AI技術の発展により、さまざまな業界でAIや機械学習の活用が進んでいます。日常生活でもAIと触れ合う機会が増えてきていて、今後もますます身近な存在になってていくでしょう。
そんな身近な存在になってきているAIですが、近年では土木業界でも導入の動きが活発化してきました。土木業界にAIを導入することで、どのような効果が出てくるのでしょうか。土木業界が抱える課題とAI導入のメリットについて見ていきましょう。
土木業界が抱える課題のひとつに、慢性的な人材不足があります。少子化の影響でさまざまな業界での労働者不足が問題となっていますが、建設業界や土木業界は特に人手不足は深刻です。
人材不足は技術者不足にも直結します。技術者や資格保有者が減少することで、工事自体を受注できなくなる企業や、仕事はあっても業務縮小せざる得ない企業も出てきています。そのため、最近ではAIの活用によって人手不足を補おうとするする動きが進んでいるのです。
土木業界の抱える課題に、従業員の高齢化もあります。国土交通省によると2021年の建設業就業者は55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%という割合で、高齢化が進行していることが分かります。
建設業就業者において高齢化が進んでいる中、現在のベテラン層が退職するとさらに人手不足は深刻化するでしょう。近年、若者が働く上で重視するのは多様な働き方ができる環境や充実した福利厚生などの条件といった傾向が強いため、土木業界でも働き方改革を進めていくことが重要と言えます。
参照元:国土交通省 最近の建設業を巡る状況について:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001493958.pdf
AIを活用することで、業務を効率的に行うことが可能です。職人の技術や勘に頼っていた作業もAIを活用することで、そのときの気温・湿度など現場の環境や材料の具合などさまざまな情報を瞬時に判断して、適切な工程を再現することができるでしょう。技術レベルの個人差に悩む必要もなくなります。
生産性向上が期待できるとともに、人材不足の解消を解決することにもつながるでしょう。
AI活用によって、今まで属人化していた単純作業や定型業務を機械が自動で処理できるようになります。業務によっては少人数でも滞りなく進むようになり、労働力不足の解消にも繋がるでしょう。
労働時間の短縮にもなるため残業代や休日手当の発生を抑え、コスト削減を可能とします。AIを導入するにあたり初期費用がかりますが、長い目で見れば人件費を削減できて会社全体のコストを抑えられるでしょう。
人が作業すると、ミスがどうしても発生してしまいます。人の手で行っている以上、どんなに気を付けていてもヒューマンエラーをなくすことは不可能でしょう。
しかし、AIなら一定のスピードと質で作業を行うことが可能です。膨大な記録作業や管理業務などでうまくAIを活用すれば、ヒューマンエラーが減って品質向上につながります。
紙の図面をスキャンしてPDFファイルにデータ化しても、結局PDF上の図面に描かれた芯や柱などの部材は人間だからこそ解釈できるデータであり、コンピュータには解釈できません。そこでA社では、紙の図面をデジタル化するシステムを開発。AIを使った画像認識を用いて高速に図面を分析して建物基本情報や面積、位置情報などを抽出しデータ化することで、柱などの部材情報がコンピュータでも解釈できるようになりました。
人が一つひとつコンピュータにインプットする労力を解決し、設計業務の効率化を実現。ノウハウの共有をできるとともに、後工程の不具合リスクや手戻りリスクの低減を実現します。
参照元:ITmediaNEWS:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2112/27/news007.html
AI施工合理化システム「シミズ・シールドAI」を導入したことで業務効率化に成功した事例です。シールドトンネル工事は、発掘計画の検討やシールド機オペレーターへの指示書の作成に手間と時間を要します。また、シールド機運転時には多数のデータを監視しながら制御方法を判断するため、オペレーターにかかる負担が大きいという課題がありました。
シミズ・シールドAIは、掘進計画を支援する「施工計画支援AI」と、シールド機操作を支援する「掘進操作支援AI」から構成されています。2つのシステム機能を連携させることで、掘進計画立案からシールド機運転に至るまでの一連の施工サイクルの自動化を実現。従業員の負担を軽減することにつながりました。
参照元:清水建設:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021052.html
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建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで21年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2023年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2023」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。