切土(きりど)は、地表の高い部分を削って地盤を整える作業のことです。
道路や鉄道、宅地造成、法面整備など、さまざまな土木工事の場面で行われる、非常に基本的で重要な作業です。
たとえば、斜面の途中に道路を通す場合、そのままでは傾斜がきつくて通行できません。そこで、斜面の一部を削って平らな面をつくり、安全で使いやすい地形に整える必要があります。この「削って整える」作業が、切土です。
反対に、地表が低すぎる場合には、土を盛って高さを合わせる「盛土(もりど)」が使われます。多くの現場では、切土と盛土を組み合わせて地盤を調整するため、「切盛(きりもり)調整」という言葉もよく使われます。
切土は、高低差のある自然の地形を整え、人が使いやすい環境にするための工事です。そのため、幅広い現場で活用されています。代表的な例を見てみましょう。
山間部や傾斜のある土地に道路や線路を通すとき、勾配を緩やかにして通行しやすくするために切土が使われます。とくにカーブや登坂部分では、視界や安全性の確保にもつながるため、正確な切土が求められます。
住宅地をつくる際、土地に高低差があると家の基礎が安定しません。そのため、敷地内をできるだけフラットに整える目的で、切土や盛土が行われます。
宅地造成では、隣地との高さの関係や排水計画にも注意が必要です。
崖や急斜面の安全を確保するために、斜面を段状に切り取り、崩壊しにくい形に整えることがあります。このような作業では、切土と同時に法面保護工(吹付けや植生など)もセットで行われることが一般的です。
水辺の構造物や地下構造物の工事では、基礎を安定させるための掘削=切土が必要です。地層や地下水位を考慮しながら、正確な深さと形状で施工されます。
切土は「土を削る作業」ですが、現場の地質や規模、目的によってその方法はさまざまです。ここでは、主に使われる施工方法を紹介します。
もっとも一般的な方法で、バックホウ(油圧ショベル)やブルドーザーなどの重機を使って掘削する方式です。やわらかい土質の斜面や、浅い範囲の掘削に適しており、広い面積でもスピーディーに作業できます。
施工中は、法面の角度(勾配)や高さが設計通りになるよう管理しながら作業を進めます。
掘削対象が硬い岩盤などの場合、重機では歯が立たないこともあります。そのようなときは、あらかじめ小さな穴をあけて火薬を装填し、爆破で岩を砕く「発破(はっぱ)」工法が用いられます。
発破工事には騒音・振動への配慮が必要で、周囲への影響や安全管理が非常に重要になります。土木施工管理技士としては、爆薬の使用量や掘削形状、発破後の安全確認も含めて把握しておく必要があります。
斜面が高くなる現場では、“段切り”と呼ばれる階段状の掘削が行われます。これは、法面の安定性を高めるとともに、崩壊リスクを抑えるための方法です。
段切りに加えて、掘削後の斜面は滑らかに整形し、必要に応じて法面保護工(吹付け、モルタル、植生など)を行うことで、切土面の安全性が確保されます。
切土工事では、斜面(法面)の崩壊リスクと、重機作業による事故リスクの2つに特に注意が必要です。どちらも作業員の安全に直結するため、施工管理の立場からは細やかな安全対策が欠かせません。
掘削によって生まれた斜面(法面)は、時間の経過とともに雨や重力の影響で崩れやすくなります。とくに、地盤が水を含んでいる場合や、地層に傾き・ゆるみがある場合は注意が必要です。
安全対策としては、以下のようなものがあります。
切土工事では、バックホウやブルドーザーなど大型重機を使うため、重機と作業員の接触事故や、重機の転倒事故にも注意が必要です。
切土工事では掘削による粉じんや騒音、振動が発生しやすいため、周囲の住環境や第三者への配慮も忘れてはなりません。散水による粉じん抑制や、防音シートの使用など、状況に応じた対応が求められます。
安全管理は、施工計画どおりに作業を進めるだけでなく、「現場で起きそうなこと」を事前に想定しておくことが大切です。とくに切土は、自然の地形と向き合う工事だからこそ、安全への備えが仕事の質を左右します。
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