近年、道路の陥没事故のニュースをテレビや新聞などで見る機会が増えています。道路が陥没するというのは非常に怖いものですが、実は土木工事がその原因になっているというケースもあるのです。ここでは、日本国内でこれまでに起こった陥没事故の事例に触れながら、その原因等も併せて紹介していきます。
2020年、東京都調布市の住宅街で道路が陥没しているのが発見されました。現場付近では地下トンネルの掘削工事が行われていたのですが、そのときに用いられた「シールド工法」という手法を用いていく中で施工ミスがあったのが原因とされています。
具体的には、地盤を掘る際に使われる「シールドマシン」という機械が動かなくなるトラブルが発生。その原因が地盤の堅さによるものということで、土を柔らかくする薬剤を使用した結果、土を取り込みすぎる施工ミスが発生し、機械とトンネル上部の地盤に隙間ができて地盤が緩んだとのことでした。
トンネル掘削工事は万全を期して行われているわけですが、ときとしてこのような事故が起こってしまうこともあるもの。工事の際は万全を期して対応を進めていく必要があると言えます。
2016年、福岡市博多区の博多駅前にて地盤の陥没事故が発生。道路には大きな穴が空き、停電や断水などの被害が出ました。
現場が九州の中心地である博多駅のすぐそばだったこともあり、交通をはじめ人々に大きな影響が及びました。陥没した様子の映像はインパクトあるもので、全国的に大きなニュースにもなりました。
この事故は、当時現場で進められていた市営地下鉄のトンネル建設工事が原因だったという見方がされています。シールドマシンを折り返すための大きな空間を確保するための工事が行われており、その影響があったようです。
なお、工事が進められていた地下鉄は2020年度の開業予定となっていましたが、この事故の影響によって2022年度に先送りされることが決定されています。
2021年11月、北海道三笠市で道路の陥没事故が発生。乗用車1台が転落し、3人がケガをするという被害が発生しました。この場所では、先に紹介した事例とは違い、トンネル工事が行われていたわけではありません。しかし、日本ではどこのエリアにおいても上下水道などのインフラを整えるために地中を掘削し、多くの配管が通されています。つまり、地中には多くの空洞があるのです。
これらのインフラは、主に高度経済成長期以降に集中的に整備されたものであり、すでに工事から40～50年が経過しているところも多くあります。もちろん整備工事が行われているところも多いのですが、それが追いついていないようなエリアの場合は、このケースのような事故が増えてくることも大いに考えられます。
インフラの老朽化は今後の社会問題になりつつあります。インフラの再整備という観点においても、土木工事は非常に重要な意味を持ってくることでしょう。
道路の陥没事故は、何よりも危険なだけでなく、水道や電気などのインフラが遮断されることにもなります。また、交通が遮断され、人々の生活にも大きな影響が及ぶこともあります。今後、人々が快適かつ安全な社会生活を送るために、トンネル工事はもちろんのこと、古くなったインフラを整備する工事も重要課題となります。インフラ構築だけでなく、インフラの再整備においても、土木工事の数は増えていくことが予想されます。それに伴って、土木工事に従事する人々も多く求められるようになることでしょう。
土木工事は、「危険」「キツい」などとして、比較的敬遠されることが多かった仕事ではありますが、社会を支える無くてはならないものだと言えます。土木工事に携わる人々は、よりよい社会を作るための責任を持って仕事に臨む必要があるでしょう。そこには、大きなやりがいも感じられるはずです。
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