開削トンネル工法はトンネルを作るための施工法の1つであり、地下鉄や地下街といった比較的浅い部分でトンネルを掘る場合に用いられます。このページでは、土木施工管理技士として知っておくべき開削トンネル工法についてまとめました。
開削トンネル工法は、最初にトンネルを構築したい部位の地面を掘り返して、地上から地中へ溝を作るように地面を掘削します。そしてその後にトンネルの壁など構造物を設置してトンネルを構築し、最後に改めて掘り返した部分を土で埋め直して地下トンネルを作る工法です。
地面を掘ってから作業を行い、再び埋め戻すという特性上、開削トンネル工法は比較的浅い部分にトンネルを作る場合に用いられます。たとえば地下鉄や地下街といった空間を作るために利用されます。
開削トンネル工法の工事の流れは大きく分けて以下の4つのパートで構成されます。
杭打ちはトンネルを構築するための土地へ杭を打ち、地盤を補強すると同時にトンネルとして掘り進めるべきルートを決める工程です。
杭打ちはポイントごとに杭を打つのでなく、トンネルのルートへ地盤が崩落してこないよう両脇の地盤をカバーするように杭壁を設置していきます。杭打ち作業が完了すると、続いて地面を掘り返す掘削作業に進みます。
杭打ちを行った間にある部分の地面を掘り返して、エリアに溝を掘る工程です。開削トンネル工法ではこの掘削作業によって設けられた空間にトンネルが設置されるため、トンネルと同じ長さや範囲で掘削が行われます。なお大量の土砂が発生しますが、その一部は最後の埋め戻しや復旧工事に利用されることもポイントです。
十分な空間の掘削が行われると、改めて両脇の地盤が崩落してこないように杭壁の間へ支持構造を設置し、土の圧力などによって杭壁が崩れないよう支えます。これを「支保工」と呼びます。
支保工によって空間の強度と安全な作業環境が整えられた後、トンネルの壁を構築していく流れへと進んでいくことが重要です。
支保工によって設置された支持構造物の下部へトンネルとなる筒状構造物を設置する工程です。
なお、開削トンネル工法のトンネルにおいて、最初の杭打ち工程で設置された杭壁はあくまでも地盤補強をするためのものであり、トンネルそのものは単独の構造体として建設されることもポイントになります。そのためトンネル設置後はその外側に杭壁が残ることになります。
トンネルの設置が完了すれば、掘り返していた地面を埋め戻してトンネル構造を地中へ埋没させ、トンネルの完成という流れです。
なお、開削トンネル工法は地下鉄や地下街といったものを作るために利用されやすく、言い換えれば地上部分には商業施設や公共インフラなどが設置されることも重要です。つまり、この埋め戻し工事が厳正に行われなければ将来的に地盤沈下や崩落といったリスクが生じるため、十分な強度を担保できるように埋め戻しが行われます。
その後、地表の状態を復旧させる舗装工事などが行われ、トンネル工事の完了となります。
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