トラブル、悪天候…でも工期を守るため
ハードワークになることも
土木施工管理技士の仕事は「きつい」「つらい」という声をよく聞きます。つらさの原因、辞める理由として最も多く挙げられるのは仕事量の多さ。工事現場ではさまざまな管理業務に加えて、書類整理も発生するためその仕事量は決して少なくありません。
大規模な公共事業では各種の届け出や官公庁との折衝も必要となり、現場以外での業務も増えてきます。かといって現場管理をおろそかにしてしまうと、スムーズに進まないばかりかトラブルの原因となり、ますます仕事が増える悪循環のパターンも。トラブルが発生すると工期が延びてしまうため、工事を期日までに納めようと現場もハードワークになります。休日返上で遅れを取り戻すということも少なくありません。
もちろん、トラブルだけでなく、天候不良などによる影響も少なくありません。
「きつい」「つらい」は、どの程度なのか? 土木施工管理の仕事をしている方々の「心の叫び」を確認すべく、口コミサイトを覗いてみました。
20歳・男性
現場が動き出すととにかく融通が利かない。仕事の種類が多い。基本的に日曜以外出勤。土曜も祝日もすべてないものとして扱われます。そしてずーっと仕事に追われ続けながら検査を迎えます。段取りがうまく出来る人でもおそらく最後の方では休日出勤と残業に追い込まれるでしょう。
『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/jobPerma/l1060/18857/)
現場は土曜日も動いていることが多く、管理者としてどうしても土曜日は出勤になってしまいがち。工事終盤では管理業務と書類整理も増えるため、仕事量も厳しくなってくるようです。
26歳・男性
人の管理、書類の管理。書ききれない。
他の職に比べ自由度が高い。しかし仕事量が死ぬほど多い。
『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/jobPerma/l1060/17682/)
現場に出て作業員をまとめつつ、事務所での書類管理も発生するのが施工管理の仕事。どちらもないがしろにできないため、しっかり現場を管理しようとすると仕事量も増加してしまうようです。
28歳・男性
国の工事だと設計変更の書類をつくるのが大変。膨大な安全書類の作成と役所の調査(間接税等)で時間をとられて帰れない。仕様書に定めのない写真(不可視部分)等大量に撮っておかないと検定のとき困る。
『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/jobPerma/l1060/17033/)
国レベルの公共事業では、書類作成の量が増えるためどうしても仕事量が増えてしまうようです。随時提出する書類用の写真撮影など、現場での業務が増えるのも仕事量の増加につながっています。
37歳・男性
中小の施工管理は原価、安全、施工、役所地元対応全てこなさなくてはならない。人材が全く足りていないのでリストラの概念がない(笑)よって安定性は◎
きつい、きたない、危険、給料安い、休暇が無い、希望が無い。大手以外は若い人材が全くいない、上の人達は次々と引退されていくので年々仕事量が増加中、でも給料はかわらないので割りに全くあわない。
『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/job/l1060/)
28歳・男性
暇なときは本当に暇であり、タバコを吸う時間もある。
長時間労働は当たり前。(暇なときでも1日13時間は働く)
その割に給料は安く、繁忙期ともなれば、怒涛の忙しさ。事務所に泊まり込みで業務を行うことに。日曜日すら休みでないこともしばしば。『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/job/l1060/3/)
40歳・男性
工程・品質・出来形・写真・安全・労務・機械・下請・原価・資材管理。
それに付け加え人員不足ならスコップ持って作業員やら運転手。
『honne.biz』より抜粋(https://honne.biz/job/l1060/2/)
ある大手建設業メディアのwebサイトで2018年に実施されたアンケートによると、建設現場で働く労働者のうち、約7割もの人々が、「週休2日を取ることは困難である」と回答しています。
かねてより、建設業界の労働時間は、その他の業界の労働時間よりも大幅に長いことが判明しています。建設工事に関わる労働者全体の休日取得を調べても、そのうちの約64%が「4週4休」以下で働いている、ということが明らかになっています。「働き方改革」が叫ばれている昨今、国土交通省も「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定して取り組みを進めていますが、土木施工管理技士が働く業界では、その実現にはまだまだ長い道のりとなっています。
現実問題として、建設現場では「週休2日」制はなかなか浸透できていません。これにより人手不足、とりわけ、若手就労者の減少が進んでいることも危機感をもって考えられています。そこで政府や地方自治体また民間企業が、官民一体となって改善に取り組もうとしています。建築業界における「週休2日」制の推進は、まさにその一環なのです。
アンケートの詳細をみてみると、現場の労働者が置かれているのは、「週休2日は必要だが、実現することが難しい」と考えている状態です。
同アンケートでは、「建設現場で週休2日制は実現可能と思うか?」という質問に対して、「実現が可能」と回答したのは約30%に留まっています。反対に「実現は不可能」と回答した人も約30%で、「実現は困難だが、実現はぜひともやらなければならない」と回答した人を含めると、全体の約70%の人が「週休2日制は困難」と考えていることがわかったのです。
「週休2日制は困難」と考えられている理由は、どのようなものがあるのでしょうか?
同アンケートでは、建設現場を週休2日にした場合、「工期が予定通りに終わらない」と回答した人が約30%、「労働者の給与が減ってしまう」と回答した人が約25%、「現場の凝り固まった固定観念のため」が約17%、さらに「多重構造になっている下請けシステムのため」が約13%、ついで「発注先との関係性があるため」が約10%となっています。
2019年4月より働き方改革が実施され始めたことで、36協定で定められている時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。現在は、多くの企業が必要以上に従業員を残業させないように強く意識しています。
しかし、36協定は、すべての業種に適用されているわけではありません。とある理由により、適用されていない業種がいくつかあるのですが、その中のひとつが建設業です。
36協定とは、時間外や休日労働に関する協定届のことです。労働基準法の法定労働時間では、原則として「1日8時間・一週40時間以内」と定められています。法定労働時間を超えて従業員に働いてもらうには、36協定の締結が必要です。
36協定を結ぶことで、「月45時間、年360時間」までは従業員に残業してもらうことが可能となります。月45時間は、1日平均で2時間ほどです。時間外労働の上限は、基本的には超えることができません。
とはいえ、「突然業務量が増えてしまったが、予測できていなかったので人出が足りない」ような特別な事情があるときは、時間外労働の上限以上の残業が必要となるはずです。
その場合は、特別条項付36協定を結ぶことで、残業時間の上限の延長ができるようになります。延長したときの上限は「年720時間、複数月平均80時間以内で月100時間未満(休日労働も含む)・月45時間以上を超えられるのは6か月まで」です。
2019年4月に残業規制に関する改正が行われたことによって、違反者への法律による罰則が定められました。罰則は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となっています。
36協定が適用されていない業種は、建設のほかに自動車運転や開発、医師などが挙げられます。理由は、天候の影響を大きく受けたり、業務量の変化が激しかったりするからです。残業時間の規制の適用外となるので、実質的には、ほかの業界よりも多くの残業が発生しやすい環境と言えます。
しかし、働き方改革の影響で、建設業も将来的には時間外労働の罰則付き上限が適用されることが決定しています。ほとんどの業種では2019年4月に残業時間の上限に罰則が設けられた中で、建設業については5年後の2024年4月までの猶予が与えられている状態です。
建設業は、36協定が適用されていない業種ですが、労働基準監督署のことを考えて労働時間を「月80時間以内」に抑えることが常識化しています。
ただし、建設業は業務量の変化が大きかったり、人材が不足したりすることがよくある業種です。月80時間を超えるからといって、業務の途中で帰ることは可能な職場がほとんどないはずです。さらには、月80時間以上働いていても、表面上は月80時間以下に抑えているように見せているような職場も正直少なくはありません。
建設業の労働環境は、長時間労働や人手不足が問題視されていることも事実。これからの建設業は、時間外労働の罰則付き上限規制の適用が決まったことをきっかけにして、労働環境の改善に向かうことが期待されています。
厚生労働省が行なった「雇用管理現状把握実態調査」でも、若手の技術者が定着しない理由には、仕事がきつい、労働時間が長い、休めない…といった回答が得られています。
国土交通省では、若い人材を獲得し、かつ、土木離れを防ぐためにも、土木建設業の「働き方改革」を進めています。
日建協「労働時間に関する調査」2018年度版による所定外労働時間は
と高い数字ですが、2年前より徐々に残業が軽減されていることがわかります。
一方、休日については、2018年11月の例をとってみると、土曜日4回、日曜日4回、祝日1回のうち、実際に休めた割合は
全9日間の休日のうち、外勤では約7日休めているという結果となりました。
土曜日に注目してみると、2年前よりも休めている人が増えていることがわかります。
この調査の数値からも、労働時間の短縮や休日を増やす取組みは少しずつ進んでると言えるでしょう。
(参照元:「日建協時短アンケート」2018年版ダイジェスト 労働時間の現状より)
2019年4月から働き方法案が施行され、時間外労働の上限や有給休暇の取得などが制定されました。
土木建設業においても週休2日制の推進や長時間労働の抑制などが盛り込まれています。しかし、土木建設業での適用は猶予期間が設けられているため、2024年以降からとなっています。
実際、急に関係者が休みはじめても現場は回りません。業界全体が徐々に新しい働き方に慣れていくための準備期間が必要なのです。今すぐには難しくても、2024年を目途に労働環境は徐々に良くなっていくでしょう。
ゼネコンなど大手企業では育児休暇や介護休暇取得の推進など「働き方改革」に着手している会社も増えています。
そうは言っても、2024年まではまだまだ時間があります。もっと能動的に現状を打破する方法を考えてみましょう。
「仕事量と収入が見合わない」状態を抜け出す!
土木施工管理技士の資格は、土木業界で活躍するには取っておくべき資格です。
2級土木施工管理技士を取得している場合は、一般的な下請の工事現場でリーダー的立場となる主任技術者になることができます。さらに1級土木施工管理技士を取得することで、下請の主任技術者だけでなく、発注者から直接工事を請け負う「元請」の監理技術者として、より規模の大きい公共工事などの現場での活躍が可能になります。
より大きな現場で責任ある立場を任されることで、給与面にも反映されます。実際、1級土木施工管理技士の需要は高くなっており、給与面でも優遇される求人が多く見られます。
現在1級を未取得の方は、1級資格を取得することで「仕事量と収入が見合わない」という状態を抜け出す一歩になるはずです。
残業少ない、完全週休2日、
良好なワークライフバランスを手に入れる
土木施工管理技士の資格が生かされる働き方に、「発注者支援業務」があることをご存知でしょうか。
この「発注者支援業務」は、公共工事を発注する官公庁のパートナーとして発注者側の立場で行う業務で、すべての会社が行っているわけではありませんが、現状の「きつい」「つらい」という悩みを軽減できる以下のメリットがあります。
施工管理技士の仕事はきついと言われる理由について、以下、現場の声を参考に18項目にまとめました。
現場や工期によっては、早朝から深夜まで働くことが少なくありません。現場作業が終わった後に残り、翌日の段取りや様々な事務作業をこなす必要もあります。
週休1日取れれば良いほう。中には1ヶ月間、1日も休みなく働かなければならない現場もあります。
現場には空調施設などありません。また、騒音やホコリなどに終日さらされる仕事なので、長期的には体調を壊す人もいます。
わずかなミスが、取り返しのつかない事故につながることもあります。そのような事故を起こさないよう、常に緊張とストレスの中で仕事をしなければなりません。
異動や現場ごとの転勤、出張の多い職種です。毎日自宅へ帰宅できる安定的な生活は、なかなか実現しません。
非現実的な工期を言い渡される一方で、急な設計変更を指示されるなど、常に無理な要求の板挟みの中にいます。肉体はもとより、精神的なプレッシャーに耐えられません。
激務で長時間働いている一方で、給与は国民全体の平均とほぼ同じ。仕事内容に対して給料が見合っていない実感があります。
現場の労働者の中には、荒っぽい性格の人も少なくありません。現場監督に対し、暴言を吐いてくる現場作業員もいます。
現場監督でありながら、人が足りないときには自分も作業員として働かざるをえないことがあります。作業員をフォローするための様々な雑用もこなします。
若いうちは良くとも、年配になると体力が持ちません。また、家庭を持った人の中には、仕事と家庭との両立が不可能になる例も見られます。
仕事が遅くまで続くことが多いため、自宅に帰れずに、現場近くの宿舎に寝泊りすることも少なくありません。
現場は男性が中心の社会なので、女性に配慮した環境は、あまり期待できません。具体的には、女性専用のトイレの設置などです。仕事で疲れている中、無理に飲み会に誘われたりすることもあります。平然と下ネタが飛び交う現場もあるようです。
土木や建築は天候に左右されやすい業種です。中には雨が降ると実施できない作業もあるため、中止しなければならないこともあります。それでも工期は守らねばならず、スケジュールを調整するために残業や休日を返上して業務を進めることもあるでしょう。また、雨天時はスケジュールを変更して、雨が降っていてもできる作業を行うかもしれません。その時には、計画の変更や報告を行います。
天候だけでなく、夏は暑く冬は凍えるような寒さの中で作業をすることも。天候などは自分でコントロールできないため、余裕を持って上手く付き合っていくしかありません。ただどんな場合でも工期は絶対に守らなければならないので、遅れがある時にどのように現場を動かすかという重要な局面で、手腕が試されます。これらも土木施工管理技士の仕事の大変な部分です。
一般の土木作業員の仕事もハードだと言われますが、土木施工管理技士は一般の土木作業員の仕事に加え責任者としての役割を担っています。そのため、仕事量はどうしても増えてしまいます。休みは日曜日のみということがほとんどで、作業の進み具合などを見て休日を返上して業務を行うこともあるのです。なかには寝袋を持参して寝泊まりをすることもあります。また連休も取りにくく、プライベートな予定を立てにくい仕事でもあるでしょう。さらに地方でのプロジェクトが長期に渡れば、なかなか家に帰ることができず、大切な人と過ごせないなどの悩みも抱えやすいです。
現場の規模が大きくなるほど、役所などに提出する書類の数が増えるので、現場をコントロールしつつ書類作成に尽力しなければなりません。事務所に居られる時間は限られているため、帰宅時間が深夜になる日が続くこともあります。
建設工事の責任者として現場に常駐する施工管理技士は、年々減少傾向にあります。その理由は実に単純で、各施工管理技士の有資格者の増加ペースが、高齢化にともなう現有資格者の引退や他産業への転職などによる減少ペースに追いついていないからです。そのため資格を有している人は転職の際にかなり有利になりますが、「20代の土木施工管理技士の姿を見たことが無い」と言われるほど若い人の有資格者が不足しています。
ただ土木施工管理技士は、「居ないから仕方ない」と言えるようなものではありません。彼らが居なければ現場を動かせないため、施工管理技士の不足は深刻な問題となっています。もちろん有資格者が不足していても、現場は回さなければなりません。それに伴い現役の土木施工管理技士1人あたりの負担は増え、非常に忙しくなるのです。
施工管理技士の仕事量はとても多いのが現状です。その原因は、現場仕事ゆえに様々な予定外の対応が求められることもありますが、書類等でいまだに紙を使った仕事をしているためでもあります。
多くの業界では、ICTなどを積極的に活用することでシステムによる業務の自動化が大幅に実現していますが、建設現場ではまだそれが進んでいません。
施工管理技士は、建設現場における雑用が多い立場にあります。業務全体のなかでもそれなりの時間を、様々な雑用に割くことになります。
施工管理は、現場全体を回すために必要な業務です。そのため、職人が仕事を行いやすいように飲み物を準備したり、近隣への説明や挨拶を行ったり、現場を清潔に清掃したりしなければなりません。また、施工現場の記録写真の撮影といった業務も含まれてきます。
現場仕事は外作業ということになりますから、夏は酷暑、冬は極寒と、それぞれの季節ごとに過酷な仕事環境におかれることも避けることができません。
夏の建設現場で過酷なのが、作業着。現場では落下物や転倒の危険があるため、身体を防護できる服装が求められます。生地が丈夫であることは良いのですが、その反面、通気性が悪く、夏場の炎天下になると、作業着の内部は高温になります。
冬場になれば、屋外での作業であるため暖房器具はありません。かなりの寒さに襲われるため、体調を崩すことも珍しくないのです。
施工管理技士の仕事は、サービス残業が多いという現状があります。これは、残業規定を「みなし残業」や「固定残業」にしている建設企業が少なくないためです。
これは、建設業に「36協定」が適用されないため、残業しようとすればいくらでもできてしまう、という業界事情も影響しています。つまり、残業代を真面目に設定すると労働者に無限に残業代を支払うことになりかねないため、企業は「固定残業」や「みなし残業」をとり、残業代の上限を設けているのです。
しかしこれは、労働者側からすれば、一定の残業以上の残業を行うと「サービス残業」、言い換えれば、タダ働きをしてしまいかねないことになります。納期のためにどうしても作業をしなければならないとなれば避けられず、このため給与を労働時間で割れば、かなりの薄給になってしまいます。
施工管理技士は、現場工事の責任者であるため、ミスが発生した場合、重い責任を問われることになります。
建設現場では、ミスは命取りになりかねませんし、企業の信用そのものを落としてしまう可能性もあります。責任は始末書などでは済まず、降格や減給といった処分にも及びます。
現場仕事を行なっている労働者のなかには、きれいにトイレを使ってくれない人もいます。「荒っぽい」、「清潔であることを気にしない」といった性格面も関係しているでしょう。しかし、施工管理技士であれば、こういった方とも接しなければなりません。
そういった人たちのなかには、いわゆる下ネタを仕事中に平気で言ってしまう人もいます。建設業界がまだまだ男社会ということも、下ネタをのさばらせてしまっています。
また現場仕事は、職人さんや取引業者、請負業者など、様々な立場の人がおり、旧来の仕事関係の作り方が残っているためか、多くの飲み会を避けることができないものです。
翌朝の現場が早朝からある場合は、夜中の飲み会は消耗します。
社会全体の流れにあわせるように、建設業界でもAIやICTといった先端技術の導入が進んでいます。こうした画期的な技術革新は、人材不足をはじめとする建設業界の激務を解消してくれるのでしょうか?
建設業界のAI・ICT技術の導入について、国土交通省は「i-Construction」というプロジェクトを推進しています。建設業界の労働現場に、AIやロボット、自動化システムなどを導入することで、それらが人間に代わって作業を行います。正確な数値やデータに沿った作業が求められる建設現場は、AIとの相性が良いということも、理由のひとつです。
AIロボット導入をはじめとした「i-Construction」が実現されることで、建設業界における人材不足の解消、働き方改革の進展、生産性の飛躍的な向上、女性や高齢者を含めた新しい業界参入者の参入など、建設業界そのものが変わってゆく可能性があります。
「情報通信技術」を意味するICTは、無人施工が可能なロボット、現場管理を行うドローン、設計書や工期計画といった事業計画の策定をサポートするAIの開発、BIMやCIMによる効率化など、建設現場も含めて、業界の労働環境を大きく変えていく可能性があります。
実際に土木建設の現場では、これまで人間が歩いて実施していた計測を、ドローンが空撮したデータを元に3D測量を実施する事例が始まっています。人間が3人がかりで2週間かけて行なっていた測量をドローンがわずか1日で実施したり、建物の点検を足場などを組むことなく簡単に行えたり。AI技術が進展すれば、ドローンを操縦する人間も必要ありません。AIが自動的に操縦を行うからです。ゆくゆくは、現場の人間にAIドローンが業務指示を行なっているようになっているかもしれません。
AI技術の導入によって実現できることは、現場の人材不足の解消だけではありません。人間がやることで時間がかかっている作業をAIはより短時間で行うことができますし、人的なミスが発生しかねない業務でも、すべて正確に行われるようになります。つまり、AI技術は、建設現場の正確性・生産性の向上に役立つのです。国は「i-Construction」の実現によって、2025年までに生産性の20%向上を目標にできるとしています。
実際に、大手ゼネコンでもAI開発は進んでいます。例えば、清水建設では、資材の搬送や鉄骨中の溶接、天井・床材の施工などを行うAIロボットの開発を行っていますし、竹中工務店では構造設計を行うAIの開発も進めています。技術革新が進めば、建設現場の働き方改革も進むでしょう。
発注者支援業務で評判!
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転職先を考える場合には、少しでも今までの経験を活かせる職種を探したほうが有利です。以下、施工管理技士としての経験を活かせる仕事を見てみましょう。
ハウスメーカーや建設会社などの営業職に就いている人材が、かならずしも建設に詳しいとは限りません。それに対して施工管理技士の経験がある人材であれば、建築物の設計から施工、完成までの大きな流れを体で熟知しています。取引先に対する営業において、非常に説得力のあるプレゼンを行うことができるでしょう。
建築現場とは異なるため、決算等の一時期を除いて、無理な残業を強いられることはほとんどありません。
施工管理技士であれば、住宅設備や資材に関する知識も豊富なはずです。現場で養った豊富な知識は、ペーパーだけで勉強した文系営業マンのそれよりも貴重。営業職として大いに活躍できるとの期待から、厚遇をもって迎えられる可能性があるでしょう。
営業職である以上、一定の納期内でのノルマに近い設定はあるかもしれませんが、建築現場ほどのプレッシャーはありません。深夜まで仕事が押して帰宅できなくなるということも、通常はありません。
施工管理技士として働いている時期、具体的にどのような経験を蓄積してきたかにもよりますが、多くの場合は建造物の設備管理・保守に関連する知識にも精通しているのではなでしょうか?
不動産物件の管理会社における設備管理業務や保守業務において、施工管理技士としての専門的な経験を活かせる可能性があるでしょう。
施工管理技士は建物や土地の点検業務を多く経験していることから、土木の関連分野たる道路公団の保守・点検業務なども、スムーズに行うことができるでしょう。建築業界とはやや分野が異なるものの、必要とされる専門知識や技術には重複している部分が多くあります。
施工管理技士としての経験と専門性を活かし、構造物の設計部門へと移籍する人もいるようです。また、パソコン操作の得意な施工管理技士の中には、建築や土木に関連するCADオペレータ―に転じる人もいます。
施工管理技士の経験に加え、ある程度のCADの操作経験とofficeの基本知識があれば、会社によっては即戦力として採用される可能性があります。
土木や建設を専門にした技術職の公務員に転職することも可能です。「理系公務員」などと呼ばれることもあります。
技術職公務員に要求される能力は、まさに技術一本。よって事務系に比べると、中途採用における年齢制限も緩めです。中には「民間企業における技術職を13年以上経験した者」など、民間でのキャリアが長くなければ応募できない求人もあるほどです。
発注者支援業務とは、国や地方公共団体からの公共事業の発注業務を支援する仕事のこと。民間企業でありながら官公庁の中にワークスペースを持ち、公共事業に関わる公務員の仕事を専門的な立場からサポートする仕事です。業種としては建設コンサルタントに属します。
公務員の動きに歩調を合わせながらやる仕事だからこそ、サービス残業や無理な休日出勤などはほとんどなし。現場仕事がきついと感じている多くの施工管理技士にとっては、希望が叶う理想的な転職先となるかもしれません。
本サイトの監修・取材協力企業である株式会社ティーネットジャパンは、 この「発注者支援業務」を強みとしています。
現場の施工管理業務は、日中は現場の管理、夜は書類作成に時間を費やすことが大半のため、拘束時間が多くなる傾向があります。
また、工期内竣工が必須の中、現物現地生産が業務の特性上、当初予定していた工法等の変更による仕事量の増加、また関係機関との協議遅延や天候不良による工程遅延等の影響を受け、仕事量が増加する傾向があります。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。