このページでは、軟弱地盤の強度を高めるためにおこなわれる工事のひとつ「表層改良工法」を紹介しています。工事内容のほか、特徴や施工手順、工事を実施する際の注意点など、表層改良工法を理解するのに役立つ情報をまとめました。土木施工管理技士として活躍したいと考えている方は、土木工事に関連する知識の引き出しを増やすためにも、ぜひ参考にしてみてください。
表層改良工法とは、基礎の下の軟弱地盤を頑丈にするための工事です。セメント系の固化材を散布し、混合し、固めていく手法の地盤改良工事です。比較的短い期間で工事を終えられるので、コストをおさえやすいというメリットがあります。
セメント系の固化材を使用するので、六価クロムの溶出の問題があります。特に、施工現場の土が腐植土や火山灰室粘性土層などだと、六価クロムが溶出しやすいので注意が必要です。そういった場合には、有害物質である六価クロムの溶出量を少しでもおさえるために「六価クロム低減型セメント系固化材」の使用を検討するとよいでしょう。
軟弱地盤が1メートルないし2メートルほどの、比較的浅い場合に、表層改良工法が採用されることが多いです。なお、表層改良の範囲についてですが、これは建物の外壁面から、およそ50センチ外側までであることが一般的です。
工事はバックホーを使っておこなうので、仮にコンクリートや石が混ざっていたとしても、問題なく取り除くことができます。また、狭小地や高低差が大きい施工現場であっても、現場ごとに適した施工機を選べるので、対応可能です。
おもな対象としては、次のようなものがあげられます。
なお、安定地盤が不均一な現場や傾斜がかっている現場、改良面より地下水位が浅い現場などには、表層改良工事は適用されません。
施工をスタートする前に、近隣へのあいさつのほか、交通整理や養生、現場撮影などを済ませておきます。
最初に、材料の荷受けをします。たいていの場合は1トンのフレコンパックです。ただ、施工現場の状況次第では、25キロの小袋を使うこともあります。
表層の土砂の鍬取りをおこないます。地盤の下層部分は残しておきましょう。
土砂の鍬取りが済んだら、固化材の散布および攪拌混合の作業に移ります。最初に、固化材を下層部の地表面に均等に割り付けておきます。次に、攪拌混合作業です。掘り起こした土に、ムラが生じないよう気をつけながら撹拌混合していきましょう。
施工手順3に続き、さらに固化材を複数の層に分けた上で、攪拌混合を実施すると、よりクオリティの高い表層改良ができます。それが終了したら、締め固め作業をおこないます。重機やローラーなどを使って、しっかりと土を締め固めておきましょう。この際におさえておきたいコツがあります。それは、最初に、バックホーを使用して表面を締め固めておき、さらに転圧機で充分に固めることです。
そして最後に、ローラーを使って表面が滑らかになるように仕上げていきます。この仕上げ作業が終われば、表層改良工法のすべての施工手順を完了したことになります。
施工をスタートする前に、地盤調査をしっかりと実施しておくことが大切です。というのは、地盤の詳しい状態は、見た目だけでは判断が難しいからです。表層改良工事の目的は、軟弱な地盤の強度をアップさせることです。ですから、地盤改良工事が必要であるかどうかという点を曖昧にしたまま、表層改良工事を実施することとはおすすめできません。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。