毒物・劇物取扱者は、毒物や劇物を取り扱う際に安全管理を担当します。研究機関では毒物・劇物取扱者の登録は必須であり、毒物及び劇物取締法にも定められている義務です。必要とされる場所として、化学工場や農業関連企業、医薬品や化粧品メーカー、ホームセンターなどがあります。
化学工場は毒物や劇物の製造・仕様・保管を行います。製造や品質管理部門で安全や衛生を管理するのです。農業関連では農薬や肥料を取り扱います。製造ラインでも必要です。営業でも必要な場面が出てきます。医薬品や化粧品でも毒物や劇物に関する知識が必要です。ホームセンターでも農薬や殺虫剤を取り扱うときに求められます。
安全確保のための管理体制の構築、トラブルに対する発生予防をはじめ、トラブルが起きた際に適切な対応を行うのが主な仕事です。
毒物及び劇物取締法(第二条)で定義されている物質があります。
毒物・劇物取扱者が取り扱うのは人体に有害な作用を持つ物質です。危険物取扱者は危険物質を取り扱います。共通しているのはどちらも有害なのは間違いありません。ただ、危険物取扱者が取り扱うのは、爆発物・可燃性ガス・引火性液体・腐食性物質・酸化性物質・有毒物質・放射性物質などです。
危険物として日常生活でも一般的なのはガソリンが挙げられます。毒物・劇物取扱者は毒物としてよく知られているヒ素などです。その点でも大きな違いがあります。
毒物・劇物取扱者は、法定要件を満たす所定講習の受講、試験の合格が必要です。一方、危険物取扱者は甲乙丙種があります。乙種は誰でも受けられるものです。ただし、甲種だと大学で化学系の学部学科の専攻や、実務経験がないと受験さえできません。薬剤師や大学の指定学科を卒業していると、毒物・劇物取扱責任者は受験不要で持っているとされます。
学歴や経験や年齢は問われません。誰でも受験できます。ただし18歳以上です。ただし、麻薬・大麻・アヘンなどの覚醒剤中毒者や過去に毒物や劇物や薬事に関して罰金以上の罪を犯して3年未満の方は毒物劇物取扱責任者にはなれません。心身障害による欠格事由が当てはまる人も同様です。
一般、農業用品目、特定品目の3種類です。
一般は毒物や劇物前品目、農業用品目は農業用毒物か劇物を取り扱えます。特定品目は、特定品目の毒物か劇物のみです。製造業・輸入業・販売業で毒物劇物取扱責任者になれるのは3種類に共通しています。
毒物劇物取扱者試験は自治体ごと年1回の開催です。場所は問いません。全国のどこの試験会場でも受けられます。ただし、試験日は各都道府県で異なるため注意が必要です。どうしても行けないなら、他の都道府県で受験することもできます。願書受付日もあるため、試験を受ける都道府県のサイトをチェックしてみてください。
合格基準と合格率も自治体で違います。2019年の東京都は合格基準は筆記・実機試験ともに各科目50%以上の正解率、全科目の合計60%の正解です。合格率は一般54.3%、農業品目29.2%、特定品目71.4%、計51.6%。一方福島県は、合格基準は各科目30%以上の正解、全科目合計60%以上の正解で微妙に異なります。合格率も一般31.9%、農業品目18.2%、特定品目16.7%、計27.6%でした。
受験費用も受験する自治体で異なるため事前にチェックしましょう。東京都は非課税で12,900円ですが、関西広域連合だと非課税で10,300円です。
世の中には多くの化学物質があり役立つこともあれば、人の生命を脅かす危険性があるものも。知識があればトラブルがあっても対応可能です。法令に関する知識も得られるでしょう。仕事関連のみならず、日常生活でも役立つ資格だといえます。
毒物や劇物などを取り扱う業種はたくさんあります。毒物や劇物を製造する工場、毒物や劇物を運搬するトラックドライバーなど。輸入業やホームセンターでもその知識を活かせます。化粧品の営業をする場合でも、毒物劇物取扱責任の資格があれば有利です。ホームセンターでも農業関連で殺虫剤や農薬についてアドバイスができます。環境や健康に対し、社会的な意識が高まっている時代ですし、毒物や劇物はなくなりません。そのため、あらゆる業者で活かせる資格といえるでしょう。
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