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ブリーディング

コンクリートを打設する際に発生する「ブリーディング」は、施工品質に大きな影響を与える現象です。この現象を適切に管理しないと、ひび割れやコールドジョイントといった施工不良が発生するリスクが高まります。

一方で、ブリーディングそのものが悪い現象とは限らず、適切に処理すればコンクリートの品質を向上させることも可能です。本記事では、ブリーディングの基本的な仕組みや原因、レイタンスとの違い、さらには具体的な対策について解説します。

ブリーディングとは?

ブリーディングとは、コンクリートを打設した際に、内部に含まれる水分が表層に浮上してくる現象を指します。この浮上してきた水は「ブリーディング水」と呼ばれます。ブリーディングは、コンクリート内の水分が材料間の隙間を通って浮き出ることで発生し、その量はコンクリートの配合や施工条件に大きく左右されます。

ブリーディングそのものは必ずしも悪い現象ではありません。コンクリート内部の余分な水分が表面に移動することで、内部の水セメント比を適正化し、コンクリートの強度向上につながる面もあるからです。

しかし、ブリーディング水が多量に発生すると、コンクリート表層にひび割れが生じたり、コールドジョイントが発生したりと、構造物の耐久性に深刻な影響を与えることもあります。そのため、ブリーディング現象を適切に管理し、施工条件に応じた対策を講じることが求められます。

ブリーディングとレイタンスの違い

ブリーディングとレイタンスは関連性が深い現象ですが、意味や対象は異なります。ブリーディングは「コンクリートの内部水分が表面に浮上してくる現象」または「浮上した水」を指します。一方、レイタンスは、ブリーディング水と一緒に浮上したセメントや骨材の微粒子が凝集し、多孔質で脆弱な薄層を形成する現象です。

つまり、ブリーディングは「水」が中心であるのに対し、レイタンスは「微粒子を含む薄層」が中心であり、これらは発生メカニズムも対象も異なります。ブリーディング水が多い場合、レイタンスの発生リスクも高まるため、これらをセットで考えることが重要です。

特に、コンクリート構造物の打ち継ぎ部分では、ブリーディングとレイタンスの双方に適切な対応を行わないと、施工不良につながる可能性があります。

ブリーディングの影響とリスク

ブリーディングが適切に管理されない場合、以下のような影響やリスクが発生します。

コンクリートのひび割れ

ブリーディング水が表面に浮上すると、コンクリート内部で水分の移動に伴う沈下が発生します。この沈下が不均一になると、表層にひび割れが生じる可能性があります。特に、気温や湿度の変化が激しい環境では、乾燥収縮も加わり、ひび割れが広がるリスクが高まります。

コールドジョイントの発生

ブリーディング水が浮上している最中に新たなコンクリートを打設すると、既存のコンクリートと新しく打設したコンクリートが十分に接着しない場合があります。この接着不良部分をコールドジョイントと呼び、耐久性や水密性を大きく低下させる原因となります。

表層強度の低下

ブリーディング水が多量に発生すると、コンクリート表層の水セメント比が高まり、結果的に表層の強度が低下することがあります。これにより、摩耗や劣化が進行しやすくなるため、特に耐久性が求められる構造物では問題となります。

ブリーディングの対策

ブリーディングのリスクを抑えるためには、その原因や仕組みを理解した上で、適切な対策を講じることが重要です。以下に具体的な対策を説明します。

コンクリートの選定と配合の最適化

ブリーディング量を抑えるためには、まず適切なコンクリート配合を行うことが重要です。スランプ値や水セメント比が大きすぎる場合、ブリーディングが増加するため、これらの値を適正範囲内に設定します。

水セメント比を低く抑えることでブリーディング水の発生を抑制できますが、水分量が少なすぎるとコンクリートの流動性が失われ、施工が困難になる場合があるため、バランスが重要です。

また、混和材の使用も有効な手段です。高性能減水剤を用いることで、適切な流動性を保ちながら水分量を抑えることが可能です。

施工方法の改善

施工時の手順や条件も、ブリーディングに大きく影響します。たとえば、打ち込み速度を適切に調整することで、過剰なブリーディングの発生を抑えることができます。また、打ち込み高さを低く設定することで、コンクリートの分離を防ぎ、ブリーディング量を減少させることが可能です。

施工環境にも注意が必要です。気温や湿度が低い環境では、ブリーディング水が浮上する速度が遅くなるため、冬季の施工では打設スピードや養生条件を慎重に検討する必要があります。さらに、振動締固めを適切に行うことで、コンクリート内部の余剰水分を効率的に排出し、ブリーディングの影響を軽減できます。ただし、過度な締固めは逆効果となるため、注意が必要です。

打設後の養生もブリーディングの管理において重要です。特に初期段階での湿潤養生を徹底することで、ブリーディング水の蒸発を抑え、表層のひび割れを防ぐ効果が期待できます。また、養生中の温度管理も重要であり、極端な温度変化を避けることで、コンクリート内部の沈下や乾燥収縮を最小限に抑えることが可能です。

まとめ

ブリーディングはコンクリート施工において避けられない現象ですが、その影響を最小限に抑え、品質を確保するためには適切な理解と対策が必要です。スランプ値や水セメント比を最適化し、施工手順や環境条件に配慮した上で管理することで、ブリーディングによるひび割れやコールドジョイントの発生を防ぐことができます。土木施工管理技士として、ブリーディング現象の特性を把握し、現場に応じた最適な対応を行うことが、施工品質の向上と長期的な構造物の安全性を確保するための重要なポイントです。

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