大変な事態が発生することのないように、正しい知識をもって、適切な管理をおこなうことが求められる盛り土。こちらでは、盛り土について、その性質や使用される土、基本的なプロセスなどについて紹介しています。また、盛り土による被害についても説明しているので、リスクをできる限りおさえて盛り土をおこなうためのヒントとして、ぜひチェックしてみてください。
斜面や低い地盤に人工的に土を盛り、土地の地盤面を高くすることを、盛り土といいます。盛り土がおこなわれた土地は、一般的な地山と比較すると、どうしても強度が劣ります。特に、大雨が降ったあとなどは注意が必要です。というのは、大量の水分を含むと、盛り土と地盤の境界部が滑りやすくなってしまうからです。滑りやすくなっている状態だと、場合によっては、崩壊につながる可能性もあります。
適切な方法でおこなわないと、そういった被害を引き起こす危険性をはらんだ工法ではありますが、国土を占める平地の割合が少ない日本では、土木工法のひとつとして、ひろく採用されているのが実情です。
土の基本的な構成について、まずはおさえておきましょう。土の骨格となっているのは「土粒子」です。そして、その隙間を埋めているのが水と空気です。天然の素材である土は、どの地域にも存在していますが、品質はそれぞれ異なります。
その中で、盛り土に求められる品質としては「走行性のよさ」「浸食に対する強さ」「木の根・葉などの有機物が含まれていないこと」などが挙げられます。膨張性が大きいペントナイトや有機土の利用を避けることも大切です。
【STEP1】
締固めの厚みが30cm以下になるようにします。均一に敷均していくのがポイントです。
【STEP2】
縦横断勾配にしっかりと注意を払いながら、盛り土の内側に水が浸入しないように締固めます。土に含まれる空気量をできるかぎり減らし、強度をアップさせることが重要です。
盛り土による被害は、これまでに全国的に発生しています。頻発しているのが、盛り土が崩れ、土砂が流れ出してしまう被害です。2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流のケースでは、適切な対応がおこなわれていなかったことが事故の原因であるとされています。
盛り土が崩落してしまう事故が多発している背景には、どのような原因があるのでしょうか。特に把握しておくべき原因は、盛り土の管理に関する制度の不備だといえるでしょう。制度がうまく機能しているとはいえないからです。どういった点が制度上のネックになっているかといえば、それは、法律の対象とされていない土地に盛り土をするケースがあるということです。
たとえば、農地を転用する際は、農地法という法律によって、盛り土の高さや斜面の角度が規定されていますし、さらに排水設備設置も義務付けられたりしています。けれども、法律の対象となっていない種類の土地に盛り土をする場合、特段の決まりがないわけです。盛り土を一律に規制する法律がないことが、危険な盛り土事故が国内でしばしば発生している原因のひとつになっていると考えられます。
対応をまちがえると、崩落などの大きな被害をもたらしてしまう可能性のある盛り土。土木施工に関わる者としては、崩落の原因や盛り土の際の注意点などについて、正しい知識をしっかりと身につけておくことが大切です。
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