会
(https://www.kenchiku-bosai.or.jp/workshop/tokken/annai-r5/)

合格基準

修了考査は、多肢選択式の筆記試験です。全講習科目を受講しないと修了考査は受験できません。出題30問中、20問以上の正解で合格となります。

もし修了考査が不合格であった場合、次年度に限り修了考査のみを受講することが可能です。

特定建築物調査員の合格率

合格率は比較的高く、60%ほどです。

修了考査は講習の内容をしっかり理解しているか確認するためのテストのため、講習終了後にすぐに開催されます。しっかり講義を聞き、内容を理解することができたら合格する確率が高くなるので、集中して講義を受けることが大切です。

参照元:施工管理の求人・派遣【俺の夢】
(https://www.oreyume.com/magazine/work/18277/)

特定建築物調査員の年収

特定建築物調査員の年収は平均350~450万円程度です。ただし、勤務する会社の規模や業務内容、本人の役職などによって大きく異なります。

特定建築物調査員の働き先

特定建築物調査員の主な働き先は、建築設備会社などです。不特定多数の者が利用する公共性の高い建物は年々増加しているため、多くの人の生命や安全を守るため特定建築物調査員の役割は広がっています。建築物の検査を行う会社にとっては特定建築物調査員の有資格者は必ず必要な人材であるため、持っていると非常に役立つ国家資格であると言えるでしょう。

土木・建設現場で働くうえで目指したい資格であり、資格取得によって更なるキャリアアップを目指すことができます。

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