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高速道路

難工事から新技術が生まれた大規模高速道路事業

東京湾アクアライン

トンネル技術が高速道路建設にも生きる

平野の少ない日本では高速道路を通す現場条件が厳しい場合が多く、トンネル工事などが多くなりがちです。ここでは日本有数の土木建築である東京湾アクアラインなど、難しい高速道路工事で生まれた新技術を紹介します。

東京湾アクアライン

東京湾アクアライン

「土木のアポロ計画」と呼ばれた難易度

神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ「東京湾アクアライン」は日本一標高が低い道路として有名です。また、トンネルの長さとしても日本4位の長さを誇ります。工事の難易度から土木の「アポロ計画」とも呼ばれた、日本を代表する大規模高速道路事業です。

外径14.14メートルという巨大な海底トンネルを2キロメートル弱も掘り進めるというビッグプロジェクトは誰も経験したことがなく、それまで培ってきた日本の土木建設技術を総動員して進められました。

東京湾アクアライン

構想初期は陸上でトンネルを作ってから沈めて結合する「沈埋トンネル工法」が採用されていましたが、計画中の建設技術の進歩を受けてシールドマシンで地中を掘り進める「シールド工法」に計画変更するなど、常に最善策の模索が行われたことからも、工事の難易度が分かります。

上下線で2本のトンネルを中間で分け、それぞれ8か所の入り口から8社のゼネコンが分担して掘り進め、中央で接合する方式で進められました。接合時にも高い水圧がかかるため、水で膨張するシール材で止水するなどの工夫が行われています。

東京湾アクアライン掘削に使われたシールドマシンのモニュメント
掘削に使われたシールドマシンのモニュメント
(実物大:直径14メートル)

工事の難易度を上げた原因の一つは川崎側の「マヨネーズ層」と呼ばれる海底部の軟弱地盤でした。そのため、砂の柱を埋め込むことで地盤を補強。また、最大6気圧もの水圧がかかるため、安全に掘り進めるのも簡単ではありませんでした。
特に難しかったのがシールドマシンで両側から掘り進めた後のドッキング。誤差なくドッキングさせるために道路の測量技術を応用、少しずつズレを修正しながら掘り進めることで、最終的にズレは5ミリだったそう。
ドッキング時に海水の侵入を防ぐため、地盤を丸く凍らせる凍結工法も採用されています。

現場での安全性を高めるため、掘り進めたトンネルの内壁を保持するセグメントの組み立ては自動で行われました。自動セグメント組み立ての機械は東京湾アクアラインの工事をきっかけに開発され、その後他の現場でも活かされています。

誰も経験したことのない難工事だからこそ、課題解決のために知恵を振り絞り、新しい技術が生まれます。10年もの工事期間をかけたビッグプロジェクトは無事に完成し、そこで培われた技術や経験は現在も日本の土木業界を支えています。

首都高大橋ジャンクション

イメージ
引用元HP:首都高速道路株式会社公式サイト
http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/yamate/ohashi/facilities.html

4層ループ構造の都市型ジャンクション

首都高速道路3号渋谷線と中央環状線を結ぶ4層ループ構造のジャンクション。3号渋谷線と中央環状線の間にある約70mの高低差を埋めるためにループで勾配を上り下りする構造になっています。
この複数の道路を接続する巨大な大橋ジャンクションの工事でも、世界初の技術が生み出されています。 左右2本のトンネルが上下2層に重なり、連結部分は横幅が21メートルにも達する巨大トンネルを全て地中で完成させるという技術です。このようなトンネルは地上側を切り開き施工するのが通常ですが、現場には目黒川が流れていてその方法は取れません。

現場の土質を見抜き、止水対策を不要と判断して2本のトンネルをつなぐ工事を実行。地中からの作業のみで横長のトンネルを作り上げました。このような悪条件の現場でもあきらめないチャレンジ精神で、新しい技術が生み出されています。

地球温暖化やヒートアイランド対策、生物多様性に寄与する環境への取り組みも兼ね備えた構造物です。

新東名高速道路

新東名高速道路

勾配の緩い長い橋梁やトンネルに新技術を採用

太平洋側を通る東名高速道路の渋滞解消などを目的として計画された新東名高速道路では、断面を楕円形にすることで掘る量を軽減する工法が試されました。

全線が3車線の新東名では、通常のトンネルと同じように掘ってしまうと掘る量が膨大に増えてしまいます。そのため、従来のトンネルをつぶしたような扁平形状が採用されました。

また、面積が増えたことによる吹付コンクリート量の増加を防ぐために、強度を高めて効率化を図っています。

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https://www.tn-japan.co.jp/ja/
       

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