土木工事は、人々の社会生活を支える非常に重要なものです。しかし、土木工事の仕事は兼ねてから「キツい」「危険」といった印象が強く、人々から敬遠されることが多く、今日では人手不足が深刻な問題となっています。
業界では、より働きやすい環境を整えるため、現在ではIT化を押し進めることによって作業の効率化を図っています。実際に今の土木業界においてはどのような改進が行われているか、一例をご紹介します。
ゼネコン大手の鹿島建設は、ITによる業務の効率化によって労働環境の改善を推し進めている企業の一つです。
たとえば、打ち合わせや報告などについては、従来では紙ベースで提出していた書類をスマホやタブレットによる報告に切り替えるなどして効率化を図っています。
これまで、大規模な工事には携わる人員も多く、また関係会社も多岐にわたることから、綿密な打ち合わせが必要でした。そこには、「お互いの時間をすり合わせることがそもそも難しい」「メールでのやりとりにも時間がかかる」といった問題があったのですが、今日ではタブレットを使ってやりとりを円滑に進められるようになっています。
また、専用のツールを使うことによって、工事で必要な情報についてもリアルタイムで共有できるようになったことで、いちいち確認の連絡を入れずとも工事を進められるようになったのです。
また、こうしたデバイスやツールを使うことによって、過去のデータを参照することも非常に容易になりました。このようなデジタルソリューションの活用が、今日の土木工事・業界のあり方に大きな変化をもたらしているのです。
愛知県岡崎市で大規模土木工事を手掛ける山口土木は、IT化の推進によって業務効率改善を図り、業績を伸ばしている会社の一つです。具体的には、スマートフォンでクラウドサービスを活用できる体制を整えたことによって、これまで1〜2時間かけていた打ち合わせの時間を大幅に削減。急な予定変更にも迅速に対応できるようになりました。
一方で、IT技術の導入に伴って大きな問題となるのがITリテラシーです。社内の人間が誰でも同じようにデバイスやツールを使いこなせるわけではないため、せっかく導入を進めてもなかなか浸透しないといったケースもあるのです。しかし、山口土木ではツールを使用する人を各業務のキーとなるポジションに限定。全員に同じ程度のITリテラシーを浸透させる必要はなく、社員教育の手間についても大幅に削減したのです。
また、工事においては3次元データの活用も大きなテーマになるのですが、山口土木ではそれらについてもツールを随時導入していき、ドローンなども併用しながら、より効率的に現場に関するデータを入手・作成・共有できるようになったそうです。
土木業界では、長年にわたって業務の効率化がテーマとされてきていました。多くの人が携わる場においては、打ち合わせもしっかりと行う必要がありますが、そのための時間もそう少なく済むものではありません。このような情報共有や意思統一に関しては、スマートフォンやクラウドサービスなどを使うことで、効率化を実現。
また、現場で起きたトラブルについてもすぐに共有できる体制が整えられたことで、指揮系統からの指示をすぐに確認できるように。単なる作業の効率化だけではなく、人間間のコミュニケーションにおいても、大きな効率化がもたらされるようになるのです。
土木工事業界では人材不足が深刻化しており、新しい人材を迎え入れる体制の整備も重要課題となっています。人材教育においても、ITサービスを活用することによって大きな効率化が期待できるようになります。作業のマニュアル化やレクチャー映像の共有などによって、新人教育もスムーズに。教育体制の充実によって、未経験人材の獲得にも効果が期待できるでしょう。
土木工事の業界においては、現場環境を改善していくことを大きなテーマとして、さまざまな改革が進められています。特に人手不足は長年抱える大きな問題となっており、その改善は特に重要だと言えるでしょう。
社会におけるIT化は土木業界においてもその効果を期待できるものであり、業界が抱える課題解決のためには目を背けられないもの。社会を支える業界であり続けるために、IT化による効率化は今後も重要なものとなっていくことでしょう。
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