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ミルシート

分かっているようで理解できていないミルシートに着目し、記載内容から読み解き方、管理ポイントについてご紹介します。

ミルシートとは

ミルシートとは、工場や製作所を表すmill(ミル)と、印刷物などを表すSheet(シート)から作られた造語で、日本語では鋼材検査証明書と訳されます。施工管理職の方は知っておくべき保証書で、鋼材の性質、化学成分、規格値、製造実績値などが記載されています。鋼材の品質を保証してくれる唯一の書類といえるでしょう。

工事の受注者が、設計者が指示した材料と強度を確保するための裏付けとして非常に大切になってきます。

ミルシートと材料証明書の違い

材料証明書は、使用されている材料全般材料に対するもので、使用されている材料が本物であることを証明する文書。鋼材以外に材木や化学薬品などを使用した場合に出されるものです。ミルシートも材料証明書の一種ですが、材料証明書の中でも、特に鋼材の品質について記載すべきものにはミルシートが出されると考えておくといいでしょう。

ミルシートと検査成績書の違い

検査成績書は、品質管理書類の一種です。ミルシートがその製品に使われている金属素材の材質について記載した書類であるのに対して、検査成績書は製品の品質を証明する役割を持っている点が大きく異なります。

ミルシートの記載内容

ミルシートに記載されている一般的項目と4つの事項(製造実績値)についてご紹介します。これ以外にも、顧客との打ち合わせの中で明記した方がいい事項があればメーカーに記載を依頼しましょう。

一般的項目

ミルシートは鋼材の品質証明書の役割を持っているため、以下の項目は必須となります。

  • 証明書の発行主体名
  • 注文者名
  • 各管理番号
  • 最終的な需要者
  • 検査方法
  • 製品情報

1.基本項目

基本項目の欄には、以下の内容が記載されます。

  • 鋼種
  • 仕上げ
  • 寸法
  • 数量
  • 質量

2.化学成分

化学成分の欄に記載されるのは以下の項目です。

  • 成分値
  • 製鋼会社名
  • 溶解番号

3.機械的特性

機械的特性の欄の記載内容は以下をご確認ください。

  • 硬さ
  • 引張強さ
  • 耐力
  • 伸び

4.寸法検査

寸法検査には、以下を記載します。

  • 厚さ
  • 横曲がり

ミルシートの見方

ミルシートの見方が分からないと混乱してしまい、正しい情報を得られません。確認しておきたいポイントをご紹介します。

規格

ここに記載されているのは、材料規格と検査規格の2つの項目です。材料規格の番号と発注した材料が相違していないかを必ず確認しましょう。検査規格の部分は、現場の規格と同じかどうかのチェックも必要です。たとえば、現場規格がJISであれば、検査規格も同じであることが必須となります。

検査結果

合格した材料かどうかを示している欄です。「合格」もしくは「GOOD」といった記載になっているかを確認しましょう。

化学成分

鋼材に含まれる化学成分について、成分名と成分量が記載されています。成分名は省略したアルファベットで記載します。注意しておきたい化学成分は、溶接時に障害となる硫黄(S)とリン(P)です。少ないほど良いとされている点を知っておくことと、規定値内におさまっているかを必ず確認してください。

ミルシートの管理のポイント

ミルシートを取り扱う上で知っておきたい基礎知識と管理のポイントについてご紹介します。

発行元はメーカー

ミルシートは勝手に発行されるのではなく、メーカーに発行を依頼してはじめて発行されます。建築完了時に必要となる場合があるので、その際は発行元である鉄鋼メーカーに連絡しましょう。

有効期限はない

ミルシートは、一度発行されると無期限であるため、ミルシートに記載された製造番号などが同じであれば有効性は失われません。ただし、保管状況が悪い場合などの劣化やへこみといったものは、別問題となりますので、保管には十分留意する必要があるでしょう。

再発行可能

ミルシートをメーカーから受け取ったものの、無くしてしまったといった場合は、法定期間内であれば再発行してもらえます。ただし、証明書であるため、取扱には留意しましょう。

書式は任意

ミルシートの書式は統一されておらず、任意の書式となります。メーカーが異なると、見落としや見間違いが発生するリスクがあるため、注意しながら確認してください。

発行費用無料

ミルシートの発行は、基本的に無料です。

まとめ

ミルシートは、慣れないと見づらく感じがちですが、非常に重要な鋼材の品質証明書です。ミルシートを読み解く資料管理は、責任ある土木施工管理技士の仕事のなかでも重要な業務の一つです。記載事項や見方、管理方法を理解しておくことをおすすめします。

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