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スレーキング

スレーキングとは、軟石や硬岩が自然環境の影響によって細粒化・土砂化してしまう現象を指します。この現象が発生すると、盛土や切土の安定性が低下し、盛土の崩壊や不等沈下、斜面崩壊といった問題につながります。

これらは土木工事の長期的な安全性や施工品質に直結するため、土木施工管理技士としてスレーキングについて正しく理解し、適切な対策を講じることが求められます。こちらでは、スレーキングの基本から原因、具体的な影響、リスク評価試験、さらには対策方法までを詳しく解説します。

スレーキングとは?

スレーキングとは、雨や雪、湿度の変化、乾燥といった自然現象が繰り返されることで、岩石や地盤材料が劣化して細粒化する現象です。「スレーキング現象」とも呼ばれ、特に凝灰岩や泥岩、頁岩、蛇紋岩などのスレーキング性材料で起こりやすいとされています。

これらの材料は、施工直後には問題が見えなくても、時間が経つにつれ自然環境の影響で崩壊が進行し、施工箇所にひび割れや沈下、崩壊といった重大な問題を引き起こします。

この現象の本質は、湿潤と乾燥の繰り返しにあります。水分を吸収して膨張し、乾燥して収縮する過程が繰り返されることで、材料が徐々に細粒化して耐久性を失います。特に、気象条件の変化が激しい地域や降雨が多い環境では、スレーキングのリスクが一層高まります。

スレーキングが発生する原因と影響

スレーキングの主な原因は、湿潤と乾燥が繰り返されることで材料が劣化することですが、その詳細を理解することが重要です。例えば、降雨による浸潤だけでなく、地下水位の変動や湧き水の存在もスレーキングの要因となります。

こうした影響は施工現場の地形や地質、気象条件によって異なりますが、特に以下のような影響を引き起こします。

1つ目に、盛土の安定性が低下します。スレーキング性材料を用いた盛土では、材料の細粒化が進むことで耐久性が失われ、ひび割れや沈下が発生します。長期間にわたる安全性を求められる土木構造物において、この問題は深刻です。

2つ目に、盛土の崩壊が起こるリスクがあります。盛土は、施工後の圧縮や沈下を経て安定するのが通常ですが、スレーキングによって安定化が進まず、最終的には大規模な崩壊につながることがあります。特に、崩壊が建築物や人々の安全に影響を及ぼす場合は、重大な災害につながる恐れがあります。

さらに、切土においてもスレーキングの影響は無視できません。切土法面にスレーキング性材料が含まれている場合、露出した材料が風化し、地すべりや斜面崩壊の原因となります。こうした現象が発生すれば、追加工事の費用が発生するだけでなく、環境や周辺地域にも深刻な影響を及ぼします。

スレーキングのリスクを把握する試験方法

スレーキング性材料を使用せざるを得ない場合や、施工現場にこれらの材料が存在する場合、事前にリスクを評価することが重要です。そのためには、以下のような試験を実施してスレーキングの影響を定量的に把握することが推奨されます。

浸水崩壊度試験

浸水崩壊度試験では、スレーキング性材料を乾燥させた後に水に浸し、時間の経過によって崩壊がどの程度進むかを観察します。この試験の目的は、岩石の形状変化や崩壊の進行具合を評価し、スレーキングリスクを「A〜D」の4段階で分類することです。

試験はおおよそ1週間から10日間かけて行われ、材料がどの程度劣化するかを明確にします。

岩の乾湿繰り返し吸水率試験

岩の乾湿繰り返し吸水率試験は、切土法面の耐久性や風化のリスクを評価する試験方法です。この試験では、スレーキング性材料を10回以上水に浸して乾燥させる過程を繰り返し、その間に発生する質量変化を測定します。

試験の結果から、乾燥と湿潤のサイクルにおける材料の強度低下や耐久性を定量的に評価します。

これらの試験を行うことで、スレーキング性材料がどの程度施工後に劣化するかを事前に把握し、適切な施工方法や材料選定に役立てることができます。

スレーキングを防ぐための対策

スレーキングのリスクを最小限に抑えるためには、施工条件や使用材料に応じた具体的な対策を講じる必要があります。

まず、排水処理を徹底することが挙げられます。スレーキングは浸潤と乾燥の繰り返しが原因であるため、雨水や地下水、湧き水の影響を最小限に抑える排水システムを構築することが重要です。事前の地質調査や水位の確認を行い、適切な排水処理を計画することで、スレーキングリスクを低減できます。

次に、破砕転圧を行う方法があります。岩石などのスレーキング性材料をあらかじめ破砕し、転圧することで細粒化や土砂化の進行を抑えることができます。これにより、不等沈下や耐久性の低下を予防できます。

また、石灰やセメントといった改良材を用いて土壌を安定化させる方法も有効です。この方法は、破砕転圧が十分な効果を発揮しない場合や、排水処理だけでは不十分な場合に特に有効です。ただし、改良材の使用にあたっては、事前にその効果を十分に検証する必要があります。

さらに、工法規定方式による品質管理を徹底することも重要です。土中の空気間隙率が15%以上になるとスレーキングのリスクが高まるため、この値を下回るように施工手法を選定し、工法を組み合わせることで安全性を確保することが可能です。

まとめ

スレーキングは、土木工事の長期的な品質や安全性に大きな影響を及ぼす現象です。そのリスクを正しく理解し、事前にリスク評価試験を行い、適切な対策を講じることが、施工後のトラブルを防ぐ鍵となります。

土木施工管理技士として、スレーキング性材料やそのリスクを正確に把握し、施工現場に応じた最適な方法を選択することで、安全で持続可能な施工を実現しましょう。

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