盛土の施工方法にはさまざまな種類がありますが、その中の1つが「軽量盛土工法」です。このページでは、土木施工管理技士として知っておくべき軽量盛土工法について、施工の特徴や方法の種類などをまとめました
軽量盛土工法は盛土を施工する際の方法であり、軟弱地盤や急傾斜の現場、地すべり地帯といった通常の盛土施工が難しい場合に採用される施工法です。
軽量盛土工法は文字通り軽量な資材を土の代わりに使用するものであり、構造物や周辺の地盤などに対して影響を与えにくいことが特徴です。
また軽量盛土工法には複数の方法があり、土を軽量材へ置換して盛土を行う方法や、土と軽量材を混合することで土の使用量を制限して重量を抑えるといった方法があります。どのような軽量盛土工法を選択するかは工事の内容や現場の環境などを踏まえて総合的に検討しなければなりません。
EPS(Expanded Poly-Styrol)は日本語で「発泡スチロール」を意味する略語であり、つまり軽量盛土工法の盛土材として発泡スチロールを使用する工法です。
EPS工法では、大型のEPSブロックを積み重ねて盛土を構築します。EPSブロックの標準サイズは「1.0×0.5×2.0m」で、非常に軽いため人力でも運搬可能です。そのため、スムーズな施工が可能となります。
各ブロックは緊結金具を使って結合固定しながら積み重ねられていくことも特徴であり、一定の高さごとに有害物の浸透防止や荷重分散を目的としてコンクリート床板を設置します。
軽量盛土工法として利用しやすい工法ですが、有機溶剤の漏出などによってEPSが熔解されるといったデメリットにも注意しなければなりません。
FCB(Foamed Cement Banking)とは硬化する前のセメントやモルタルへ気泡を含ませてから硬化させることにより、必要な体積を維持しながらセメントやモルタル単体で使用する場合よりも重量を抑えた盛土体になることが特徴です。
一般的なFCB工法としては砂質の原料土にセメントと水を混合し、泥状(スラリー状)にしたものへ微細な空気を混合させて、そうしてセメント内に発生した気泡を潰さないよう注意しながら打設・硬化するという流れになります。なお、打設時の衝撃や圧力で気泡が潰れないよう、1日に打設する高さは1.0m以下に抑えられるのが一般的です。
FCB工法ではセメントが硬化するまで気泡が潰れないよう注意しなければならず、雨天時などは施工できません。
発泡ウレタンとは、薬液を混合してウレタンポリマーを発生させ、そこに二酸化炭素や整泡材などを添加することによって硬質ウレタンフォームを膨らませて作られる素材です。発泡ウレタンは様々な業界や用途で使われていますが、現場発泡ウレタン軽量盛土工法(R-PUR工法)は文字通り現場でポリオール成分とポリイソシアネート成分の薬液2種類を混合し、現地で化学反応を起こさせながら発泡処理を行って盛土体を構築するものとなります。
現地で混合作業を行うために施工ヤードが必要となり、また使用する原料が危険物として指定されているため、有資格者による適切な品質管理や、特殊工事を管理できる技術者といった要素が欠かせません。
発泡ビーズ混合軽量土工法は、盛土材として使用する土材へ、超軽量の発泡ビーズを混合することで体積を増加させた発泡ビーズ混合軽量土を使う軽量盛土工法です。またHGS工法(ハイグレードソイル工法)の1つとしても扱われています。
超軽量発泡ビーズを使用することで、土をそのまま使用するよりも大幅に荷重を軽減できることが強みであり、本来の土へ近い変形追随性も有するため透水性を調整できるといったメリットがあります。なお、発泡ビーズの混合比を調整して浸潤密度を調整し、浮力対策を省略できる点も見逃せません。
水砕スラグ軽量土工法は、盛土体として水砕スラグを活用する工法であり、護岸の裏込めや軟弱地盤対策を目的とした覆土、路床や盛土など色々な場面で利用されています。
水砕スラグ軽量土工法の特徴として、軽量であることに加えて剪断抵抗角が大きい点も重要であり、主働土圧の軽減へ大きく寄与できることが重要です。また、完全に固結した後であれば地震時の液状化リスクも軽減されるため、改めて液状化対策を施工する必要もありません。
その他にも、水硬性によって浸透水による強度の低下が起こりにくいことも特徴です。
焼却処理によって発生した焼却灰を混合材として使用する軽量盛土工法です。
焼却灰は単位体積質量が小さく軽量性を有することが特徴であり、粒子も微細なため地盤改良材や法面吹き付け材など色々な場面で活用されます。
なお、一般的にはセメントや生石灰といった固化剤・混和剤と焼却灰へ転嫁して、造粒させたものを盛土材として用います。また焼却灰と泥土を一緒に用いて造粒化した素材を使用することもあるでしょう。
焼却灰の特徴として多孔質な物質であり、吸水性に優れていることも特徴です。そのため、水を吸い込むことで液状化のリスクがあることは無視できません。
タイヤチップス軽量土工法は、廃棄された自動車などの古タイヤを破砕し、金属や余分な繊維などを除去したタイヤチップを混合材として活用します。そのためタイヤチップス軽量土工法では天然ゴムや合成ゴム、ビードワイヤーなどが主な構成材料になっています。
なお、タイヤチップはサイズによって「ゴム粉」や「ゴムチップ」、「シュレッド」といった呼び方で分類されます。
その他の特徴として、廃タイヤ由来のタイヤチップを土へ混合するタイヤチップス軽量土工法では、ゴムが有機系物質を吸収することも特徴であり、地盤からの揮発性有機塩素化合物などの漏出リスクを低減可能という点も重要です。
石炭灰は石炭燃料を用いた火力発電によって発生する産業廃棄物であり、法律によって指定副産物としても定められている原料です。
石炭灰の有効活用の方法として軽量盛土工法への転換も注目されており、土地の造成や裏込め注入、路床路盤の施工など幅広い場面で使われています。
また石炭灰は副産物として発生するものであり、天然資源を新たに使わないため環境負荷を抑えられることも重要です。また火力発電所が沿岸地域にあるため、船舶による大量輸送を行いやすいといったポイントもあります。
軽量で排水性や通気性、保水性・保肥性などに優れており、色々なエリアで利用価値が検討されています。
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