土木の離職率は高い傾向、離職率の低いホワイト企業を探せ
キツい、つらい…というイメージがある土木建設業界ですが、実際のところ離職率はどれくらいなのか、データを見てみましょう。
厚生労働省が平成29年に発表したレポートによるデータでは、平成26年に高卒で建設業に入った人の離職率は47.7%。半数近くの人が辞めており、全産業の40.8%を大きく上回っています。
辞めた理由で最も多かったのは「労働時間・休日の条件が良く無かったため」でした。長時間労働や休日出勤といった、建設業特有の労働環境が離職率の高さにつながっているようです。
一方、ゼネコンなどの大手建設業では離職率が低下する傾向にあるようです。働き方改革法案を受けて労働環境の改善に取り組む企業が多く、少しずつですが効果が出てきているということでしょう。
また、2017年に厚生労働省が労働基準法違反のある「ブラック企業」のリストを公表するようになったのも影響がありそうです。実際に社名を公表することで、長時間労働などの抑止力として活躍しそうな取り組みです。
現状は労働環境が厳しく、離職率も高い建設業界ですが、大手をはじめとして改善が進めば働きやすい環境が広がっていくでしょう。
労働人口の減少は、日本にとって大きな問題の一つ。とりわけ建設業界の人手不足は非常に深刻と言われています。建設業界の人手不足にはどのような背景があるのでしょうか。離職率や業界の高齢化についてまとめています。
建設業界における新規学卒者の3年目までの離職率は、製造業と比較すると高い状況にあります。
厚生労働省の調査によると平成23年3月卒の高卒の場合は1.8倍、大卒の場合で1.6倍も高い状況にあるとう実態が明らかになっています。さらにこの離職率は右肩上がりとなっていることが現状でありながら、建設業の離職率の割合は、入職率(常用労働者)を上回る事態も発生しています。
現在、建設業界で現場を取り仕切るのは45~50歳代のベテランの職人たち。彼らが“若手”として建設業界に入った頃は「親方・監督・棟梁」など、いわゆる“厳しい”と言われるようなタイプの上司の下で育ったとされます。このような人たちは今の若い世代からすると厳しすぎると感じ、すぐに離職を選択されたり、時には「パワハラ」として扱われたりすることもあります。
建設業の就業者の割合は平成10年度以降、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行しています。全産業と比較すると特に若年層の減少が著しく、30~54歳の層でも全産業ではほぼ変わらないの就業者数であるのに対し、建設業界は減少傾向であることが明らかとなり、次世代への技術継承が大きな課題となっています。
建設業界の離職率の高さや入職率が低くなっている背景には、全産業と比較すると「労働時間」が多いという原因が考えられます。
厚生労働省の調査によると、平成9年からの週40時間労働制の全面適用から平成10年度には2,009時間となってから、上昇傾向にあります。平成22年には一時その労働時間は減少しましたが、その後はまた上昇しています。この実態から、労働時間の長さと給与に対するギャップが生まれ、離職に繋がることも考えられます。
建設業において完全週休2日制を導入している企業の割合は、規模30人以上の企業に対する調査で平成22年には25.3%と全産業の37.7%と比較して低い割合にありました。
しかし平成25年以降は39.6%に上昇し、完全週休2日制を取っている建設業の割合は増加しています。次に年次有給休暇取得の状況を見てみると、平成26年の年次有給休暇の“付与日数”は建設業18.3日、全産業18.5日とほぼ変わりません。
ただ、“取得日数”を見てみると建設業は7.4日で取得率40.3%、全産業は9.0日で43.8%であり、ほかの産業と比較すると休みが取得しにくい傾向にあると言えるでしょう。
※参考URL:「建設労働者を取り巻く状況について」-厚生労働省
キャリアアップのための転職が一般的となり、終身雇用という考え方が徐々に薄くなってきている現代ですが、一つの会社で長く働くメリットはあります。
特に建設業界の大手企業は「年功序列制」となっている企業が多く、長くいればどんどん年収が上がる仕組みとなっています。企業としても経験を積んだ精鋭社員が辞めずに会社に残ってくれるのは大きなメリットです。会社内でのポジションも段々上がっていくため、権限が増えて仕事をしやすくなるというメリットもあります。
長年一緒に働いているメンバーでチームを組めば、知らない人と連携するよりもはるかにスムーズな仕事を行なえるでしょう。また、気兼ねなく話せる同僚ならお互いの悪い点を直しあえるというメリットも。これからの時代はますます転職する人が増えるかもしれませんが、一つの場所で働き続けるメリットも頭に入れておいてください。
発注者支援業務で評判!
建設コンサルのティーネットジャパンを
詳しくみてみる
一つの会社で働き続けることはたくさんのメリットがある反面、一つの働き方しか経験できないというデメリットもあります。しかし、離職率が低いということはそもそも「長く働ける環境が整っている」ということですので、単純に働きやすさの目安になります。
長時間労働や休日出勤が常態化している環境では、長く働き続けることは難しいため、離職率は低く抑えられません。また、いくら働きやすくても給料が安かったり、昇級が望めなかったりする会社では長く働こうとは思わないでしょう。
資格取得支援や社内研修などのスキルアップ制度が整っている会社も離職率が低い傾向があります。社員の育成にお金と時間をかけている企業は将来のビジョンがしっかりしているところが多く、働いている側としても安心感がありますよね。
土木建設業界での転職を考える際は、ぜひ離職率と処遇の関係にも注目して検討してみてください。
せっかく転職しても、労働環境が過酷なままでは意味がありません。それでは、離職率の低い会社はどのように探すことができるのでしょうか?
転職を検討している建設企業が具体的にある場合、実際にその企業が施工を担当している建設現場に足を運ぶことも、離職率に関するリスクを把握する手段のひとつ。特に、建設現場を見に行って、夜遅くまで作業をしているようであれば、実際に就職した場合に自分もそうしなければならない可能性があります。
建設現場だけでなく、事務所でも同じです。夜遅くに事務所前に行ってみて、まだ電気がついているのであれば、労働環境はよくない可能性があります。
「就職四季報」は新卒者の就職活動で活用されている企業情報本ですが、記載されている情報には離職率もあるため、それぞれの建設会社の離職率を直接調べることができます。「就職四季報」には、「優良・中堅企業版」もあるため、大手のゼネコンやハウスメーカーに限らず、様々な建設企業の離職率を知ることができます。
転職先の候補が既にあれば、事前の情報収集は欠かさないようにしましょう。
上場企業に限られてしまいますが、企業の「有価証券報告書」を調べることも、離職率を窺い知ることができる手段のひとつです。インターネットで検索することで簡単に調べることができるため、最も身近なリサーチ方法ともなっています。
企業の「有価証券報告書」には従業員の数、平均年齢、また平均の勤続年数が記載されていますから、離職率についても読み解くことができます。「有価証券報告書」は過去のものも確認することができます。これらの情報の推移を調べることで、その企業における従業員の流れをみることができるため、例えば「平均年齢が若すぎる」、「従業員数は多いのに、平均の勤続年数は多くない」など、離職率に関する注意点を把握することができるのです。
厚生労働省は、「労働基準関係法」に違反している疑いがある企業のリストをウェブサイトで公表しています。残念ながら離職率に関する情報までは記載されていませんが、就職した場合のリスクとして把握することができます。
また、同じくインターネット上では、現役や退社した従業員が投稿している口コミサイトもあるため、それらを参考にすることも手段のひとつです。
厚生労働省が発表した土木業界の高卒の離職率は、全産業平均の水準を上回っており、高い水準に位置しているのが現状です。離職理由で最も多かったのは、「労働時間・休日の条件が悪かった」であり、建設業特有の労働環境が原因となっています。
弊社ティーネットジャパン は発注者支援業務を主として行っている建設コンサルタントです。発注者支援業務は、発注者の立場として業務を行う特性上、休日が確保されています。
弊社に中途採用として応募してこられるほとんどの方の応募理由は、施工会社や設計コンサルタントでの労働条件の改善になります。弊社は労働条件の改善と福利厚生の充実を常に推進し、働きやすい職場環境創りに力を入れています。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。