インフラの老朽化による修繕
増える自然災害の復旧で需要は高まる
私たちが利用する道路に橋やトンネルなど、必要不可欠な物を造るのが土木建設業界の仕事です。河川やダムなど、生活に密着する土木施設もたくさんあります。これらの仕事は時期によって多少の増減はあるものの、無くなるということはありませんから、安定という点で見れば土木建設業界の将来性は問題ありません。
2020年現在、国内の構造物は高度経済成長期に作られたものが多く寿命を迎え始めているため、これらの維持・補修工事などの需要増加も見込まれます。将来的には、自動運転の実用化を見据えたスマートシティ計画などもあり、大きな技術革新に伴うインフラの大規模改修など、予想される需要は数えきれません。
また、決して喜ぶべき需要ではありませんが、地震や集中豪雨、台風などの自然災害が多い日本では、災害復興や保全の仕事も重要な役割です。東日本大震災から復興が進む東北地方では、現在も高い需要が続いています。
これらの事を考えると、土木工事自体の需要は今後も減少するということはないでしょう。現在、これから造るものもいずれ寿命を迎えますので、常に維持補修は必要となります。
土木工事の現場では、主任技術者や監理技術者という責任者の配置が義務付けられています。これらのポジションを担えるのが土木施工管理技士のため、土木工事がある限り需要が絶えることはないでしょう。
現在は2020年に向けて多くの土木建築があり、施工管理技士の需要も増加しています。そのあとも現在後回しにしている維持補修や各種事業がたくさん残っていますので、急に需要が無くなるといった心配もありません。
大手企業のグローバル化によって、海外での土木工事需要なども増加しています。日本の優れた土木技術が海外に広がれば、施工管理技士としての活躍の場も増えていきそうですね。
年々、施工管理技士の資格を有している人の平均年齢が高くなってきています。実際に現場では、90年代の建設業界バブルから第一線で活躍してきた世代の施工管理技士が年齢を重ねており、そろそろ一斉に定年退職を迎えようとしています。そのため、こうした定年退職者がさったポストを埋めるべく、若い世代の施工管理技士の育成が現場でも急務の課題となっており、これから建設業界で働こうとしている学生や、未経験の資格保持者に対するニーズも高まっています。施工管理技士は将来性がある仕事になっています。
若手の施工管理技士の育成が進んでいます。現役で活躍している中堅の施工管理技士は既に現場に回っているため、即戦力で働くことができる若い施工管理技士であれば、とりわけ需要が高まっている状態です。実務経験があればなお良いですが、経験がなくても高い給与で雇用される傾向にあります。
若手の施工管理技士の需要が高まっているのは、地域に限定されず、建設業界全体の傾向です。国際的なイベントや公共事業に関連する工事はもちろん、大規模な自然災害が頻発している昨今ですから、その復旧工事などでも需要が高いためです。
日本では、高齢化や少子化による人手不足が問題視されています。時間の経過と共に人手不足はより深刻化していきますが、現時点でも人手不足に悩んでいる企業は、決して少なくはありません。その中でも、特に人材の減少が進んでいると言われている業界のひとつが建設業界です。
建設業界で人材が減っている理由は、大きく分けると「若手が入ってこない」と「一度離れた人が戻ってこない」の2つです。
少子化の影響で、労働力として入ってくる若者の数は年々減ってきていますが、建設業界での問題は決してそれだけではありません。
国土交通省の資料(※1)によると、建設業就業者は1997年の685万人をピークにして減少がしていき、2016年には492万人になっています。
次に、建設業就業者を年齢で見てみると、55歳以上の方は1997年以降も増加が続いている中で、29歳以下は1997年から2016年にかけて半分ほどの約1割にまで減少しています。全産業と比較しても、29歳以下の減少率は非常に大きいです。
このデータから、建設業から若者が離れている理由は、少子化だけではないことがわかります。
建設業界でよく言われる「きつい・汚い・危険」の3Kの要素や休日の少なさなどが、若者が他の業界へ流れる大きな原因となっているのかもしれません。
2000年以降で、多くの人が建設業界から離れていったタイミングがあります。それは、2008年に起きたリーマンショックです。それ以降、建設需要は減少して、結果として人も建設業界を離れていきました。次第に建設需要が増加したのですが、戻ってくる人が少なかったこともあって、建設業就業者数は減少が続きました。
現在は、景気の回復に伴って工事量が増加しているのですが、労働力不足が続いている状態です。
※1 参照URL:国土交通省 労働経済の基礎的資料
建設業界は、人が減っていく状態がこのまま続くと、人手不足がより深刻化していきます。それを防ぐためにも、企業側には、人材を確保するための努力や改善が求められています。定着率を上げるためには、現在の環境を少しずつ変えていくことが不可欠です。
まず第一に重要なのが、若者の就業者数を増やすことです。そのためには、建設業を知ってもらう機会を多く設けるなどして、「3K」の悪いイメージを極力取り除く必要があります。きつくて大変な要素がありながらも、街づくりに関われる楽しさや魅力がある仕事ということを、どれだけ若者に伝えられるかが大事なポイントとなるでしょう。
さらに、今いる人材の流出を防止するための取り組みも欠かせません。建設業界は、休日の少なさや長時間労働、サービス残業など、改善すべき点が多くあります。ほかにも、給与水準を上げたり福利厚生を充実させたりすることも、「ここで働き続けたい」と思う人を増やす要素になるでしょう。
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土木建設業界と施工管理技士自体は将来有望ですが、会社自体の将来性にも注目したいところ。需要が高く活性化する業界では参入する企業が多くなり、経営状況や方針が良くない会社は淘汰されることになるからです。
将来有望な会社を見抜くためのポイントとしては、労働環境に注目してください。残業が多かったり、休みが取れなかったりという会社は社員の定着率が悪く、技術が継承されず社員が育ちません。結果的に他社との競争力がつかずに、業界で成長していくのは難しくなります。
無理なく長く働けて、自分も会社も共に成長できる環境が整っている会社選びをしましょう。
土木事業は、人が安全・安心に生活する上で必要不可欠な道路・鉄道・下水道等の社会インフラ整備を行うことが目的です。事業サイクルとしては、新規インフラ整備~インフラの老朽化等に伴う修繕となる事から仕事が無くなることはないため、土木業界の将来性は問題ありません。
また、情報化施工の推進による生産性の向上及び労働環境の改善により、土木技術者一人当たりの価値も高まり、賃金の上昇も期待されます。
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建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。