電動ハンマーやドリル、ハンドブレーカーなどの振動工具を業務で取り扱う場合、すべての作業者は特定の講習を受けなくてはなりません。なぜなら振動工具の取り扱いの悪さが原因で「振動障害」を発症するおそれがあるからです。
労働安全衛生法に基づいて、振動工具の取り扱いに関する安全衛生教育を修了した人のこと。振動工具の取り扱いは、厚生労働省が通達した「チェーンソー以外の振動工具取扱作業者に対する安全衛生教育の推進について」(昭和58年5月20日、基発第258号)に定められています。事業者は、振動工具(チェーンソー以外)を取り扱う作業者に安全衛生教育を受けさせることが求められています。
振動工具取扱作業者に安全衛生教育が必要なのは、以下のような理由が挙げられます。
振動障害とは、振動工具の激しい振動が体に伝わり、それが長時間続くことで血流や神経の働きを阻害。結果として身体機能に異常をきたす症状です。
振動手袋や耳栓などの保護具を着用する、振動工具の点検や整備を正しく行えば振動障害のリスクの低減が可能です。しかし振動工具を誤った使い方をしている、もしくは予防策を講じないまま重い振動工具を長時間操作すると、振動障害の発生リスクが高くなるとされています。振動工具取扱作業者の安全衛生教育によって、振動工具の正しい使い方を理解できるようになり、振動障害の発生を抑えることにつながります。
長時間の振動工具の操作によって、末梢循環障害や末梢神経障害、運動器障害を引き起こすおそれがあります。振動障害によって労災認定を受けている人は減少傾向にあるものの、療養を継続している人は例年5,000人近くにのぼるのです。
このような労働災害を減らすためにも、操作時間の管理や工具の選定、作業環境の整備などが作業者・管理者の双方に求められています。
※参照元:林業・木材製造業労働災害防止協会「業種別・年度別振動障害の労災補償状況(PDF)」 (https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/03/dl/s0329-12e.pdf)
チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る 振動障害予防対策指針対象工具 | |
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1.ピストンによる打撃機構を有する工具 | さく岩機、チッピングハンマー、リベッティングハンマー、コーキングハンマー、ハンドハンマー、ベビーハンマー、コンクリートブレーカー、スケーリングハンマー、サンドランマー、ピックハンマー、多針タガネ、オートケレン、電動ハンマー |
2.内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの) | エンジンカッター、ブッシュクリーナー |
3.携帯用皮はぎ機等の回転工具(5を除く) | 携帯用皮はぎ機、サンダー、バイブレーションドリル |
4.携帯用タイタンパー等の振動体内蔵工具 | 携帯用タイタンパー、コンクリートバイブレーター |
5.携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤 | 使用する研削といしの直径が150㎜を超えるものに限る |
6.卓上用研削盤又は床上用研削盤 | 使用するといしの直径が150㎜を超えるものに限る |
7.締付工具 | インパクトレンチ |
8.往復動工具 | バイブレーションシャー、ジグソー |
※参照元:SAT「振動工具取扱作業者安全衛生教育」(https://www.sat-co.info/blog/shindou220000/)
科目 | 範囲 | 時間 |
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振動工具に関する知識 | ・振動工具の種類及び構造 ・振動工具の選定方法 ・振動工具の改善 |
1時間 |
振動障害及びその予防に関する知識 | ・振動障害の原因及び症状 ・振動障害の予防措置(動工具の振動加速度のレベルに応じ、振動のばく露時間を制限する対策) |
2.5時間 |
関係法令等 | ・労働安全衛生法 ・労働安全衛生法施行令等中の関係条項及び関係通達中の関係条項等 |
0.5時間 |
※参照元:SAT「振動工具取扱作業者安全衛生教育」(https://www.sat-co.info/blog/shindou220000/)
振動工具取扱作業者安全衛生教育は、一般的に講習会に参加することで受講できます。講習会は労働局登録の教育機関や労働協会、民間企業などさまざまな団体・法人が実施しており、年齢を問わず受講することが可能です。
ただし、振動工具の業務に従事できるのは18歳以上と決められているので、18歳になった後で受講すると良いでしょう。
振動工具取扱作業者安全衛生教育は、通信講座での受講も可能です。受講時間は4時間~5時間程度で完了しますが、講習会に参加するとなると1日がかりとなります。
通信講座ならいつでも好きな時間に場所を選ばず受講できるので、空いた時間を有効活用できます。オンライン受講なら動画とテキストを組み合わせて繰り返して勉強ができるので、内容を深く理解しやすく自分自身の体を守ることにもつながります。
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