土木施工管理技士として土木工事現場の状況を把握するためには、現場の土の状況(密度)を調べる「現場密度試験」について理解しておくことが必要です。本記事では、土木工事現場で行われる現場密度試験の必要性や方法について詳しくまとめています。
現場密度試験とは、土木工事現場で土の密度(現場密度)を測定するための検査方法であり、工事における土の品質管理を適正化する目的で実施されます。
「土の密度」とは、工事現場の土壌の緻密さや締まり具合を「割合(%)」で表したもので、現場密度試験の結果は工事の進行スケジュールや地盤改良の要不要の判断材料となります。そのため、土木施工管理技士として現場密度を正確に把握することが非常に重要です。
現場密度試験には大きく「砂置換法」と「突砂法」の2種類があり、土の性質に応じてこれらの方法を選択します。
現場密度試験を行う際、まず測定対象となる地盤の土を掘り起こし、試験用の穴(試験孔)を開けます。そして、掘り起こした土の質量を測定し、あらかじめ密度がわかっている材料を試験孔に充填することで体積を求めます。
試験孔に充填した材料と掘り起こした土の質量を比較し、その結果から試験孔の体積を算出し、最終的に掘り起こした土の密度(湿潤密度)を計算します。また、現場の土を使用して最適含水比と最大乾燥密度を測定することで、土壌や地盤に対して最適な水分量や安全基準をシミュレーションすることも可能です。
砂置換法は現場密度試験の代表的な方法で、現場の土を掘り起こして試験孔を作成し、標準砂を試験孔に注入して穴の体積や土の湿潤密度を算出する検査方法です。
密度などが未知の現場の土と、密度が既知の標準砂を比較することで、各種数値を求めるという流れになります。そのため、最初に適切な標準砂を準備することが必要です。
試験孔の深さは最大粒径(53mm以下)に応じて変わりますが、通常は130mm程度です。標準砂を充填する際には振動を与えないよう注意しながら砂を慎重に落とします。
突砂法も現場密度試験で広く採用されている方法で、現場の土が砂置換法に適さない場合に使用されます。具体的には、突砂法は土の最大粒径が53mm以上の場合に適用されます。
突砂法も試験孔に標準砂を注入して体積や密度を計算する点では砂置換法と同様ですが、標準砂を注入する際に金属の棒(突砂棒)を使ってしっかりと突きながら充填する点が異なります。
突砂法では、砂を突く際に回数や力を一定に保つことが重要であり、通常は15回または25回、均一の力で行います。力が強すぎると正確な測定ができなくなるため、注意が必要です。
砂置換法と突砂法は、土の粒径に応じて使い分けられます。そのため、現場密度試験を実施する前に、現場から採取した土の粒径をきちんと確認する必要があります。また、どちらの方法を使用するにしても、試験結果の精度を高めるためには、正確な技術で試験を実施することが求められます。そのため、専門業者への依頼を検討することも有効です。
砂置換法や突砂法以外にも、現場の状況に応じてさまざまな現場密度試験が存在します。
水置換法は、標準砂の代わりに「水」を使用して試験孔の体積を計算する方法です。この方法は、砂置換法が難しい現場や石分を多く含む土に対して使用されます。試験孔の内壁にシートを密着させるなど、事前の準備が必要となります。
砂や粘土質の土で、コアカッターを地面に貫入可能な場合、試験孔を開ける必要がない「コアカッター法」が使用されることもあります。コアカッター法は試験孔を必要とせず、直接コアカッターを貫入して試験を行うため、迅速に密度を測定できるのが特徴です。主に高速道路や宅地造成の現場で利用されています。
「RI法」の「RI」とは「ラジオアイソトープ」の略称で、γ線や中性子線を発する線源棒を搭載したRI計器を使用して、地中の放射線の動きを測定し、土の密度などを測定する方法です。この方法は、巨礫を除いた全ての土質に対して測定が可能で、密度や含水比を迅速に測定できるのがメリットです。ただし、放射線被曝のリスク管理が必要であり、測定器具が高価であるというデメリットもあります。
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