シールド工法はシールドマシンを使って地面を掘削し、トンネル工事を行うための工法です。このページでは、公共事業や土木建築事業へ携わる土木施工管理技士として把握すべきシールド工法の特徴や流れを解説します。
シールド工法は「シールドマシン」と呼ばれる掘削機を利用して、地面を掘削してトンネルを構築していく工法です。円筒形の掘削機であるシールドマシンは、鋼鉄製で頑強な盾(シールド)で覆われていることからそう呼ばれており、土の重さや水圧といったプレッシャーに耐えながら地中で作業できることがポイントです。
またシールド工法はシールドマシンによって地面を掘削しながら、同時にトンネルの壁を組み上げていくという、掘削・組み上げ・土砂の排出が一体化されていることも特徴となります。
シールドマシンは大きく4つの構成要素に分類することが可能であり、それぞれの構造は主として以下のような働きを持ちます。
カッターヘッドはシールドマシンの最前面に当たる部分であり、固い地盤を掘削してトンネルを掘るための構造です。およそ10~15cmの鋼鉄製の歯(ビット)が放射状に展開されており、回転しながら硬い地盤を効率的に掘削していくことが可能となります。
スクリューコンベアはカッターヘッドが掘削した土などをシールドマシンの内部へ取り込んで、さらに工法へ排出するための運搬装置です。スクリューの回転量を調節することで収集運搬する土の量も調整できます。
エレクターはトンネルの壁を組み立てていくための部分であり、シールドマシンの特徴である地中を掘り進めながらトンネル建設も同時に行うというシステムの要の1つです。
なおエレクターで組み立てられるトンネルの壁パーツはセグメントと呼ばれます。
シールドジャッキは油圧の作用でシールドマシンを前進させる機能であり、これによってシールドマシンは地中を掘り進めることができます。
シールド工法のメリットは大きく2つを考えることが可能です。
シールド工法は上述したように、シールドマシンを使って地面を掘りながらトンネルの壁を並行して組み立てていく工法です。そのため地盤崩壊を防ぎやすいシールド工法は、軟弱地盤などを含めて様々な地質で使用することが可能であり、また地上にビルや建築物が存在する都市部でも周辺環境へ悪影響を及ぼすことなく施工できます。
シールド工法の流れは主として「初期掘進」と「本掘進」に分類されます。
初期掘進は地中をシールドマシンで掘り進めるために、最初に行われる掘削作業です。
まず目的の場所でトンネルの設計に合わせて地上から地中深くまで穴を掘り、周辺の壁を補強した上でシールドマシンやセグメントを地下へ下ろして設置します。またシールドマシンの上部に拠点が設置され、システムのコントロールを行えるように整備されることもポイントです。
その後、シールドマシンで地中を掘り進める本掘進へと進められます。
本掘進は初期掘進によって目的の深さへ設置されたシールドマシンを稼働させて、地盤を掘削していく作業です。初期掘進が上下の移動であったのに対して、本掘進は横の移動になることがポイントです。
また本掘進ではエレクターによってセグメントの組立も同時に行い、トンネル用の空間を掘り進めながらトンネルの壁を組み立てて構造強度を担保します。
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