地盤の崩壊を防ぐために欠かせない山留工事。ここでは、山留工事の特徴と工事で使用するさまざまな工法について解説しています。
建築工事において、基礎工事のために穴を掘る工程があります。この作業を進めているときに、まわりの地盤や建物などが崩れ落ちてくることを防止するために、支えの役割をはたす構造物を設置する作業のことを、山留工事といいます。
比較的小さい規模の山留めに採用されることが多い工法です。H鋼を親杭として、およそ100cmのスパンで打設します。掘削作業を進めつつ、親杭と親杭の間に、隙間をあけずに木製矢板をはめ込んでいきます。メリットとして、それほど多くのコストがかからないことがあげられます。
ただ、矢板を1枚1枚つなげていく工法であるため、止水性はありません。よって、地下水などがある地盤へは採用をおすすめできません。
参照元:ビズケン
(https://biz-ken.com/magazine/4164/)
掘削する部分の土を主原料として、それにセメント剤と混ぜ合わせたものを山留め壁とする工法です。専用の大型重機や杭打機を使って深くまで掘削し、セメント剤を混ぜ合わせて壁を造っていきます。
止水性が高いので、湧水がある砂層などの地盤にも適用できます。また、掘削作業と山留め壁の造成がひとつのプロセスとなっているので、工期を短縮しやすいです。ただ、 大型重機を使うので、充分な広さがない場所での施工は不可能です。
「鋼矢板工法」という別名もある工法です。凹凸がある、およそ400mmの鋼材を掘削範囲に打ち込んでいき、それらを緊結させて山留め壁にします。木製のものを利用する親杭矢板工法よりも、鋼矢板同士を緊結させていくこのシートパイル工法のほうが、止水性は一定程度高くなります。
あまりにも土圧が高いと、鋼矢板自体が変形してしまうため、適用する工事内容は限られます。また、高い技術が求められる工法でもあるので、仕上がりには施工担当者によるバラつきが出やすいです。
参照元:ビズケン
(https://biz-ken.com/magazine/4164/)
山留め支保工のひとつです。山留め壁内部にあけたアンカー孔に「定着体」というモルタルやセメントを注入します。それを地盤に固定し、定着体と引張材を緊結させることで、内側から崩落を防ぐことができるようにするための工法です。地盤が固くて安定しているという前提が必要ですが、切梁を組まずに工事を実施できるため、山留め壁内部を広く使えるというメリットがあります。
山留め壁と控え杭とを「タイロッド」という棒状の構造体でつなぐ工法です。山留め支保工が必要なケースに採用されやすいです。その理由として、切梁がないので施工性が高く、かつコストを抑えやすいというメリットがあります。ただ、控え杭とタイロッドを設置するには、充分な広さが必要です。
山留め壁の範囲に穴をあけ、そこに鋼材などを立て込み、場所打ちでコンクリートを流し込んでいく工事方法を、場所打ち鉄筋コンクリート山留め工法といいます。メリットとしては、山留め壁を建物の一部にすることが可能なことや近隣の地盤沈下リスクが低いこと、止水性が高いことなどがあげられます。
ただ、コンクリートを場所打ちするので、養生期間を確保しなくてはならないという理由から、工期はどうしても長くなります。
山留め壁だけでは支えられない土圧や水圧を、突っ張り棒のように支えられるようにします。切梁・腹起し・火打材によって構成されていて、地盤の状態や掘削の深さ、敷地の広さといった条件に左右されにくいのが特徴です。そのため、山留め支保工の中では、最も一般的な工法であるといえます。
地盤の安定勾配をそのまま利用するのオープンカット工法。そのため、山留め壁の設置は必要ありません。直角以外の角度をつけて斜面上にすることで、掘削作業時に崩落が発生するのを防ぎます。「掘削が浅い」「掘削部分の周りの敷地が広い」「地下水が少ない」という3つの条件をクリアしている場合は、この工法を適用することができます。
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