土木施工管理技士を目指すうえで、土木工事や建設工事で発生する「残土(建設発生土)」の取り扱いについて正しく理解しておくことは必須です。
本記事では残土(建設発生土)の種類や関連する法律などについてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
「残土」とは土木工事や建設工事の現場において、掘削工事などを行った際に発生する余剰な土(副産物)のことで、正式名称では「建設発生土」と呼ばれます。
建設残土そのものは指定副産物とされていますが、実際の工事で発生する残土には、工事環境によって土のほかにも金属くず、コンクリートの破片、木材や有害物質といったものが含まれていることがあります。そのため、それぞれの残土の種類や状況に応じて適切な処分方法を選択することが重要です。
h3>残土=産業廃棄物ではない残土(建設発生土)そのものは国土交通省の省令において「指定副産物」として定められており、それ自体は産業廃棄物には該当しません。
ただし、残土に産業廃棄物である木材や金属、有害物質などが混在している場合は「廃棄物混じり土」として扱われ、処分方法も産業廃棄物として考える必要があります。
廃棄物混じり土から産業廃棄物を除去したものについては、建設発生土として再利用することが可能です。
残土の取り扱いを考えるうえで、特に注意が必要なのが「汚泥」との見極めです。
汚泥は泥状の土として水分を多く含み、コーン指数が200kN/㎡以下または一軸圧縮強度が50kN/㎡以下といった特徴があります。
残土と異なり、汚泥はそれ自体が「産業廃棄物」として扱われるため再利用できません。
たとえばダンプに積み上げられない、その上を人が歩けないといった状態の場合、汚泥の可能性を考慮して慎重に判断することが必要です。
工事現場や掘削工事などで発生した残土は、その条件や状態によって5つの種類に分類され、それぞれの種類に応じた適正な取り扱いが求められます。
第1種建設発生土は砂や礫などを主体とする残土であり、「土の強度(強さ)」を示すコーン指数についての特別な定めはありません。
産業廃棄物が混在しておらず、一定以上の品質が認められる第1種建設発生土は再生資源としてリサイクルが可能です。再利用方法としては、道路用地の盛り土、土地造成、土木構造物の裏込め、河川の堤防建設などが挙げられます。
砂や礫を主として含む建設残土のうち、コーン指数が「800kN/㎡以上」のものを第2種建設発生土として扱います。第1種建設発生土よりも砂を多く含む砂質土や、礫の含有割合が大きい礫質土が第2種建設発生土として扱われることが特徴です。
第2種建設発生土も再生資源として再利用が可能であり、主に土地の造成、道路用地の盛り土、工作物の埋め戻しといった用途に使用されます。
コーン指数が400kN/㎡以上で、粘性のある残土は第3種建設発生土として扱われます。具体的には、粒子径75μm以上、土粒子50%以上の土質です。
第3種建設発生土の基準には、工事現場における利用の容易さも含まれており、堤防建設や土地造成などへの再利用が可能です。ただし、盛り土や埋め戻しに第3種建設発生土を使用する場合、事前にセメントや石灰などの混合剤による土質改良が必要です。
コーン指数が200kN/㎡以上の粘性土であり、第3種建設発生土よりも柔らかい残土が第4種建設発生土に該当します。
第4種建設発生土は柔らかい土質のため、そのままの状態では土地造成などに再利用できず、主に水面の埋め戻しに使用されます。
ただし、適切な土質改良によって条件を整えられる場合は、土地造成や道路用の盛り土への再利用も可能です。
第4種建設発生土よりも柔らかく、水分を多く含有する泥水状の建設発生土は「泥土」として分類されます。コーン指数は200kN/㎡未満です。
泥土はそのままでは土としての強度を確保できないため、再利用する場合は土質を改良したうえで水面の埋め立てなどに使用するのが一般的です。
なお、再利用が困難な泥土は、産業廃棄物である「汚泥」として処理する必要があります。
建設発生土として建設工事や土木工事の指定副産物となる残土は、可能な限り再生資源として再利用することが求められます。
そのため工事によって余剰な土が発生した場合は、まずコーン指数などの諸条件をチェックして残土としての分類を明確にし、それぞれの土質や適性に合わせて再利用方法を検討します。基本的には埋め戻しや盛り土など同一現場内での再利用が推奨されており、現場内での再利用が困難な場合は現場外での再利用を検討します。
残土を現場内で再利用しても余剰残土が存在する場合は、まず残土処分場や残土仮置き場(ストックヤード)へ残土を持ち込んで保管し、改めて有効利用方法を検討することが必要です。また、どうしても残土の再利用が困難な場合は、処分業者や回収業者への委託も選択肢となります。
残土の処分費は残土の量だけでなく含有物の状態によっても異なり、さらに自治体によっても異なります。そのため、実際に処分を依頼する際は複数の業者から相見積もりを取ることをお勧めします。
廃棄物混じり土を残土として処分すると産業廃棄物処理法違反に問われる可能性があるため、十分な注意が必要です。
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