粉じん作業特別教育を受講すると、特定粉じん作業者の資格が得られます。特定粉じん作業者とはどのような資格で、どのような業務に役立つのでしょうか。
このページでは、粉じん作業特別教育の講習内容について解説しながら、粉じんと特定粉じんの違いや特定粉じん作業者の資格を得るまでの流れをまとめました。
粉じん作業とは、細かいホコリやチリが舞い続ける現場での作業です。作業時に粉じんが発生する現場では、専門的な知識や対処法を持たないまま作業を行うと、粉じんを人間が吸い込んで人体に悪影響を及ぼしたり健康障害を起こしたりする危険があります。そのため、粉じん作業では「粉じん作業特別教育」を受講して一定の教育を受けた作業者でないと、業務につくことができません。
粉じん作業特別教育は、合計4.5時間かけて行われる講習です。この講習を受けると、特定粉じん作業に関わる業務ができるようになります。
具体的な講習内容は以下の通りです。
不適切な粉じん作業によって長期間に渡り粉じんを吸っていると「じん肺」を発症するおそれがあります。じん肺とは、粉じんを長い年月に渡って吸い込み続けることで、肺の組織が線維化してしまう病気です。
日本では、労働者のじん肺を防ぐために粉じんを発生させないための環境づくりや粉じんの拡散防止、粉じんを吸ってしまわないための予防策など、適正な健康管理と予防措置を講ずる「じん肺法」が制定されています。また、労働安全衛生法に基づき「粉じん障害防止規則(粉じん則)」という特別なルールが作られているのです。
じん肺は、根本的な治療方法が確立されていない病気です。咳や痰、呼吸困難などの症状に応じた治療しかできず、一度発症してしまうと、元の正常な肺には戻らないとされています。
粉じんが発生する現場で作業を行う事業者や作業従事者は、じん肺が発症しないような予防対策を講じなくてはなりません。
過去のじん肺の発症例から、有害性が認められる作業から発生するものを「粉じん」。そのうち、石綿(アスベスト)を含むなど、特に厳重な管理が必要な粉じんは「特定粉じん作業」とされ、法令で指定されています。
また、過去の災害事例などから定められた作業を「粉じん作業」といいます。その中でも粉じんが発散する程度や作業工程から、より有害性が高い作業は「特定粉じん作業」とされ、それぞれ対策が定められています。
粉じんの吸い込みを防ぎ、じん肺を発症しないようにするためには、以下のような予防策が必要です。
粉じんをなるべく発生させないような環境をつくることが重要です。作業場の密閉化や湿潤化など、粉じん発生源に工夫を施すことによって発生を抑えることができます。
ただ、現場によっては密閉化や湿潤化が難しい場合もあります。このようなケースでは、粉じんが発生しない、発生しにくい資材に変更するなど根本的な見直しも必要です。
粉じんは非常に細かく舞いやすいため、拡散しないようにするための取り組みも大切です。
粉じんが拡散しないようにするためには、換気を徹底する、粉じんが発生すると同時に粉じんを吸い込む特殊な装置を導入するなど、発生してもその場で舞い続けないための対策が求められます。
いくら作業環境を見直して換気を工夫しても、効果が限定的となってしまう現場もあります。その際には適切な呼吸用保護具を正しく着用することが大切です。
粉じん作業や特定粉じん作業においては、粉じん対策用のマスクや有毒ガスを防ぐ防毒マスクが効果的です。最近では高性能な電動ファン付きの呼吸用保護具もあり、従来のマスクよりも呼吸が楽であることから普及が進められています。
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