地中で巨大なチェーンソー型のカッターポストを動かして地中壁を造成できる「TRD工法」は、地下掘削作業などでしばしば利用されています。このページでは、土木施工管理技士が知っておくべきTRD工法の概要をまとめました。
TRD工法(Trench cutting Re-mixing Deep wall method)は、地中にチェーンソー型の巨大なカッターポストを挿入して、それを移動させて掘削作業を行いながら固化液と掘削液、そして原位置土を混合撹拌していく工法です。
TRD工法は掘削能力が優れていることに加えて、直進性や垂直性にも優れており、さらに掘削しながら混合撹拌を行うことで全体的に目違いを生むことなく連続した地中壁を造成できるといった特徴があります。
そのためTRD工法による地中壁は止水性に優れており、土留め止水壁や遮水壁工事といった場面でも利用されます。
TRD工法はベースマシンにカッターポストを接続して動作させるため、カッターポストを地中溝の深さに合わせて継ぎ足すことが可能です。そのため、利用場面に合わせて調節できます。
TRD工法のベースマシンは10m程度の全長で、従来工法のベースマシン(15~30m)と比較して重心位置も低い設計になっており、安定性が高い点がメリットです。加えて、施工中は地中へ挿入されたカッターポストがさらに安定性を高めます。
TRD工法は掘削能力も高く、硬質な地盤でも先行掘削の必要がありません。そのため、従来工法よりも工期を短縮しやすく、リアルタイムの施工管理を行う多段傾斜計管理装置がカッターポストへ組み込まれていることも特徴です。
TRD工法は継ぎ目を作らずに連続した地中壁を造成することが可能であり、これにより壁の継ぎ目から浸水が生じるリスクを軽減できます。
ベースマシンから地中へ挿入されているカッターポストは、上部から下部まで鉛直方向に全ての土質を混合撹拌するため、深さによって地層の質や強度が違っているような場所でも均質な地中壁を造成することが可能です。
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