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光ファイバでダム堤体コンクリートのひずみ挙動を検知

光ファイバは、石英ガラスやプラスチックでつくられた非常に細い筒状のもので、中を光が通ることで情報を伝達します。使用されているものではインターネット回線などが有名ですが、センサーとしての用途も注目されています。特に建設業界では橋梁やトンネルなどの社会インフラ設備や大型構造物の健全性診断ツールとして利用することを目指しています。今回は、その事例として光ファイバを用いて鹿島建設がダム堤体コンクリートのひずみ挙動検知に成功した事例をご紹介します。

高い精度でひび割れ要因のひずみ挙動が確認できる

この検査では、光ファイバを用いて、ダム堤体コンクリートのひずみ挙動検知により、ダムの堤体コンクリートのひずみ挙動を連続的に把握することで、ひび割れが、いつ・どの場所で発生するか予測可能になり、ひび割れ制御に有効な対策を事前に打てるようになることが期待されています。新たな技術による光ファイバ計測の原理としては、専用の計測器によって各部位の散乱光を感知、分析することで、ケーブル状の光ファイバセンサに沿ったすべての位置でのひずみ、温度、振動を計測できるというもの。また、今までの計測ではひずみ精度が50μ、計測時間には数分間かかっていましたが、今回鹿島建設が開発した計測器ではひずみ精度が1μとなり、計測時間は数秒間と大きく進化しています。この光ファイバ計測装置を使用すれば、工事中、供用中を問わず、地盤や構造物内部のわずかな挙動をリアルタイムに「見える化」できることとなります。

開発の背景

今回の計測対象は、ダムの堤体上部に打設したコンクリートが反り上がることによって、層状に打設するコンクリートの水平打継部に発生するひび割れ要因となるひずみ挙動です。コンクリートが反り上がる理由としては、温度応力によるものが大きいと考えられていますが、発生する時期に関しては現場ごとに異なっているため規則性がなく、有効な抑制方法も見いだせないでいたのです。また、上部に打設したコンクリートが打継面に覆い被さることもあり、発生しているひび割れ自体が確認できないということもありました。

計測の概要と結果

上記のようなひずみ挙動を迅速かつ正確に捉えるために考え出されたのが、今回の光ファイバを用いた計測です。今回の事例では直接的かつリアルタイムに計測するため、各層の水平打継部を貫通するように光ファイバを設置しました。計測結果では、光ファイバのひずみが引張側に増大していることを確認しています。越冬面の水平打継部のひび割れが大きくなることが知られていますが、その部位でのひずみの増大の時期や増大していく状況が、計測結果から解明されています。このように、今回の計測では、業界で初めて、反り上がりによるひび割れの要因であるひずみの増大時期や状況を見える化できたのです。

インフラ等整備への採用に注目

今回業界で初めて、光ファイバ計測により、ひび割れの要因であるひずみの増大時期や状況を見える化できました。この技術はダムはもちろんのこと、そのほかのインフラ設備にも応用できると考えられています。老朽化が進む国内のインフラ整備にとって、注目の技術となるでしょう。

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