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官公庁が発注する公共事業で
発注者のパートナーとして業務を補佐
発注者支援業務とは、国や都道府県といった官公庁が発注する公共事業を受注者側ではなく発注者側の公務員の業務をパートナーとして補佐する業務です。
平成23年の公共サービス改正法により、それまでの現場技術業務が発注者支援業務と変更されました。
建設業界の中でもあまり認知されていない制度でしたが、東日本大震災をはじめ、全国で多発する自然災害の復興やインフラ維持修繕などの需要増加をきっかけに広がっています。
発注者支援業務に従事する場合、全ての業務が一連ではありません。発注者支援業務は10種類近くに分類され、各々異なる業務を担当します。 ここではプロジェクトの流れに沿って、発注者支援業務で行う実際の仕事を見てみましょう。
プロジェクトの立ち上げ時は、発注者が必要とする予算要求、事業計画案に関する資料作成を行います。また同時に地元説明や関係機関との協議に関わる資料作成を行い、発注者の業務支援を行います。事業推進が確定したら各々の調査業務や設計業務が発注され、随時受注者から成果が納品されますが、その成果品の内容確認も重要な業務の1つとなります。
成果品に問題がなければ、それら設計・調査結果を基に、工事に必要な費用が算出されます。このとき、積算の根拠となる積算資料の作成、発注に必要となる発注図面・数量計算書などの作成を行うことで、発注者の支援を行います。
積算成果を基に工事が発注され、受注者(施工業者)が決まると、現場監理がはじまります。ここでも発注者側の立場で施工状況の照合をしながら工程や品質の管理をします。工事中は段階確認や指示に必要な資料の作成、施工業者から提出された資料の照合など行い発注者を支援します。
また、工事が竣工したら、完成検査にも臨場します。一般的な土木施工管理の仕事と違うのは、あくまで発注者側として事業全体に関わるということ。同じ施工現場の施工管理業務でも、現場を直接管理するのではなく、発注者側の目線から問題なく進んでいるかという観点で管理します。
業務発注担当部署ごとに発注される道路や河川、ダムや都市公園などに関する工事実施の監督補助を行います。契約の履行に必要な資料作成や設計図書との照合、現地の確認や調査に必要な資料の作成などが具体的な業務です。
施工状況を把握してその結果を報告したり、現場で照合を行った際に設計図書に適合しない場合には、工事受注者にその旨を伝えなければなりません。これらの業務を行うことで調査職員を支援し、発注工事の円滑な履行や品質確保を図ることを目的としています。
品質管理業務は、工事目的物が設計で規定された基準を合格できるようにするための業務です。設計で決められた品質・規格を満たし、さらに経済的に生産するための管理基準を定め、施工の進み具合に合わせて自主的な管理も必要となるでしょう。
また構造物の品質管理ために、計画・実施・検討・処置といった4つのサイクルで業務をしていきます。時には規定の品質を守るために、事前に試験を行ってデータを採取することもあり、作業方法と手順の検討・計画も行わなければなりません。
建設会社にとって工事金額の算出は非常に大切な仕事です。会社の存続にも影響する内容ですから、正確な金額算定が必要となります。
具体的な業務内容としては、数量計算書をもとに予算書を作成するというものなどです。基本的に監督職員は、単価のみの入力で予算書が出来上がります。
ただ設計図書から工種1つ1つを想起して最適な手順や材料数量、施工機械選定などを行わなければなりません。初めて行うには、ややハードルの高い業務と言えるでしょう。
上記の様に発注者支援業務ではプロジェクトの様々な場面で活躍しています。また、河川巡視や道路情報管理業務など、既存の構造物の管理や安全利用に関わる業務もあります。
発注者支援業務で評判!
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発注者支援業務は国や都道府県など、官公庁の組織の中で、公共工事の発注で発生する工事の積算や検査などの業務を代行する職業です。1990年代初頭のピークから2010年頃までで、公共事業はほぼ半減したと言われていますが、コンプライアンスの強化や公務員削減、東日本大震災の復興需要などの影響により、事業を行うための官公庁の業務量は増加傾向にあります。
そのため、官公庁や特殊法人などが行う工事発注の為のあらゆる業務を補い、国の方針である「民間で出来る業務は民間に」をもとに発注者支援業務は誕生しました。
分類は建設コンサルタント業務で、各公共機関から発注されています。公共事業の発注者を補助するための業務と捉えると分かりやすいでしょう。
規模と実績、体制が整っている建設コンサルタント
発注者支援業務はどんな会社でも行っているわけではありません。基本的に受注は入札で決定されますが、入札に参加するための応募要件が設けられているためです。
会社や管理技術者としての過去の実績が評価点の対象となるので、規模の小さな会社や新しい会社がすぐに受注するのは難しいでしょう。
発注者支援業務を行っているというのは、規模と実績、体制が整っている建設コンサルタントであるという証明でもあります。
実際の求人募集などを見てみると、発注者支援業務の応募要件は発注者支援の経験が必須とされていることが多いようです。 積算・施工管理、行政事務、施工計画などを発注側の立場で行う関係で、正確性を求められるためです。官公庁の事務所や出張所といった客先で業務を行うことになるため、配属されればすぐ実践ということも少なくありません。
しかし、社内研修を行っていて、発注者支援業務未経験でも働ける会社もあります。また、一通りの土木施工管理経験があれば、応用して対応することもできるでしょう。 発注者支援業務はほとんどが公共事業ですが、土木施工管理技士2級でも問題ありません。もちろん1級があるに越したことはありませんが、仕事をしながら取得を目指すのが一般的です。
発注者支援業務を行う上で、最も重要な資質と言えるでしょう。指示事項に対して、正確に確認・報告できるかが求められます。不安定構造などのトラブルを引き起こさないよう設計図と現場を照合し、1つの材料の抜けがないかなど、事細かに確認を行う必要があるでしょう。
ただ監督支援業務の受注者は、工事受注者に対して指示ができません。万が一材料の不足などがあった場合は、監督職員へ迅速に報告して工事受注者への是正を支持することになります。もちろんその後は、是正内容の反映有無を確認します。
発注者支援業務のパターンは、一見すると指示されたことを全うすれば良いと考えがちですが、実はそうではありません。実際の現場は、施工計画書と手順が異なっていたり安全対策が不十分だったりというケースがたくさんあります。
人身・物損事故や近隣からのクレームといったトラブルを未然に防ぐため、危険因子が存在すると感じればすぐに監督職員へ報告するのも発注者支援業務の1つです。安全巡視を実施するといった当たり前のことは指示書に記載されていないかもしれませんが、だからこそ現場を見て柔軟に対応できるかが重要になります。
先ほどもお伝えした通り、発注者支援業務を行う人は工事受注者に対しての指示ができないため、監督職員を通して指示を行う必要があります。そのため監督職員とは、お互いに信頼関係を築いておかなければなりません。
ただ監督職員にも様々な人がいますし、現場ごとに担当者も変わります。工事を安全かつスムーズに行うためにも、日ごろから現場の人間とのコミュニケーションを取るよう心掛けられる協調性のある人は、大変重宝されるでしょう。
発注者支援業務に近年新しく組み込まれた体制が発注者支援型CM方式です。
これは、従来の発注者支援に加えて、工事全体を見渡しながら関係機関との調整や技術提案などの助言や工事施工管理、設計の整合確認など多岐にわたる支援を行う業務です。公共事業で民間の技術力を活かし、事業全体の最適化を図るのが目的です。
工事内の直接的な業務は従来の発注者支援業務で行い、プラスαの全体監督を設置するイメージ。東北の復興支援で多く採用されました。
国や地方自治体などの「発注者」と一緒に働く仕事です。今では公共土木事業のさまざまな場面で欠かせない役割になっています。
道路、橋梁、河川・砂防、ダム、港湾といった、いろいろなインフラ(社会基盤)整備にかかわる機会がありますから、自分の経験や専門的な知識を活かすことができます。
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株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで20年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2022年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2022」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。