こちらでは、土木・建設現場で役立つ「足場作業主任者」についてまとめました。仕事内容や受講する必要のある技能講習の詳細、そして資格を取得することでどのようなメリットが生じるか、といった点を紹介しています。また、混同しやすい足場特別教育との違いについてもまとめています。
足場作業主任者とは、足場工事の現場で作業員の指揮監督を担当する役職のことであり、その役職に就くのに取得する必要のある国家資格のひとつでもあります。
足場工事の現場では、どうしても高所での作業が多くなりがちです。そのため、常に転落の危険と隣り合わせで作業を進めざるを得ないという状況も。資材が落下してきたり、クレーンによる運搬中に資材と衝突したり挟まれたりする事故も発生しています。
こういった危険を伴う現場で、できる限り労働災害やトラブルを防止し、作業員が安全に作業を続けられるようにするためにも、現場を指揮するリーダーである足場作業主任者が欠かせないのです。
足場は、多岐にわたる業種の職人たちが作業に加わっている現場でもあります。足場になんらかの不備があると、そういった職人たちが危険にさらされてしまうのです。足場は建設現場全体を支えるポジションにあるため、トラブルが生じると建設工事そのものに影響が出てしまいます。こういった意味合いでも、リーダーである足場作業主任が、いかに大きな責任をもつ役職であるかがわかります。
足場組み立てや解体・変更などの作業において、作業主任者として現場のリーダーを務めるのであれば、特別教育ではなく技能講習を受講する必要があります。というのは、作業者の特別教育と作業主任者の技能講習とでは内容が異なるからです。
一言でいうと、特別教育はそれぞれの事業者が実施する安全衛生教育です。一方、技能講習は作業主任者として作業者を監督指揮するための資格ということになります。携わる業務内で実施される特別教育とは異なり、作業主任者は足場の構造や組立て方法に関して、一定以上の知識を有していることが必要不可欠。技能講習の最後に修了試験が行われるのは、このためです。
足場の組立て等作業主任者技能講習を受けるためには、受講資格が必要です。次のいずれかを満たしていなくてはなりません。
※上記以外では「特定の技能検定に合格している」「特定の職業訓練指導員免許を有している」なども受講資格として認められています。
なお、平成29年7月以降は「足場の組立て等特別教育を修了した後に従事した作業経験のみを認める」という内容に変更されました。足場の組立て等特別教育の修了者のみが、足場作業に従事できるとする旨の規則変更が行われています。
項目 | 実施内容 |
---|---|
講習内容と時間 | 作業の方法に関する知識:7時間 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識:3時間 作業者に対する教育等に関する知識:1.5時間 関係法令:1.5時間 |
受講費用 | 技能講習:16,000円(教材費・消費税込) 技能講習(学科一部免除):9,500円(教材費・消費税込) |
提出書類 | 実務経験の証明書 本人確認資料(運転免許証など)のコピー |
現場のリーダーとして作業員を指揮監督し、トラブルを起こすことなく工事を進める責任を負う立場にあるため、待遇もそれに見合った内容になります。資格を所有しているだけで手当を支給してくれる会社もあります。また、作業主任者としての経験は、より責任ある施工管理のポジションを目指す場合にも、大いに役立つはずです。
自分のスキルを明確に証明しやすくなることも、資格取得によって得られるメリットです。そもそも、技能講習を受講するだけでも原則として3年間以上の足場工事の経験を有していなければならないのです。
足場の組立て等作業主任者を選任することは、事業者の義務でもあります。そのため、少なくとも並行して手掛けている現場数と同人数の有資格者が必要になるわけです。特に近年は建設業界が人手不足に陥っているという事情もあり、有資格者はとても貴重な人材になってきています。
足場特別教育が「足場に関係する作業をする人」を対象としているのに対し、技能講習が「足場作業主任者になる人」を対象としていることが、両者の違いです。
足場からの墜落や転落などをはじめとする、さまざまな労働災害の発生を防止することを目的に実施されるのが足場特別教育です。労働安全衛生規則の改正により、実施が義務付けられています。
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