土木工事でつくる構造物が基準をクリアできるようにする業務
品質管理とは、計画通り無駄のない工程で工事が進み、工事目的物が、設計で定められた基準をクリアできるようにするための業務です。
設計で定められた品質・規格を十分満たし、かつ経済的に生産するための管理基準を定め、施工の進捗に合わせて、自主的に管理する必要があります。
基準をクリアするために、ときには厳しい品質の目標設定も必要です。
構造物の品質を管理するために、計画・実施・検討・処置の4つのサイクルで業務を行います。基本的には4つのサイクルを回しながら、無駄な工程や品質低下の原因を取り除いていきます。
仕様で定められた品質を確保するため、コンクリートの試験練りなどのように、事前に実験をしてデータを採ることもあります。また、定められた基準を達成するための作業方法と手順についても検討し計画を立てます。
計画で定めた手順に従って構造物の一部からサンプリングチェックという方法で強度試験や理化学試験のために供試体や機械や測定器によりデータ採取を行います。また、計画で定めた作業手順を現場全体に周知し品質を保てるようにします。
採取したデータから、品質目標を満たしているかを確認します。また、データをもとに管理図を作成して、工程の異常なども検知します。
品質目標を達成できていない場合、原因を追究して改善と再発防止処置を行います。1の計画に戻って品質目標をクリアできるように計画から練り直し品質低下の原因や工程の無駄を省いていきます。
現場での具体的な業務としては施工中の様子や使用材料などの工事写真撮影を毎日行うため、若手施工管理技士の仕事になることが多いようです。現場を確認しながら、実際の作業や材料について学べるため、仕事を覚えるにはピッタリの業務といえるでしょう。
品質管理を行う際に重要となるのは、工事目的物に必要な品質の種類と基準を正しく把握することです。構造物の規模や種類によって、同じ工事でも要求される品質が変わってきます。
品質基準をクリアするためには、工程にも工夫をしなければなりません。過去の施工実績なども参照しながら、スムーズな進行と品質維持がおこなえるように改善する必要があります。品質異常が発生した場合も考慮して、誰がどのような対応をおこなうべきかなどを細かく決めておくのも大切です。
品質管理の基準や手法は、次の工事に活かすために明文化して誰でも閲覧できるようにしておく必要があります。経験と技術を蓄積して、さらに良い物を造れる体制を目指しましょう。
品質管理の仕事は、土木工事に限らず、どのような工事現場においても、建設物の利用者の安全安心に直結する重要な業務です。そのため、品質の低下に関わる問題が建設現場で発生していないか、工事期間中、つねに注意して現場を観察できる能力が必要です。もっと言えば、問題を発見できなければ、品質管理の仕事はできません。
建設現場で品質に関わる問題が発生するとすれば、建材の不備はもちろん、建設機械の整備不良や間違った操作方法などの違反行為です。そういった違反行為が行われていないか、作業員の作業中はもちろん、作業後などにも施工場所や機材を点検してみることが重要になります。
現場の品質管理は、発生している問題を見つけ出すだけではなく、このままでは発生してしまうかもしれない危険や問題を洗い出し、事前にそれを防ぐ「リスクマネジメント」の能力も求められます。工事の進捗に伴って、作業員の不足や監督員など重要なポジションの人選に危険を察知すれば、先に手をうって変更をしておかなければなりません。こういった先手のリスク処理は建材や機械についても同様です。
建設現場で発生する事故の多くは、人間の操作上のミスに起因しています。品質管理の業務には、そういった操作ミスが発生しないように、建設機械の取り扱い方はもちろん、安全確保のために欠かせない基本的な考え方や知識などを作業員に伝え、教育する必要があります。その他にもヒヤリ・ハットの事例を共有したりするなど、リスクマネジメントに関するコミュニケーション能力も必要です。
普段から作業員や施工業者との会話を積極的におこなっておくことから品質管理の業務は始まるといっても過言ではないのです。日ごろから円滑なコミュニケーションを心掛けておくことも、品質管理の業務を進める上では欠かせない要因です。
品質管理の仕事で収入をアップするために必要なことは、建設現場での業務経験をたくさん積み、キャリアを積み上げてゆくことです。現場での業務経験をおおく積むことができれば、おのずと品質管理のスキルも向上します。より多くの数の現場をこなすことで、品質管理の業務で求められるスキルは磨かれ、それに伴い収入もあがってゆくのです。
また、「品質管理検定」や「QC検定」といった品質管理の業務に役立つ資格を取得することも、収入アップにつながってきます。特に、「QC検定」の1級を取得すれば手当てなどの報酬がつくことでしょう。
品質管理はクライアントから要求される性能と品質を確保するため、ものづくりの中では欠くことができない重要な管理項目です。
サンプリングにより試験場で行う材料試験、構造物そのものを検査機器で行う非破壊試験、鉄筋や鋼材など工場の品質管理のもとで作られた製品などはミルシートで管理など、検査や確認など実施すべき管理項目は多岐に渡ります。これらの品質管理は基準書や指針などとしっかり照合しながら実施していきます。
安全、品質、工程の三大管理の中でも比較的身につけやすい管理ですが、品質は安全と工程に影響されやすいことをよく認識しておくことが大切です。
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