さまざまな工事などをする際に発生する設計変更に欠かせない工事打合せ簿に着目し、概要や作成のポイントについてご紹介します。
工事打合せ簿は、現場作業をスムーズに進めるために欠かせない書類です。工事の受注者と発注者双方が施工状況を確認し、認識のずれの発生を防ぐことを目的としています。
打合せ簿と記載される通り、受注者および発注者それぞれが発議した事柄を記載し、それに対する回答するのが原則です。国土交通省様式があるため、それを使用することでより分かりやすくなるでしょう。
契約変更の手続きをする前に、変更内容をあらかじめ発注者から受注者に指示することを設計変更といいます。軽微な変更ではなく、契約書第18条または19条の規定に基づいて図面もしくは仕様書を変更するケースがこれにあたります。
工事が当初行った設計通りに進むことは非常にまれであり、条件変更などもあるため、どのようなケースであれば設計変更できるのかどうかを知っておくことも大切でしょう。
一旦双方で決めた設計に何らかの理由で変更が加わることがあります。ただし、どんな変更でも可能なわけではなく、以下の基準を満たすことが前提となる点を知っておきましょう。
岸壁の地上地盤改良を行う工事において、設計変更が行われるケースとしては、工事着手前に、地表面から5メートル程度のところに設計にはない障害物があることが発見され、施工の障害となるために、障害物の撤去および埋め戻し費用の追加変更が行われるケースなどがあります。
防波堤のケーソン据付を行う工事の際に、大部分が完成した時点で台風が到来し、安定性に支障が生じたケースがあります。補強工事が必要なものの、ノリの養殖時期とかぶってしまい、工事がすぐにはできないため、工事を一時中止する内容で設計変更が行われました。
まずは、工事打合せ簿への記載事項を確認しておきましょう。
どの工事に対する工事打合せ簿かがすぐに分かるように、タイトルをつけることが大切です。「○○工事(工事の種類)××付近(場所)についての協議」といった具合に、どの工事かがタイトルで分かるようにしておきましょう。
まずは、協議したい課題を先に伝えます。設計変更を請け負ってもらうためにも、できるだけ分かりやすく結論から入るのが賢明でしょう。
課題を記載した上で、何が問題になってこの設計変更が必要なのかが分かるようにすることです。たとえば、「現在の道路幅○○メートルでは、××(重機)が走行できない」といった具体的な問題点を記載しましょう。
工事打合せ簿で大事なことは、何らかの問題があり設計変更が必要だということを理解してもらうことです。そのため、計測機器などで現場を調査し測定データを数値で見える化することが大切でしょう。具体的数値があると、信ぴょう性が増しやすくなります。
設計変更案は、可能なものを複数立案することをおすすめします。そして、どの代替え案が最適なのかを目で見て把握することができるように、工期や費用などを表などにして示すことで、よりスムーズな協議が期待できるでしょう。
最後に、現在の設計のまま進める場合と設計変更する場合で、費用面および工期がどのように変わるのかを記載することも忘れてはいけません。判断する相手側に立って、判断しやすい材料をそろえることが大切だと知っておきましょう。
工事打合せ簿は、工事をスムーズにすすめるために非常に重要になってきます。土木施工管理技士は、設計変更も含めた資料作成を円滑に行うことが求められます。現場の管理だけでなく、書類面も合わせた管理ができると土木施工管理技士としてスキルアップしやすいでしょう。
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