ここでは、リニアモーターカーの特徴とメリット、現在の進捗状況や問題点についてまとめています。
リニア中央新幹線とは、中央新幹線を時速500kmで走行する新幹線のことです。鉄道はレールの上を車輪で走行するため、摩擦が起こり、最高時速320kmとなっています。
車両によっても最高速度は様々で、こまちは最高時速320kmですが、JRの在来緯線では最高時速130kmと大きな差があります。
リニア中央新幹線は、磁石の力を使って浮かせているため、摩擦をなくしているのが特徴です。車両下部に電磁石、レールに金属板を取り付けて、反発・引き合う力を利用して浮力走行を実現させています。
リニア中央新幹線のメリットは、品川駅と名古屋駅を結ぶ高速鉄道ができる点にあります。2037年までに全線開通を目指しており、開通すれば移動時間が大幅に短縮。経済が活性化すると期待されています。
品川と名古屋間を40分で移動できるようになり、経済効果は10兆円と試算されています。リニア中央新幹線は、現在の東海道新幹線のリスクを考慮してつくられており、自然災害で地方が分断される可能性を低減できます。
東海道新幹線は太平洋に面しており、地震が発生した際に甚大な被害が生じる恐れも。万が一のリスクを考えて、中央に高速鉄道を開通させようと、工事が進められています。
リニア中央新幹線の2つめのメリットは、災害に対する事前の備えとして、国土強靱化が図れる点です。日本では山地が国土の8割以上を占めており、平野部に産業が集中しています。阪神・淡路大震災で経済に影響が出たように、地震で大都市が分断されると、経済に大きな影響を与えるリスクがあります。リニア中央新幹線が開通すれば、東海道新幹線が利用できなくとも東京都・大阪を結ぶ代替的な移動手段として利用できるでしょう。
リニア中央新幹線の3つめのメリットは、交通網を確保できる点にあります。東海道新幹線が地震で使えなくなっても、代替的に利用できます。というのも、阪神・淡路大震災では東西の交通網が分断され、高速移動網が回復するまでに622日もの期間を費やしました。
経済に与えた影響は計り知れず、代替バスの乗り場には連日長蛇の列ができました。神戸と大阪を結ぶ鉄道3線が不能となり、1日45万人もの足が奪われる事態に。リニア中央新幹線は、東西の交通網を分断させないためにも必要な交通手段だといえます。
リニア中央新幹線は、航空機の約3分の1のCO2排出量で済みます。化石燃料による排出ガスを出さない誘導集電方式が全面的に採用される予定で、環境に配慮した交通機関だといえます。浮力走行なので騒音や振動といったトラブルも少なく、周辺環境に配慮した交通機関が完成する予定です。
リニア中央新幹線の開業は、当初2027年に東京・名古屋間、2045年に大阪・名古屋間の開業が予定されていました。ただその後、大阪・名古屋間も2037年までに全線開業する計画に修正されています。
上記では2027年までに東京・名古屋間の開業が予定されていると記述しましたが、実はリニア開業はずれ込むと見られています。国土交通省の有識者会議では、2021年12月時点で建設工事が1年半遅れていると報告しており、2029年以降まで開業がずれ込むと予想されています。
リニア中央新幹線工事の問題が、浮き彫りとなったのは2017年頃のこと。県の大部分がルートから外れ、駅がない静岡県の大井川の流量が最大毎秒約2トン減るという問題が表面化しました。
約62万人の水道用水として使用しており、水不足で取水制限がある大井川から大量に放流するものの、静岡県が得られるメリットがないと未着工状態が続いています。生活や生態系への影響が大きいため、丁寧な対応が求められています。
実に50年以上の歴史がある、リニアモーターカーのプロジェクト。国の一大プロジェクトとも言えるやりがいある仕事に携われることも、土木施工管理技士の魅力の一つです。
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