鉄筋とは、建物の基礎となる骨組みのことです。建物の外からは見えませんが、人間の骨と同じく建物を支える上で非常に大切な部分となります。
そして鉄筋工事とは、鉄筋を作る工事のことを指します。鉄筋工事では、図面をもとに鉄筋の組立てを行います。鉄筋はビルや商業施設だけでなく、橋梁やトンネル、高速道路などさまざまな建設工事に用いられるため需要の高い仕事と言えるでしょう。
鉄筋加工組立て工事とは、鉄筋の配筋と組立てを行う工事です。図面をもとに鉄筋を曲げたり切断したりし、建物の構造に適した鉄筋に加工します。
配筋とは鉄筋を配置することを指すことばです。加工された鉄筋は現場に運搬され、施工図の内容を踏まえて実際に組立てられます。
鉄筋継手工事は、配筋された鉄筋同士を接合する工事のこと。3種類の接合方法で接合する点が特徴です。
1つ目は鉄筋同士を突き合わせ、加熱・加圧を加えることでふくらみを形成する接合方法「ガス圧接継手」で、2つ目は鉄筋同士を突き合わせて加熱した上で電気を流して接合する「溶接継手」。3つ目は鋼管(カプラー・スリーブなど)を鉄筋の端部に被せ、スリーブの噛み合いやネジの接合を利用して接合する「機械式継手」です。
鉄筋工事を行う前に、工事で必要となる加工帳や施工図の作成を行う必要があります。工事全体の図面や仕様書をもとに、鉄筋工事で必要な材料や鉄筋の数量、加工の形状などを決定します。
工事現場での作業に入る前に、鉄筋を切ったり曲げたりする加工を行います。作成した加工帳を見ながら適切な本数や形に加工します。
加工した鉄筋を車両に載せ、工事現場へ運搬します。
運ばれた鉄筋と施工図をもとに、現場のスタッフに作業の段取りや配筋を指示します。鉄筋の種類によって組み立てる順序が異なるため、経験豊富な職人がリードしながら作業を行うことが多いです。
鉄筋同士をつなぐ作業のことを指し、「鉄筋継手工事」とも呼ばれる工程です。ガス圧接継手や溶接継手、機械式継手などの接合方法で嵌合を行います。
嵌合は建物の強度や寿命に影響を与える大切な工程であるため、責任者の指示に従って適切に作業を進める必要があります。
鉄筋同士を締め付けるハッカーと呼ばれる器具を使い、鉄筋の交差部を縛ります。水平・垂直・平行にまとめることが重要で、スピード・質ともに優れた結束を行えるかどうかが職人の技量の指標とされています。
鉄筋の組立てが終わったら、鉄筋同士の間隔や幅止めの本数などに問題がないか自主検査を行います。自主検査が完了したら第三者機関による検査を受け、問題がなければ鉄筋工事のすべての作業が完了です。
鉄筋施工技能士とは、鉄筋工事施工に関する知識や技術を認定する国家資格です。1級~3級に分類され、3級は初級レベル、2級は中級レベル、1級は上級レベルの難易度となっています。
実技と学科試験があり、ともに100点満点中65点正当すれば合格です。なお、鉄筋工事を行う上で資格は必要ありませんが、鉄筋工事の現場には1級鉄筋施工技能士の配置が義務付けられています。
登録鉄筋基幹技能者は、現場の鉄筋工をマネジメントしたり施工管理や安全管理、原価管理など監督業務を行ったりができる資格です。2日間の講習を受け、3日目の修了試験に合格すれば資格を得ることができます。
受験するためには、1級鉄筋施工技能士を取得していることや鉄筋に関して10年以上の現場施工経験があることなど、いくつかの条件を満たしている必要があります。
玉掛作業とはクレーンなどに物を掛け外しする作業のことで、玉掛技能者は荷重1トン以上の揚貨装置やクレーン、デリック、移動式クレーンなどの玉掛作業を行う技能者を認定する国家資格です。
資格を取得するためには、一般社団法人労働技能講習協会が行う玉掛け技能講習を受講し、筆記・実技の修了試験に合格しなければなりません。各地域によって講習実施のスケジュールが異なるため、公式サイトから自身が住む地域のスケジュールを確認しておきましょう。
建築施工管理技士は、建設現場において現場の工程管理や安全管理など、工事全体の進行の管理・監督を行うことができる国家資格です。1級と2級に分かれ、仕事内容に大きな差はありませんが扱える建物・工事現場の規模に差があります。
1級は建築工事全般の幅広い知識が必要となることから2級に比べ難易度が高いですが、大規模な鉄筋工事の現場で管理・監督業務を行いたい方は1級建築施工管理技士の取得がおすすめです。
鉄筋工事は、建物の骨組みとなる鉄筋の配筋・組み立てを行う工事です。鉄筋部分がしっかりしていないと建物の強度が維持されず、建物の強度や寿命に影響を与える重要な仕事と言えます。
鉄筋工になるために必要な資格や学歴はありません。しかし、鉄筋施工技能士や登録鉄筋基幹技能者などの資格を有していれば対応できる業務の幅が広がり、転職活動時にも有利でしょう。
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