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ゼネコンとの違いを解説

建設コンサルタントの仕事内容と資格
ゼネコンとの違いを解説

建設コンサルタントとは

建設コンサルタントとは、建設現場全体のプロデュースをする役割を担う立場です。いわゆる、重機を使い直接「造る」という現場作業とは異なり、全体を指揮するといったイメージが正しいかもしれません。主に社会インフラサービスに関わる側面が強く、国や地方自治体などからの発注を受けて工事をプロデュースします。また、発注者が直面する課題に対し、調査や検討によって解決策の提案・公共物の設計なども行っています。その提案や設計を踏まえて、国や地方自治体はゼネコンに発注を行うという流れがあるのです。

日本における建設コンサルタントという仕事は、それほど歴史が古いものではありません。海外では18世紀末にイギリスの産業革命が起こったときに生まれた職種ですが、日本で広まったのは第二次世界大戦後。それまでは、土木事業の計画設計は行政の直轄のみで、外部への委託は行っていなかったのです。多くのモノを失ってしまった第二次世界大戦後からの復興スピードを速めるために、日本における建設コンサルタントが誕生した。という背景があるとされています。

建設コンサルタントの仕事内容

社会インフラに関わる幅広い課題解決

上述の通り、建設コンサルタントは建設現場全体のプロデュースを行い、解決策の提案や公共物の設計を行います。建設コンサルタントの仕事は、施工作業以外の全ての業務と言っても過言ではありません。というのも、建設コンサルタントは施工管理や運営維持・管理支援も行っているのです。

建設コンサルタントの仕事をもう少しわかりやすく、誰もが利用する社会インフラである「道路」の事例で例えてみます。道路で最も問題になるものと言えば「渋滞」です。この「渋滞の解決」をテーマに建設コンサルタントは最適な手段を模索していきます。例えば、道路を増設する・鉄道を新たに作るといったような手段が挙げられます。

もちろん、この解決案を提示して終わりというわけではありません。インフラ(ここでは道路)の経済合理性や持続的な発展が見込めるのか、かかるコストや期間はどれくらいなのかも同時に考えていく必要があります。加えて、地域住民や環境に対する影響の有無まで把握しなくてはいけません。

建設コンサルタントのメリット

社会インフラサービスなどの企画や計画に参加

建設コンサルタントの仕事は建設の一部を担うものではなく、施工管理や運営維持・管理支援といった、企画から完成までの公共事業のプロセス全てに関わるものです。

何もないところにゼロから物を作っていく作業はもちろん大変ではありますが、完成したときの喜びや蓄積される経験・知識は、その後のキャリア形成においても大いに役立つ財産となるでしょう。また、規模の大きい社会インフラサービスを手がけて、自ら企画・設計したものが形になって人々の役に立つという、建設コンサルタントならではの感動も味わえるはずです。

プロジェクトを動かすのは自分

社会インフラ整備のプロジェクトそのものを自らコントロールしていくことも、建設コンサルタントの仕事であり腕の見せ所です。提示された予算と工期を考慮し、全体の進行スケジュールや品質を管理していくのは、建設コンサルタントである自分です。プロジェクトをコントロールできるポジションというものは、建設コンサルタントならではの達成感ややりがいと言えるでしょう。

結果は建設コンサルタントの腕次第

同じ資格を保持している建設コンサルタントでも結果が異なるのは、それぞれの経験や方法の違いにあります。ここでいう結果とは、プロジェクトの品質や工期、クライアント評価、利益などを指します。プロジェクトを指揮しながら、その都度浮上する問題を解決したり、ケースバイケースで進行したりと、個々の建設コンサルタントとしての力量が発揮される仕事と言えるでしょう。

このような業務を得意とする方が、仕事を楽しみながら進行していけると考えられるため、建設コンサルタントには向いているかもしれません。

多彩なプロジェクトを担当できる

発注される業務は、プロジェクトの内容も場所も同じものは二つとしてありません。例えば、高速道路計画やインターチェンジの設計、都市部の道路計画、建設マネジメントの研究など、その種類も内容も多種多様です。

毎日ルーティンワークをするよりも、大きなプロジェクトを管理しながらその成果をこの目で見届けたいと考える方には、多くを経験できる仕事だと言えるでしょう。

比較的出張が多い

様々な場所で異なる人と仕事をすることが好きな方は、建設コンサルタントの仕事を享受できるでしょう。地方や支社独立制の会社でコンサルタントをしていると、そこまで多くはないようですが、基本的には打ち合わせや現場調査のための出張が多く、時には海外にも出張することがあるのが建設コンサルタントの仕事。多くのスポットを訪問し、見聞を広げられるチャンスがあるとも言える出張は、この仕事のメリットの一つと言えるでしょう。

転職に有利な資格である

建設コンサルタントの資格は、経験も技術もそれ相当のものがないと取得できない代わりに、ある程度の年齢になっても転職がしやすい職種と言われています。それは、この業界の人材の流動性が高いことが理由のようです。収入も一定の額が見込めるため、この点はプラスとして考えられるポイントでしょう。

建設コンサルタントの注意点

労働時間は長め

プロジェクト全体を管理する仕事柄、労働時間は長くなる傾向にあるようです。残業や休日出勤も多く、特に年度末の納期が集中するピーク時には、いつも以上に忙しい毎日を過ごすことになるかもしれません。

近年ではワーク&ライフバランスを考慮する会社も増加傾向にありますが、現実はそこまで簡単ではないようです。

体力的にも精神的にも忍耐が必要

残業だけでなく、プロジェクトの監視や報告書の作成、計算に追われることが多いです。また、クライアントや社内コミュニケーションが多いポジションになるため、業務中の問題やトラブル対応を一つひとつこなしていくスキルも求められます。

長時間に及ぶ体力の維持だけでなく、精神的なプレッシャーとも上手に付き合っていくことが必要となります。

思考して行動するスキルが求められる

建設コンサルタントは、マルチタスクの進行が求められるポジションです。プロジェクトの進行と同時に、クライアントからの質問に回答することを求められるため、問題解決のために自ら考え、調査・回答するスキルを備える必要があります。そのため、文章作成や読解が得意な方は、建設コンサルタントには向いていると言えるでしょう。

独身が多い

出張が多く労働時間が長い仕事であるが故に、キャリアが長い建設コンサルタントでも独身の方が多い傾向にあります。時には多忙な日々を過ごすことになるこの仕事に理解を示してくれるパートナーを見つけることがポイントとなることでしょう。

建設コンサルタントの資格

建設コンサルタントの代表的な資格は二つ

実は建設コンサルタントを名乗るために特別に必要な資格はありません。多くの場合は、コンサルタント会社に就職し「建設コンサルタント」として働くイメージです。つまり、未経験者でもなれる可能性があるのです。

とはいえ、建設コンサルタントの業務に関わっていく上では、大学や専門学校などで建築に関する学科を専攻しておくほうが望ましいでしょう。さらに、技術士やRCCMといった資格を取得していればより幅広い仕事ができるようになるでしょう。

技術士

技術士とは国家資格のひとつで、科学技術に関する高度な知識と応用能力を認めるものとして付与される資格です。専門的な応用能力が必要な計画や調査・研究・設計をこなせる証明とも言えます。

技術士の資格試験を受けるには、前提として関連する業務に7年を超える期間の従事、もしくは技術士補として4年を超える経験が必要と、実務経験が重要になります。

試験では、筆記試験や口頭試験が行われ、合格率は15%から20%となっています。この狭き門を突破したならば、建築コンサルタントとして輝かしい未来も期待できることでしょう。

試験内容(技術士)

国家資格である技術士を取得するためには、大学にて指定科目を修了、もしくは技術士の試験を受験し合格する必要があります。技術士の試験には、「技術士第一次試験」と「技術士第二次試験」の二種類が存在します。

技術士第一次試験は、技術士補の資格が取得可能です。また、技術士補は技術士の補助および技術士を目指す上で必要になる重要な資格です。

技術士第一次試験の受験資格は特になく、学歴や職歴、年齢を問わず受験が可能です。受験方法は、まず公益社団法人日本技術士会のサイト、もしくは各支部にて申込書類を取得し、必要事項を記入。続いて、記入済みの申込書類に6ヶ月以内に撮影した写真(半身脱帽、縦4.5㎝、横3.5㎝)を貼り付けて、申込期間中に公益社団法人日本技術士会へ提出します。

受験手数料は、11,000円(税込)です。

なお、技術士法施行規則第6条に該当する方は、免除事由に該当することを証明できる証明書、もしくは書面を提出する必要があるため注意するようにしましょう。

試験会場は、受験票に記載されているため事前に確認できます。

試験内容は五肢択一のマークシート方式で、総合技術監理部門を除く20種類の部門から出題されます。

試験科目は、技術技術全般の基礎科目と技術士第4章の規定に関する適正科目、専門科目の3種類に分かれていています。また、専門科目に関しては事前に1種類の技術部門を選択することとなります。

試験時間と配点は以下の通りです。

  • 基礎科目:1時間、15点満点
  • 適正科目:1時間、15点満点
  • 専門科目:2時間、50点満点

技術士第二次試験については、第一次試験と同じく、申込書の取得と必要事項の記入および提出といった流れで受験します。

試験内容は、必須科目と事前に部門を選択しておく選択科目の筆記試験に加えて、口頭試験も含まれているのが特徴であり、第一次試験との違いといえます。

総合技術監理部門の必須科目は、「安全管理」 「社会環境との調和」「経済性(品質、コスト及び生産性)」 「情報管理」、「人的資源管理」の5科目から出題されます。また、記述式の試験問題で、試験時間は2時間となっています。

選択科目は、選択部門の専門的知識や応用能力、課題解決能力に関する試験問題を記述式にて解答します。また、試験時間は3時間30分です。

総合技術監理部門以外の必須科目は、技術部門に関する専門知識や応用能力、課題解決能力を問う問題を試験時間2時間で解き進めていきます。選択科目は、総合技術監理部門と同じ構成になっています。

RCCM

RCCMは民間資格です。「シビルコンサルティングマネジャー」の略称であり、技術者として業務の管理や照査を行う役割として位置づけられています。資格取得の難易度は技術士よりも低いとされており、合格率はおおよそ30%程度です。

ただし受験には、大学院修了者は5年以上・中学校卒業者であれば14年以上の実務経験が前提となっています。そのため、技術士と同様に建設コンサルタント業界にてある程度の実務年数を積む必要があり、働きながら勉強し、合格を目指していくこととなるでしょう。

試験内容(RCCM)

民間資格のRCCM(Registered Civil engineering Consulting Manager)は、年1回7月頃に実施される試験に合格することで取得できます。

RCCMの試験は、指定学歴および卒業後に指定年数以上の実務経験がある方でなければ受験できないため、技術士よりも受験難易度が高い資格といえます。

受験申込を行うには、一般社団法人建設コンサルタンツ協会の公式サイトに設置されているWeb申請システムから手続きを進めます。受験手数料は、カード払いで17,320円(税込)、コンビニ払いで17,620円(税込)がかかります。また、資格取得後にも登録手数料や更新料がかかるため、一般社団法人建設コンサルタンツ協会の公式サイトから合格後の手続きや手数料について確認しておくことが大切です。

RCCMの試験内容は、筆記試験のみでマークシート方式と記述式が含まれています。

試験前には22種類の部門から1種類の技術部門を選択し、以下5科目を解く流れです。

  1. 選択した部門に関する専門技術分野の業務経験と業務評価:2,400文字の論文として記述
  2. 業務関連法制度、建設一般の知識、技術者倫理等:マークシート方式
  3. 業務遂行に関する管理技術力:1,600文字の論文として記述、3問から1問選択
  4. 土木関連の基礎的共通技術知識:マークシート方式
  5. 選択した部門に関する専門技術部門の技術知識:マークシート方式

合格率は、20%台の年度もあれば40%を超える年度もあります。試験年度によって難易度や出題内容に違いが生じている可能性があるため、受験対策としては複数年度の過去問を繰り返し解くことが大切でしょう。

土木施工管理技士

技術士とRCCMの次に優先順位の高い資格がこの土木施工管理技士です。土木施工管理技士は国家資格であり、土木工事に関する工程管理や安全管理、品質管理、予算管理など、工事全体のプロジェクトを監督します。資格は1級と2級があり、建設コンサルタントとしての資格取得であれば、大規模土木工事の施工管理が行える1級資格が必要となります。

1級試験の受験資格は、それぞれ土木・工学系の大学修了者なら3年の、それ以外の大学修了者は4年半、高卒なら11年半の実務経験が必要となります。

学科と実地の二段階選抜試験となっており、学科の合格率は約50%、実地の合格率は約30%前後、最終合格率は約15%前後と言われています。決して高くはない合格率ですが、毎日の仕事をきちんとこなし、実務の基礎知識を積み重ねていくことが、試験対策として効果的だと言えるでしょう。

建築士

建築士も国家資格の一つで、戸建て住宅やマンション、店舗やオフィスビルなど多岐に渡る建物の設計や、建築工事の監督をします。建設コンサルタントが社会インフラ工事をメインに行う一方、建築士は分野の異なる設計・工事担当となります。

しかし、建設コンサルタントは建築士が設計したものを監修するなど相互に関連があるため、建設コンサルタントとして働く場合でも、建築士の資格があるととても役に立ちます。

建築士の資格は1級、2級、木造の3種類があり、多くの受験者が目指す2級の合格率は約20%前後と、やや難易度が高いと言えるでしょう。建築士の資格取得には建築系の大学や専門学校を修了するか、数年単位の実務経験を積んでから、国家試験を受験して合格するルートが一般的となっています。

測量士

建設工事や土木工事が予定されている土地の面積や形状、高低差、位置などの測量作業を行うための国家資格が測量士と呼ばれるものです。社会インフラサービスなどの大規模土木工事の前には、測量作業が必ずあります。測量士によって計測されたデータを元に建設コンサルタントが工事計画の立案や設計作業を行うため、測量士の資格も同時に保持していればアドバンテージとなるでしょう。

資格取得への道は何通りかありますが、どなたでも受験可能な国家試験に合格することが最短のルートとなります。ただ、非常に狭き門であり、合格率は約10%前後と低いため、多くの方はやや難易度が低くなる測量士補という資格をまず取得し、研修を受けながら測量士になる方法を選択します。この測量士補の試験合格率は約30〜40%前後とされており、測量士よりは合格が見込みやすい資格と言えるでしょう。

建設コンサルタントとゼネコンの違い

一般的には重複する業務はあるものの関わり方が異なる

建設コンサルタントとゼネコンの違いは、工事への関わり方です。社会インフラを造り上げるという目的は同じですが、その関わり方が違うと言えるのです。基本的な工事の工程は、「企画・計画・調査・設計・施工・完成」と言う流れです。その中で、建設コンサルタントは企画から設計・施工監理を行います。

建設コンサルタントは社会インフラサービスを作るにあたっての「トータルプロデュース」の役割。一方ゼネコンは、施工と施工管理が主になります。ここでよく混同しやすいのが「施工監理」と「施工管理」。この違いとしては「施工管理」をさらに管理するのが「施工監理」というイメージです。

つまり、建設コンサルタントはゼネコンの施工のしやすさや安全性を考慮して全体を組み立てているのです。そしてゼネコンはその意図を汲み取って施工を進め、お互いに協力・連携してインフラを造り上げていくのです。

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株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。

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引用元HP:株式会社ティーネットジャパン 公式サイト
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