PRIDE~次世代へつなぐ 土木施工管理技士の新しい働き方 » 【なりたい】土木施工管理技士になるには » 令和6年度1級土木施工管理技術検定の総評【コラム】

令和6年度1級土木施工管理技術検定の総評【コラム】

このページでは令和6年度に行われた1級土木施工管理技術検定の総評をまとめています。各分野の内容と難易度について詳しく解説しているので、試験を受検された方、来年以降の受検を考えている方はぜひ参考にしてください。

令和6年度 1級土木施工管理技術検定「第一次検定」について

令和6年度1級土木施工管理技術検定「第一次検定」は、令和6年7月7日(日)に実施されました。本年度は、新しい科目の追加や受検要件の緩和など、大きな変化がありました。

受検者数・合格率

令和6年度の第一次検定の受検者数は51,193人で、前年の32,931人から18,262人増加しました。一方、合格者数は22,705人で、合格率は44.4%となりました。前年の49.5%から5.1ポイント低下し、過去10年で最も低い合格率となっています。

第一次検定の概要

第一次検定では、工学基礎知識や施工管理法などの土木施工管理に必要な知識が出題されます。

令和6年度は全101問が出題され、そのうち70問を解答(必須問題40問、選択問題30問)する形式でした。本年度から新たに土質工学、構造力学、水理学の分野が追加され、問題数は前年度より5つ多くなっています。

試験範囲の拡大や問題数の増加により、例年よりも難易度が上昇しました。特に新たに加わった科目は、専門的な知識が求められるため、多くの受検者にとって挑戦的な内容だったといえます。一方で、過去問を活用した対策が有効であった分野も多く、しっかりと準備を行っていれば得点を伸ばすことができる試験でもありました。

それでは、各分野の問題についてより詳しく見ていきましょう。

【問題A】工学基礎知識 No.1~No.5

この分野では、新科目となる土質工学、構造力学、水理学から5問が出題されました。具体的には、湿潤密度や飽和度を扱う土質工学、最大曲げモーメントや断面一次モーメントを問う構造力学、流速や流量を扱う水理学の問題です。

これらは大学などの専門課程で学ぶ知識が必要とされ、多くの受検者にとって初めて触れる内容だったため、難易度が高かったといえます。

特に、土質工学の問題は、土の性質に関する基礎的な内容ではあるものの、解答には知識の正確さが求められました。また、構造力学では計算問題が含まれ、これに慣れていない受検者は苦戦したのではないでしょうか。

【問題A】土木一般 No.6~No.20

土工、コンクリート、基礎工といった土木の基本的な内容が15問出題されました。この分野では、過去に出題された内容が多く含まれ、対策をしっかり行っていれば比較的解きやすい問題が多かったといえます。

しかし、一部の問題には初めて出題される用語や、原理原則の理解を必要とする内容も含まれており、暗記だけでは対応できない内容も見られました。

例えば、コンクリートの配合や骨材に関する問題では、過去問の知識を活かして解答することが可能でしたが、鋼管杭基礎や寒中コンクリートに関する問題は、実務経験がない受検者にとって難易度が高かったと考えられます。

【問題A】専門土木 No.21~No.54

専門分野に関する内容が34問出題され、うち10問を選択して解答する形式です。専門性が高い内容が多く含まれており、実務経験や専門知識の有無が得点に大きく影響したと考えられます。

ただ、難易度は例年と比べてもあまり変わらず、ポイントを押さえた対策を行っていれば、ある程度の得点は可能でした。過去問でしっかりテスト対策を行い、本番で確実に解ける問題を見極めることができた受験生は、点数を稼ぎやすかったのではないでしょうか。

【問題A】法規 No.55~No.66

法規分野では、過去問に基づいた問題が多く出題され、事前の学習が得点につながりやすい分野でした。しかし、一部の問題では、例年とは異なる新しい形式の出題があり、細かい知識を問われる内容も含まれていました。

例えば、建設業法や建築基準法に関する問題では、特に注意深く解答する必要がありました。

【問題B】共通工学・施工管理法 No.1~No.20

施工管理に関する基本事項や頻出事項が出題されました。この分野は過去問に基づく出題が多く、対策が取りやすい内容でした。しかし、一部では新しい用語や形式の問題も含まれており、問題文をしっかり読み、正確に理解することが重要でした。

【問題B】施工管理法(応用能力) No.21~No.35

応用能力を問う問題が出題され、正誤判断が難しい問題が含まれていました。この分野では15問中9問以上の正解が求められるため、試験全体の中でも合格に直結する重要な分野といえます。

過去問に類似した問題が多く出題されていましたが、解答に必要な知識が幅広く、慎重な解答が求められました。

令和6年度 1級土木施工管理技術検定「第二次検定」について

令和6年度の1級土木施工管理技術検定「第二次検定」は、令和6年10月6日(日)に実施されました。本年度から施工経験記述の出題形式の変更が通知されており、それが懸念事項でした。

全体的な難易度としては例年並みでしたが、やはり、施工経験記述の変更や新しい出題形式に戸惑った受検者も多かったと思われます。一方で、過去問の対策が活かせる問題も多く、事前準備を徹底していれば得点を伸ばせる試験だったと言えるでしょう。

合格発表は令和7年1月10日(金)に予定されています。

第二次検定の概要

第二次検定は、必須問題3問と選択問題8問の計11問が出題され、そのうち7問を解答する形式で実施されました。

全体的な難易度は例年とほぼ同じ水準といえます。それでは、各分野の問題についてより詳しく見ていきましょう。

問題1 経験記述

施工経験記述では、受検者が経験した土木工事を1つ選び、「工事概要」に加えて「安全管理」と「施工計画」の2つのテーマについて記述する形式で出題されました。

記述内容は、「現場状況、技術的課題、検討項目」を8行、「対応処置とその評価」を8行ずつ書く形式で、昨年よりも記述欄が27行から16行に減少しました。一方で、記述するテーマが2つに増えたため、準備していた文章の再構成に手間取った受検者も多かったと考えられます。

「安全管理」は令和3年、4年にも連続して出題されている定番テーマのため、対応しやすかった方も多いでしょう。

一方、「施工計画」は平成5年以来の久しぶりの出題となり、多くの受検者が驚いたと思われます。しかし、工程管理や品質管理、環境対策など、多角的に記述する準備ができていた方は対応できたのではないでしょうか。

問題2

安全管理に関連する「安全ネットの構造や基準」に関する穴埋め問題が出題されました。

この内容は第二次検定では初めての出題ですが、一次検定では扱われた実績があります。そのため、一次検定の知識をどれだけ応用できたかがポイントとなりました。不慣れな受検者にとってはやや戸惑う内容だったかもしれません。

問題3

「施工体制台帳における建設業法や入札契約適正化法の定め」を5つ書き出す記述式の問題が出題されました。こちらも第二次検定では初めての出題でしたが、一次検定で扱われた内容を基にしており、元請業者としての実務経験を持つ受検者には答えやすい問題だったといえます。

しかし、細部まで正確に記述できた受検者は限られたのではないでしょうか。

問題4~7(選択問題(1) 4問中2問解答)

選択問題(1)では、4問の中から2問を選択して解答する形式で出題されました。

問題4は暑中コンクリートに関する問題で、打設時の留意点を穴埋め形式で答える内容でした。特に(ハ)「一体性」、(ニ)「凝結」の部分は初めて出題されたため、過去問の知識だけでは対応が難しく、やや難しい問題でした。

問題5は土の締固めの品質管理に関するものです。令和4年や5年の類似問題が含まれており、基本的な部分は過去問の対策が活かせました。ただし(ホ)「当初」に関する部分は初出題で、やや迷いやすい問題だったと思われます。全体としてはやや易しい印象でした。

問題6は移動式クレーンの安全対策に関する問題でした。平成21年以来の穴埋め形式の出題でしたが、過去に似た問題が散見されるため、基本事項を学習していれば対応可能だったでしょう。全体的にはやや易しい問題です。

問題7は情報化施工に関する問題で、GNSSを用いた盛土の締固め管理がテーマでした。過去問で問われた箇所とは異なる部分が出題されおり、選択問題(1)のなかでは特に難しい問題でした。

問題8~11(選択問題(2) 4問中2問解答)

選択問題(2)では、すべて記述式の問題が出題されました。

問題8は切梁式土留め支保工内の掘削順序や場内排水などの留意点を記述する問題でした。令和4年の類似問題が含まれており、類似工事の経験者には答えやすい問題だったといえます。

問題9のコールドジョイントの発生防止対策は定番テーマの1つで、過去問を学習していれば高得点が狙える問題でした。得点源となる内容です。

問題10は足場組立て作業の開始前に点検すべき項目を2つ記述する問題でした。過去に一次検定に扱われたことがあるジャンルですが、二次検定では初出題のため、難しいと感じる方も多かったでしょう。

問題11は騒音・振動について具体的な防止策や調査を5つ記述する問題でした。都市部や住宅街の工事経験があれば、3つ程度は書き出しやすい内容でしたが、5つ全てを正確に記述するには実務経験が問われたといえます。

本サイトの監修・取材協力企業

株式会社ティーネットジャパンとは

発注者支援業務において
日本を代表する企業

株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。

株式会社ティーネットジャパン 公式サイト
引用元HP:株式会社ティーネットジャパン 公式サイト
https://www.tn-japan.co.jp/ja/
       

(株)ティーネットジャパン 全国積極採用中
求人情報をチェックする