のり面工事(法面工事)は住宅開発や土木工事の初期段階として、凹凸のある地形を整えて平面を作るといった目的に利用される工事です。このページでは、土木施工管理技士として理解しておくべきのり面工事の特徴や工法をまとめました。
のり面(法面)とは、盛り土や切り土で人工的に形成された斜面のことです。のり面工事(法面工事)は盛り土・切り土を活用して傾斜を調節。凹凸のある地形を必要な範囲で平らな状態に整えるための工事です。また、同時にのり面工事では人工的に作った斜面を適切に保護して、土砂崩れや落石といったリスクを回避するためにも必要な工程となります。
日本は山間部が多く、凹凸のない広い平地は多くありません。そのため、日本国内で住宅開発や土木工事などを行う場合はのり面工事が不可欠になるケースが多くなります。土木施工管理技士として活躍していこうと思う人にとって理解しておくべき内容の1つと言えるでしょう。
また、のり面工事は大雨による土砂崩れなど自然災害によって崩壊した地形を整えて復旧する目的にも利用されます。
のり面工事には大きく、以下の3つのパターンがあります。
また、それぞれの工事にはさらに複数の工法が存在しており、どのようなのり面工事を行うかは状況に合わせて適切に判断されなければなりません。
植生工とは、のり面に植物の種や肥料などを練り混ぜた「植生基材」をまいたり、木々の苗木を法面に植えて繁殖させたりすることで、法面の表層部の保護や強度獲得を目指す工事です。植生工としては種子散布工や客土吹付工事、植生マット工といった種類があります。
植生工は山を削ったり土を盛ったりして人工的に作った斜面の表面を植物で覆うことにより、環境保全や景観向上を目指すことが可能です。反面、のり面の深部に構造的な強度を得ることはできません。
地面を露出させた場所へ、植生を行いたい植物の種子と養生材、肥料、そして水を混合したものを散布して、のり面の表層部で植物の生育を促す工法です。
人工の土壌へ種子や肥料、接合剤などを混合して、エアーで吹き付けて固めていく工法です。
植生マット工では、あらかじめ不織布のシートやマットに植物の種や肥料などを貼り付けておき、シート状の植生基材を作ります。そうして作った植生マットをのり面に運び、表層部に強いて固定することで植物の植え付けを行うことが特徴です。
構造物工はコンクリートやモルタル、板柵といったものを利用して、のり面に構造的な強度や安定性を付与する工法です。
植生工ではのり面そのものの強度を確保できないため、例えば道路に面した場所では落石や崩落のリスクがあります。一方、構造物工ではのり面の表面に機材として金網を貼り付け、さらにその上からモルタル・コンクリートで塗り固めるなどしてのり面全体の構造的強度を高めることが特徴です。
山間部を通る高速道路や自動車専用道路などの側面にしばしば見られる工事です。
格子状に造成したコンクリートをのり面に固定することで、地盤を固着させて表層部の崩落・崩壊を予防します。グランドアンカー工と併用されることも少なくありません。
のり面の表層部から地下へボーリングマシンで穴を開けて、引張り材を挿入した上でグラウチングと呼ばれる薬液注入を行ってのり面の地盤を強化する工法です。
引張り材と岩盤・地盤の隙間をモルタルなどで埋めることにより、引張り材と岩盤を定着させて地盤内に圧縮応力を働かせます。
のり面にラス金網と呼ばれる金網を設置し、その上からモルタルやコンクリートを吹き付けて全体を固着させる工法です。
雪崩防止工は文字通り、特に雪崩のリスクが懸念される地域や場所において行われる構造物工の1種です。のり面の表層部に障害物を設置して雪の移動を阻害します。
障害物には凸型ブロックが使用されます。
排水工は、のり面の表層部をカバーする植生工や構造物工に対して、降雨などによってのり面の表面や地中へ溜まったり浸透したりする水を排水する工事です。
大きく表面排水工と地下排水工の2つに分類されます。
排水溝を各所に設置して、のり面の表層部などに溜まる雨水を排水する工法です。
地下に排水溝や排水孔などを構築し、のり面の表層部や周辺地から地中へ侵入した浸透水などを排除します。
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