こちらでは、プレボーリング杭工法を解説しています。特徴やメリット、施工手順などをみていきましょう。施工手順については、7つの手順にわけてわかりやすく紹介しています。土木施工管理技士の資格を取得して活躍していきたい方のために、さまざまな土木工事の知識を増やしておくために役立つ情報をまとめました。
自重沈設や回転によって、杭を支持層に設置させる工事を、プレボーリング杭工法といいます。攪拌シャフトから杭周固定液を注入し、土砂と混ぜ合わせ、定めた支持層まで掘り進めたら、根固め液に切り替えて注入。築造した掘削孔に杭を挿入していきます。
プレボーリング杭工法は、国土交通省告示第1113号に規定されている、標準的な工法です。建設現場などで広く採用されていることもあり、実際の工事におけるトータルの実績数が豊富な施工方法としても知られています。建設作業員やその経験者であれば、プレボーリング杭工法による工事に携わったことがある方も多いのではないでしょうか。
信頼性の高さが、プレボーリング杭工法の大きなメリットです。1打撃あたりの貫入量やリバウンド量の測定記録を確認できるので、杭の支持力を、主観をまじえずに正確に把握できることが、高い信頼性の理由となっています。また、工事をおこなうのに必要な機械の数が少ないため、コストをおさえやすいところも、もうひとつのメリットとしてあげられます。
杭心を地盤の上に設置します。ちなみに、杭心とは「杭の中心」を意味する言葉です。杭心の間隔についてですが、打ち込み杭の場合であれば「杭径の2.5倍かつ75cm以上」に設定するようにしましょう。なお、杭心をセットする際は、杭心の位置より返り心を直交2方向に打ち込み、定尺棒で杭心に掘削ビットの中心を合せるのがポイントです。そうすることで、位置がずれるのを防ぎ、精度を高く保つことができます。
決められた深さまで掘削を進めることができたら、次に、根固め液の注入に移ります。ここで、掘削ビット出していた掘削液を根固め液に切り替えます。そして、掘削した穴の先端から注入し、ゆっくりと引き上げましょう。さらに、根固め部の区間で、上下反復を数回行います。
次に、根固め液から杭周固定液へ切り替えます。そして、杭周固定液を注入し、上下反復をしつつ、掘削撹攪拌装置を引き上げます。この作業が完了すると、掘削孔の底の方に、根固め液およびその上部から地表付近までの杭固定液によるソイルセメント柱が出来上がります。
ここまでの手順をふむことで、既製杭を建てられる状態が完成します。ソイルセメント柱をつくった掘削孔に、杭頭部や既製杭を建て込む作業をおこないます。
既製杭の沈設作業に入ります。鉛直性をキープしつつ、杭を掘削孔の中心部に建て込み、そのまま沈設します。ちなみに、沈設作業とは本来、水中などに対象物を沈めて敷設する作業のことですが、ここでは、掘削孔に杭周固定液満たされている状態を指して「沈設」と表現しています。
地面から出ている杭の先端部分に、回転キャップを設置します。そして、杭の重さによる自沈、もしくは回転による圧入で、ソイルセメント柱の中に杭を定着させていきます。
自沈あるいは回転圧入によって、決められた位置にまで杭を沈めたら、一定時間、その状態をキープして、地面の中でしっかりと定着させます。深く自沈しすぎないようにするためです。ここまでの7つの施工手順をふむことによって、工事は完了となります。
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