現場にかかる費用を把握・コントロール。利益を確保する
原価管理とは、工事にかかるすべての費用をコントロールして利益を確保する仕事です。材料費、人件費、諸経費などの原価を細かく計算して、計画原価を実行原価が超えないように納めるための管理を行います。
どんなに大きな金額の工事を受注しても、原価が膨れ上がってしまっては適切な利益を得ることはできません。工事中の原価をチェックし、予定通りに納めることは会社の進退に関わる重要な業務です。
原価管理は、工事の着工前から竣工まで行われます。一般的な「経理」は工事が完了してから請求書などをもとに原価を計算する業務のため、工事中に原価が高騰しても対応することはできません。原価管理は工事の進行中も常に行われ、原価オーバーを察知して防止します。
工事中に発生する原価を詳細に把握しておけば、発注元の要望による仕様変更や追加工事などが発生しても対応しやすくなります。追加工事などは「安く引き受けてくれ」などと交渉が発生しがちですが、それまでにかかっている原価のデータをはっきりと示すことで交渉も進めやすくなるでしょう。
また、見積時の原価を一から見直すことで、原価を圧縮して利益を確保する効果もあります。材料の選定や仕入れ先の見直し、工程の組みなおしによる効率アップなど、原価管理を進めると他の管理業務にもメリットがあります。
工事現場での実際の原価管理の進め方を一つずつ見ていきましょう。大きく分けると5つの段階があり、工事中は1~5の管理業務を常に回しながら進めていく事になります。
工事を受注した時点の見積原価を見直し、施工計画などとも照らし合わせながら的確な実行予算を設定します。
工事開始前に、工程などを最適化しながら原価の発生を抑え、圧縮します。工事金額に対して原価比率が高いものを優先して行います。
工事が始まったら、進行中の工程にかかっている実際の原価を都度確認し、実行予算と照らし合わせます。差が出ている工程については分析・検討を行います。
実行予算と実際の原価に差が発生している場合は、原因の究明を行います。原因が分かったらそれをもとに施工計画を練り直して実行予算に収まるように原価を圧縮します。
施工計画を修正した結果を確認し、原価が圧縮できている場合は継続、できていない場合は別の手段を用いて再検討を行います。
工事の原価は、「工事期間の長さ」「品質の高さ」と密接に関係しています。 効率の良い工程で工事期間が短くなると原価は安くなります。しかし、効率を求めすぎるあまり突貫工事を行ってしまうと、品質の低下によってクレームと手直しが発生して逆に原価が高くなってしまう事も。無理な工程によって安全性が低下し、事故が発生する可能性が高まります。
無理のない原価管理を行うためには経験が必要ですが、現場に出て仕事をこなしていれば自然と身についてくるでしょう。責任の大きな仕事ですが、成果が数字ではっきりと分かるため大きな達成感も得られます。
決められた予算と常に照らし合わせながら原価管理します。材料においては価格が変動しやすい燃料単価や鋼材単価に留意したり、仮設などは供用日数によってコストが大きく変わりますので、工程管理と密接な関係が出てきます。
労務費においても過剰な労働力は原価の増大になり利益が損なわれます。こうして目を向けるべきところは多くあります。
また現場は常に変化しますので、ムリ・ムダ・ムラをなくし、余計な出費を控えるように原価管理を行っていかなければなりません。数字管理ですから目に見えて成果が確認できるため達成感を味わえます。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。