こちらでは、建設に関連する職業のひとつである左官工について紹介しています。建設業務において仕上げの役割をになう仕事です。建設の全プロセスを現場で監督する立場であった土木施工管理技士としての経験がある人なら、左官工の業務の重要性を認識しつつ、業務にスムーズに携わっていけるのではないでしょうか。
左官工とは、「塗り」の専門的な技術をいかして建物の仕上げをおこなう職人のことです。「鏝(こて)」という道具を使用して、壁塗りを仕上げたり、モルタルで壁や床などを仕上げたりするのが主な仕事内容です。この他にも、レンガを積み上げていく作業や内部のタイル貼りなどの作業も左官工がおこないます。
仕上げの作業を担当する左官のスキルは、つまり、見栄えのよさにダイレクトに影響することになります。お客さんが見たときに見栄えのする仕上がりを実現するためには、スピードよりも、各部分に対してしっかりとていねいに仕事を進めていくことが大切です。ですから、腕を磨くことが、ステップアップにつながっていくといえます。
取得しておかなくてはならない特別な資格や学歴などは必要ありません。ただ、一人前の左官工として仕事ができるようになるまでには、決して少なくない時間がかかります。ひととおりの作業をこなすためのスキルを身に付けるためには、数年以上かかるようです。親方のもとで学び、現場経験を積みあげて、腕をみがいていくことになります。
上述のとおり、必須の資格はありませんが、関連の資格があれば左官工としての技能レベルの証明になるので、できれば取得しておくのがおすすめです。左官工関連の国家資格としては「左官技能士」が挙げられます。それぞれの検定職種について学科試験および技能試験が実施されます。また、級ごとに異なる受験要件が設定されているので、あらかじめ調べておくようにしましょう。
厚生労働省による「令和元年賃金構造基本統計調査」では、左官工の平均年収は387万円と示されています。あくまで平均収入なので、それぞれの左官工が身に付けているスキルや経験の豊富さによって、この数字は大きく左右されると考えておいたほうがよいでしょう。
ちなみに、熟練の左官工であれば、600万円を超える年収を得ることも不可能ではありません。とはいえ、一人前になるまでの間は、一般的な勤め人と比較すると、収入はやや少なくなってしまうことが見込まれます。
左官工のなかには、独立開業をする人もいます。事業が順調に利益を出せるようになれば、かなりの収入アップも可能です。ただし、その場合には技術者としてのスキルだけでなく、経営者としての統率力や部下の育成が求められますし、他社との差別化などを考えていく必要もあるでしょう。
自分の技術をそのまま発揮することができる左官工。腕の良さが、そのままきれいな仕上がりへと直結するため、お客さんから高く評価してもらえると、大きなやりがいを感じられるはずです。
主な就職先は、左官工事会社や内装工事会社など、左官工事を取り扱う企業です。リフォーム会社や外構工事会社などもその中に含まれます。左官工の仕事は、習得に長い時間がかかるため、親方と現場に入り、さまざまな技術を学んでいくことになります。
日本では、かつて、左官工は家屋やビルの建設現場などで幅広く活躍していました。けれども、さまざまな技術が進化をとげた現在では、左官工による作業は人件費がかさみ、工期も長いことから、需要が減少しつつあります。左官職人の人口も減少傾向です。
とはいえ、最近のエコに対する意識の高まりなどにより、左官工が扱うシラス・漆喰・珪藻土などの自然素材が注目を集めつつあります。調湿効果といった機能性の高さが、その大きな魅力となっています。
さらに、左官工が鏝(コテ)を使用しておこなう仕上げの芸術性の高さにも、注目があつまっています。芸術性の高さは今はじまったものではありませんが、近頃それが再評価されるようになってきたわけです。左官工の将来性にはついて考えるとき「一定の需要はある」という現状をふまえて、先を見通すことが大切です。
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