コンクリートのリサイクル手法として、近年「再生骨材（再生骨材コンクリート）」の活用が進められています。持続可能な社会の実現を目指す中で、建設現場でも廃材を再利用し、環境負荷を軽減する取り組みが注目を集めています。このページでは、土木施工管理技士として知っておくべき再生骨材について詳しく解説します。
骨材とは、コンクリートを構成する材料の一部で、セメントや水と混ぜて使用される砂利や砂のことを指します。再生骨材は、解体された建物などから発生した廃コンクリートを粉砕・処理して再利用するリサイクル素材です。この再利用された骨材を用いて作られたコンクリートを「再生骨材コンクリート」と呼びます。
再生骨材は、コンクリートのリサイクル方法として非常に有効であり、廃材を再利用することで、環境負荷の軽減や産業廃棄物の削減に大きく貢献しています。また、再生骨材の品質や用途に関しては、日本工業規格（JIS規格）によって厳格な基準が設けられており、これに従って安全に使用されます。
再生骨材は、JIS規格によって品質や性能に応じて「L」「M」「H」の3つのグレードに分類されています。各グレードの再生骨材は、それぞれ使用できる場面や用途が異なり、土木施工管理技士としてこれらの違いを理解しておくことが重要です。
再生骨材Lは、最も低品質なグレードの再生骨材です。これは、解体されたコンクリートを破砕した後、基本的にほとんど追加の処理を行わずに使用されるため、強度や耐久性が低い点が特徴です。そのため、再生骨材Lを使用したコンクリートは、耐久性が求められない場所で使用されます。
具体的には、建築物の基礎工事に使われる捨てコンクリートや、仮設の道路、土間コンクリートなど、強度をそれほど必要としない部分での利用が一般的です。低コストで使用できるため、適切な場所で使うことで効率的な施工が可能です。
再生骨材Mは、中程度の強度と耐久性を持つグレードです。再生骨材Lに比べ、より細かく処理されているため、コンクリートの品質も向上します。再生骨材Mを使用したコンクリートは、無筋コンクリート製品や鉄筋コンクリート製品など、ある程度の強度が求められる場面で使用されます。
また、再生骨材Mを用いるコンクリートは、寒冷地でも凍結融解に対する耐久性を発揮し、乾燥収縮が少ないため、基礎梁や杭などにも適しています。適切な処理を施された再生骨材Mは、一般的な建築用途でも問題なく利用できます。
再生骨材Hは、最も高品質なグレードであり、強度と耐久性に優れた再生骨材です。このグレードの骨材を使用したコンクリートは、マンションやビルなどの主要構造部にも利用でき、新品のコンクリートと同等の性能を持つとされています。
高い強度が求められる鉄筋コンクリート造の建物や、橋梁、道路などのインフラ整備にも使用され、再生骨材Hは、新品の骨材に劣らない耐久性と信頼性を持っています。そのため、幅広い建設プロジェクトで利用される重要な素材です。
再生骨材を使用することには多くのメリットがあり、特に環境負荷の軽減やコスト削減の面で大きく貢献しています。以下では、再生骨材を使用する主なメリットを3つ挙げて解説します。
建設現場で発生する廃コンクリートを再生骨材としてリサイクルすることで、産業廃棄物の削減に大きく貢献します。従来であれば廃棄されるだけだったコンクリートを再利用することで、廃材処理のコストや廃棄物の最終処分場への負荷を軽減できます。解体工事が増加する現代において、再生骨材は持続可能なリサイクル資源として重要な役割を果たしています。
再生骨材を使用することで、コンクリート製造にかかるコストを削減できます。新品の骨材を使用する場合に比べ、再生骨材は低コストで調達できるため、大量にコンクリートを使用するプロジェクトにおいては、建設費用の大幅な削減が期待できます。また、産業廃棄物を減らすことで、廃棄処理にかかるコストやスペースの節約にもつながります。
環境問題への対応が世界的な課題となっている現代において、再生骨材の活用は持続可能な社会の実現に向けた重要なステップです。リサイクル資源を利用することで、天然資源の消費を抑え、廃棄物を減らすことが可能になります。また、再生骨材コンクリートの活用は、建築物の環境性能評価においても高い評価を得る要素となり、持続可能な街づくりやインフラ整備にも貢献します。
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