建築士とは一級建築士・二級建築士・木造建築士といった国家資格を取得し、その仕事に就いている人のことです。具体的な仕事には、設計図を作成したり、その設計図をもとに建築現場で工事を監督したりなどがあります。ここでは、建築士の仕事内容や給料、やりがいなどについて紹介します。
学校や病院、劇場、デパート、ビルなどさまざまな建物に対して用途に応じて設計図をつくり、設計図をもとに実際に建築現場で作業員を指揮・監督するのが建築士の主な仕事です。設計図を作成する際には、施主からの要望や予算、ライフスタイルなどをヒアリングし、意向を十分にくみ取ったうえで現実のプランに落とし込んで建物を設計します。建物は機能性やデザイン性だけでなく当然安全性も必要なため、建築士は厳しい建築基準に基づいた設計を実施しなければなりません。
実際に工事が始まれば、建築現場で工事監理をします。都度現場へ足を運び、工事が設計図面通り進められているか、品質管理は適切に行われているかなどを施主の代わりに確認します。建物の完成までには、大工や職人、土木工事業者、電気工事業者など多くの人が工事に携わることになります。それらの人たちを束ね、指示を与えたりして工事が円滑に進むよう監督することも建築士の重要な仕事です。
建築士になるには、建築士の国家資格が必要となります。建築士資格には、建物の用途や規模、構造に応じて「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3種類があります。受験には所定の実務経験や認可校の卒業資格が必要で、学生から目指すには大学や専門学校などで建築学科に進学し、卒業後に二級建築士試験を受けるのが最短ルートとなります。二級建築士は、住宅クラスの設計が可能です。
さらに上を目指す場合は一級建築士の資格を取得しますが、一級建築士は建築士として実務経験のある人だけが受験することが可能な試験です。そのため、設計事務所や建築会社などへ就職して実務経験を積みながらキャリアアップを目指すことになります。一級建築士の合格率は10～15％で、かなり難易度が高い資格といえるでしょう。一級建築士になれば、大型施設まで制限なく携われるようになります。
建築士は、建築に関する専門的な勉強をして国家試験に合格した人だけがなれる専門性の高い職業です。そのため給与水準はやや高めで、二級建築士であれば平均年収450～550万円ほど。一般建築士の場合「政府調査」だと年収550万円ですが、600～700万円ほどあるともいわれています。キャリアや保有資格、勤務先の規模などによって待遇は異なり、大手建設会社で役職者の場合、年収1000万円を超える人も多いようです。
参照元：e-Stat政府統計の総合窓口/賃金構造基本統計調査 平成21年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別
建築士にはさまざまなやりがいがありますが、建築を通じて人々を笑顔にできるという点にやりがいを感じる人は多いです。建築は人々のために設計されるものであり、家を設計すれば家族が住み学校を設計すれば子供たちが毎日通うことになります。建築士の仕事は、建築を通して人々の生活を豊かにすることができます。自分が設計した建物が笑顔で人々に利用されるのを見たとき、建築士はやりがいを感じられるでしょう。
また、設計した建物が完成したときの達成感もやりがいのひとつです。ゼロから１つの建物を創る感覚や感動は、建築士ならではの醍醐味といえるでしょう。
建築士の就職先には、設計事務所やハウスメーカー、ゼネコンの設計部署、工務店などがあります。建築士の資格を活かせる仕事はたくさんありますが、どんな働き方をしたいかによって就職先は異なります。自分は何をやりたいのか、優先すべきは何なのかをよく考えてから就職先を決定するようにしましょう。
国内の建設市場は人口減少によって縮小傾向で、それに伴い建築士の需要も減りつつあります。また一級建築士の資格取得には実務経験が必要ですが、実際に働き出すと業務が多忙で受験勉強に時間を割けないという理由もあり、一級建築士の受験者数は減少傾向が続いています。
ですが、逆に言うと一級建築士の資格を取得できれば、建設市場が縮小していくなかでも自身の価値を高め、安定的に働けるチャンスを掴みやすいともいえます。時代のニーズを読み、自身の持つ建築士としての強みを十分に発揮できる働き方ができれば大きな活躍も見込めるでしょう。
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