大がかりになってしまうことが多い、ダムの建設工事。土木施工管理技士としては、複数あるダム建設のための工法を把握した上で、それぞれの適切な導入シーンなどに関する理解を深めておくことが大切です。こちらでは、工期の短縮につなげやすく、かつリスクをおさた施工が可能なELCM工法について紹介しています。詳しい特徴や施工手順、工事の種類などをみていきましょう。
段差を設けることなく、同時に複数のブロックを打設していく工法です。「Extended Layer Construction Method」という、英語名称の頭文字を合わせたこの工法。「拡張レヤ工法」という別名で呼ばれる場合もあります。
別の工法である「レア工法」では、コンクリートを流し込むところを横方向だけに区分けし、ブロックをレイヤー状になるように重ねていく手法がとられます。一方で、ELCM工法の場合は、横方向だけでなくダム軸の方向にも拡張し、できるだけ大きく区切っていくのが特徴です。
その違いがあるため「拡張レヤ工法」という別名を持っています。ブロックを細かく分割していく必要がないので、工事にかかる時間の短縮につながるこの工法は、いわば、レヤ工法の発展形であるといえるでしょう。中小規模の重力式コンクリートダムの建設で導入されることが多いです。
ECLM工法は、レヤ工法と異なり、建設する部分を細かく分割する必要がありません。しかも、複数のブロックを同時に造成することが可能であり、この点も、工期を大幅に短縮できるもうひとつの理由となっています。
分割するブロックの数を減らすことができるELCOM工法には、施工現場を広く使えるようになるというメリットもあります。充分な広さを確保できれば、大型の機械を現場で使用しやすくなり、スピーディーに作業を進めることが可能になるので、さらなる工期の縮小にも寄与します。また、スペースにゆとりがあれば、安全性の向上にもつながるでしょう。
複数のブロックを造成してから、ダム軸と直角方向の継ぎ目部分へ、コンクリートの流し込みをおこないます。そして、コンクリートを打設するときには、締め固めのためのアイテムとして、バイバックや棒状バイブレータを使用します。
中規模および大規模のコンクリートダムの建設工事において、現在主流となっているのが「RCD工法」です。ダンプトラック・インクライン・ケーブルクレーンなどを使って、超硬練りのコンクリートをダムの壁部分の施工現場まで運搬し、ブルドーザーで敷均していきます。締固め作業には、振動ローラを使用します。
打設面に段差が生じにくいので、作業現場にブルドーザーや振動ローラを導入するための充分な広さを確保できるのが特徴です。そのため、工期短縮およびコスト削減のいずれもが可能になります。
ダム建設現場などで、いっぺんにコンクリートの大量打設をおこなうと、コンクリート内部で水和熱が発生しやすくなります。このことで、温度応力などを原因とするひび割れが起こりやすくなるため、注意が必要です。
水和熱が生じるのを防ぎやすくなるのが、柱状工法です。ダムを縦継目および横継目の複数ブロックに分割してからブロックごとにコンクリート打設を実施します。施工時に各ブロックで段差ができますが、それが柱のようにみえるため、柱状工法という名称になりました。
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