建設業の現場では「VE」「VA」という言葉がよく使われます。それぞれの言葉の意味や違いを把握していますか?このページではVEの意味やVAとの違い、VEのメリットなどを紹介するのでチェックしてください。
Value Engineeringの略で、コストを抑えた状態で、サービスと製品の価値を高めるという考えのことです。アメリカで開発された手法をアメリカの国防省で導入したのが起源とされています。日本では受注側が違った提案を行うことで、価値を高めつつ、コストダウンも実現できることを指すことが一般的です。
たとえば発注先の変更や図面・仕様書の変更などを行うことで、品質はそのままにコストダウンができる活動を実施します。
よく間違えられるのがVAという言葉です。VAとはValue Analysisの略で、既存の製品の変更に対して用いられ、VEは新商品を開発する段階での活動を指します。そのため、どのタイミングで提案しているかによって、VE・VAが区別されているのです。両者は目的が同じなので、「VA/VE提案」と記載されることもあります。
建設の業界では、常にありとあらゆるニーズに対応しなければなりません。VE提案をすることで、品質・コストの両面から優れた提案を行ってくれるでしょう。建築物の品質や価値などもニーズをクリアしていることが前提になっているため、高い品質を保持しつつ、コストを抑えた建設工事の提案が可能です。
VEは品質を維持した状態で、コストを抑えた提案を行っているため、消費者としての満足度も高めることができるでしょう。これまでの建設工事であれば、建設会社は自社のスキル・技術などをそのまま活用した工法を提案したところで、とくにメリットはないのが実情です。しかしVEであれば、自社のスキル・技術を活用したうえでコスト削減にも繋がる施工法について提案ができます。そのため顧客満足度のアップだけでなく、建設会社にとっても受注のチャンスが増えるといったメリットも期待できるでしょう。
どのような建築物であっても建設業界においては、他の業界よりも影響を及ぼす範囲が大きいと言われています。また影響範囲が広ければ、影響を抑えるための創意工夫も必要になるでしょう。そのうえ、外部へのコストも高くなるので、自社で独自開発した技術を活用することで高い品質を保ちつつ、コストも抑えられるVE提案が建設業界には必要となるのです。
一つの建物を建てるための工事は、企画から設計、建設などの段階を行う必要があり、長い期間がかかってしまいます。また他の業界に比べ、建設工事に携わる労働力も多く必要になるといった特徴も。そのため建設業界でのVE提案は、工事の企画・計画・設計・施工・維持管理まで全ての段階で提案を行うことができ、それぞれの段階でのVE提案によって、効率的・効果的な施工を実現することができるでしょう。その結果、時間や労力の削減につながります。
どのような業種であっても利害関係のある企業はあるでしょう。その中でも建設業界は利害関係者が多いとされており、不特定多数の企業と関わりを持っています。土地や不動産の権利者・ディベロッパー・協力会社・資材や機材の納入業者・地域社会などが関係者に含まれるでしょう。そのため、それぞれのニーズが異なる利害関係者に対応しなければならず、余計な負担もかかりやすくなります。VE提案を実施することで品質も保たれやすくなり、コストも抑えることができるので、利害関係者のニーズも見たしやすいでしょう。
VEとは品質・価格の両方を考慮したうえで、総合的に価値を高めるための手段を考えることです。VE提案を行うことによって、建設業界が抱えている問題点を解消することにつながるでしょう。VEの特徴やメリットなどを把握し、実際の現場にも活用してみてください。
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