働き方改革は、長時間労働や休日出勤など日本が抱える働き方の課題を解決し、生産性の向上などを目指す取り組みです。建設業についても国土交通省が内容をまとめて、「長時間労働の改善」「給与、社会保険」「生産性向上」の3つについて方針を打ち出しています。
「長時間労働の改善」では、週休二日制の推進や残業時間の上限設定などのガイドラインが設けられました。発注者が無理な工期を設定できないようにする仕組みなども考えられています。
「給与、社会保険」の取り組みでは、建設業界で働く人の賃金や保障体制の改善が図られています。1人ひとりの技術や資格をデータベースに登録して可視化し、技能に応じた報酬を受け取れるシステムが考えられています。過去の実績なども蓄積できるようになれば、実力に応じたキャリアアップが目指しやすくなりそうですね。他業種と比べて加入率が低い保険や年金についても、企業に加入を義務付ける方針です。
「生産性向上」の取り組みでは、ICTなどを活用した現場管理システムの導入などの取り組みが進みます。現場進捗管理や作業員の勤退を管理しやすくなり、全体的な業務効率の向上だけでなく長時間労働の改善にもつながりそうです。
日本全体にも言えることですが、建設業界は働く人の高齢化が進んでいます。実質週休1日制、長時間の残業、キツイ業務など、他業種と比較したときに若い人が魅力を感じられないのが原因の一つです。
既に人手不足が始まっている企業も多いですが、今後は高齢化のさらなる進行によって人手不足が深刻化していくでしょう。そこで、若い世代の優秀な人材が業界に魅力を感じてもらえるよう、国を挙げての働き方改革が進められています。
2018年6月に働き方改革関連法案が成立しました。適用の時期については一般業界については2019年4月または2020年4月からと定められていますが、建設業については2024年4月からとなっています。建設業は働き方改革を進めるにあたっての課題がたくさんあるため、猶予期間が設けられているのです。
たとえば現状いきなり週休二日制を取り入れたとしても、その分どこかにしわ寄せが出てしまうでしょう。突貫工事や手抜き工事による工事品質の低下や、危険な工事が発生してしまうかもしれません。まずは発注の仕組みを変え、週休二日制に対応する工期設定を標準化するなどの準備が必要です。
残業時間の減少による給料減少にも対応しなければいけません。現在のシステムでは残業代も含めた給料で生計を立てている人も多く、いきなり残業が無くなると生活が成り立たないケースも。給与システムも含めた労働環境の改善など下準備を整える必要があるでしょう。
これらの事を考えると、働き方改革の効果はすぐに出るわけではありません。しかし、どの企業も2024年に向けて準備を進めなければいけません。
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建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。