このページでは、金属板に深い溝を掘る「ガウジング工法」について解説しています。おもな2つの手法、施工時のコツやおさえておくべき注意点などにもあわせてみていきいましょう。
ガウジング工法とは、金属板を溶接したあとに欠陥部を取り除いたり、あるいは、金属板同士を突き合わせておこなう「突き合わせ溶接」をするためなどに採用される方法のことです。突き合わせ溶接を簡単にできる工法として知られています。
ガウジング工法には、次のような2種類の代表的な方法があります。それぞれの方法の特徴についてもまとめました。
カーボンと母材との間にアークを発生させて金属を溶融させる手法のことを、エアカーボンアークガウジング法と呼びます。金属の溶融と同じタイミングでハイスピードな空気噴流がカーボンに沿って起こります。この仕組みにより、溶融した金属を除去できるわけです。
ステンレスにも使用できるので便利ですし、しかも金属母材へのダメージをおさえやすい点も、大きなメリットだといえるでしょう。また、かつての手法であった「チッピング法」や「ガスフレーム法」などよりも、より効率よく作業を進められるようになるところも、注目ポイントです。
プラズマアークガウジング法は、移行式プラズマアーク方式を使う工法であるという点においては、プラズマ切断と同じです。ちなみに、「プラズマアーク」とは高密度・高温・高運動のエネルギーを意味する言葉です。
大きな特徴としては、作業の自動化が可能であることが挙げられます。エアカーボンアークガウジング法と異なり、火花・粉じんが発生したり大きな音がするなどの問題を解できるメリットの多い工法で、以前よりよりメジャーな工法になりつつあります。
ガウジング施工に際して確認しておくべき主なポイントは次の4つです。
実施するときには速度をしっかりと確認する必要があります。速度によって、溝のサイズに変化が出るからです。速度が遅ければ遅いほど溝は大きくなります。反対に、速度が速ければ速いほど、溝は小さくなります。なお、横向き姿勢ガウジングにおける施工の基本条件についてですが、速度は分速1mとなります。
実施する際ときに確認が必要なのは、速度だけではありません。電流の大きさについてもしっかりとチェックしましょう。電流が大きければ大きいほどその分溝は大きくなります。一方、電流が小さければ小さいほどガウジング溝は小さくなっていきます。なお、横向き姿勢ガウジングにおける施工の基本条件についてですが、ガウジング電流は250Aとなります。
トーチの高さと角度についての確認も必要です。まずは高さについてですが、トーチが高ければ高いほど溝は浅くなっていき、その反対に、トーチが低ければ低いほど、溝はより深くなっていきます。トーチが高すぎる場合は、アークが不安定になる可能性があることを頭においておきましょう。なお、横向き姿勢ガウジングにおいては、トーチの高さは15ミリが施工の基本条件になっています。
また、角度についてですが、角度が大きければ大きいほど、その分溝は浅くなっていきます。ですから、反対に、角度が小さければ小さいほど、溝は深くなっていくことになるわけです。横向き姿勢ガウジングにおいては、施工の基本条件となるトーチの角度は25度です。
ポイント1~3の参照元:俺の夢(https://www.oreyume.com/column/knowledge/19683/)
もうひとつしておくべき確認事項は、アークの長さについてです。アークの長さが長いほど、溝は浅くなっていき、一方、短ければ短いほど溝は深くなっていきます。アークを長くしすぎると、シールドが悪くなり、さまざまなトラブルを引き起こす原因となってしまうので、長さ設定には注意が必要。また、アークが不安定になってしまう可能性についても考慮したいところです。
溶接作業をおこなうときは、火傷・感電・目の障害・ヒュームを原因とする頭痛ほか、さまざまな災害のリスクがあります。ですから、遮光保護具や呼吸用保護具などの保身具をしっかりと身に付けて、リスクをおさえましょう。
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