建築設備士とは国家資格の一種で、建築士に対して建築設備の設計や工事監理に関するアドバイスをする技術者のことです。ここでは、建築設備士の仕事内容や給料、やりがいなどについて紹介します。
建築設備士の仕事内容は、主に建築士に対して建築設備の設計や工事監理などについての適切なアドバイスを行うことです。建築設備士がいなくても建築設備や建築設計をする事は可能ですし、アドバイスすることに対して法規制や強制力はありません。しかし、近年の高度化した建築設備を設置する際には建築設備士が活躍することが多く、安全性を高めるためにアドバイスを受けるというケースもあります。建築設備士からアドバイスを受けた場合、建築士は建築確認申請書などの書類にその旨を明らかにしなければなりません。
建築設備士は配管や空調設備、給排水衛生設備、電気設備などさまざまな建築設備の専門的な知識を持ち、建築士から求められた場合に適切な助言や意見をします。建築設備だけでなく、建築設計の知識も身につけておく必要があります。設計内容などの打ち合わせをしたり、工事現場で設計内容が反映されているかを確認したりするのも建築設備士の仕事のひとつです。
建築設備士になるには、国土交通大臣登録試験実施機関が行う建築設備士試験に合格する必要があります。受験には実務経験が必要なため、まずは建設会社や設備工事会社などに就職し、所定の実務経験を積むのが一般的なルートです。大学で建築・機械・電気に関する過程を修めて卒業した人は、2年以上の実務経験で受験資格を取得することが可能です。また、一級建築士や一級電気工事施工管理技士などの国家資格を所持している場合も、2年以上の実務経験で受験資格を得られます。
建築設備士の合格率は15~20%と低めで、非常に難しい試験です。出題範囲は広く、特に設計製図試験は独学で合格するのが難しいため講習会に参加することをおすすめします。
建築設備士の平均年収は設備施工関連を参考とすると450~500万円ほどで、500~800万円がボリュームゾーンとする声もありました。ただし、企業規模や携わる業務の内容、他の資格との併用によって大きく収入は異なるため、これ以上にも以下にもなる可能性も充分にあります。施工管理技士や建築士など、建設や設計に関する資格をさらに取得すると、年収アップにつながるでしょう。
建築設備士のやりがいは、自分が仕事に携わった建築設備が実際にカタチになっていくことです。建築設備の使い勝手が建物の良し悪しを決めるということもあり、携わった建物で人々が実際に生活したり仕事をしたりすることを想像すると喜びを感じられる人も多いでしょう。自分の力が役に立っている実感が味わえます。また、建築士から頼られる存在になり、実際の設備設計を任されることが増えていくことにやりがいを感じられるでしょう。
建築設備士の就職先には、建設会社や設計事務所、不動産会社、設備のメーカーや販売会社などが挙げられます。大規模な建物には建築設備士の存在は欠かせません。建築設備士は一定の学歴や実務経験があることを証明できる資格のため、就職先では「即戦力になる人材」と評価されることでしょう。
建築設備に限らず、高齢化に伴い建設業界は慢性的な人手不足が続いています。建物にとって建築設備は必要なものですし、特に最近の高層マンションやオフィスビルなどでは建築構造の高度化・複雑化が進んでいることから、今後も建築設備士の需要は大きくなっていくと考えられます。
また、建築設備士の資格取得してから4年以上の実務経験を積むことで「一級建築士」の受験資格が与えられます。一級建築士の資格を取れば、両方の資格を生かして活躍の場をさらに広げられるでしょう。
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