こちらでは、森林土木工事について解説しています。工事をおこなう目的や工事の種類のほか、施工内容などをみていきましょう。また、調査設計・施工管理などを担当する林業技師についても紹介しています。土木工事における施行管理の仕事への理解を深めるための参考として、ぜひご一読ください。
人間の手で、しっかりと管理を続けていかなければ、森林はときに、災害をひきおこす原因となってしまいます。ですから、専門的な知識と技術を身に付けた方の管理のもと、治山工事や林道工事などの森林土木工事を実施する必要があるのです。
森林は、日本国土の70%近くを占めています。ですから、森林を維持し、守り、そして育てていくことが、すなわち国土保全のための作業につながるといえます。たとえば、人々が生活する上で欠かすことのできない水源の養生にも直結することを考えればわかりやすいでしょう。
おもな森林土木工事として治山工事と林道工事があげられます。まずは治山工事についてですが、これは土石流やあぶない急斜面の崩壊、河川上流部の渓岸浸食など発生をふせぐためのさまざまな工事のことです。
具体例としては、治山堰堤の設置、渓流の床固め、流路工事などのほか、集落や農地を災害対策としての防災林造成、そして経年劣化により状態が悪くなった施設の老朽化への対策などが、治山工事に含まれます。
ところで、どのようなタイミングや状況において、治山工事の実施が決定するのでしょうか。基本的には、山の周辺エリアの住民から相談や要望を受けた場合に、工事がおこなわれます。例えば、台風などの自然災害による災害が発生すると、住民が、市や町の農林担当部署へ相談や要請などをして、それを受けた県が工事を実施する、というのが一般的な流れになります。
もちろん、すべてのケースにおいて治山工事がおこなわれるわけではありません。相談や要請を受けた担当が現地に足を運び、工事の必要性の有無をや緊急性の高さなどの検討をします。また、通常であれば治山工事は県からその工事のための予算が支払われるのですが、現地の状況や必要な治山工事の事業規模などによっては、国から助成金を受け取ることができる場合もあります。
林道工事は、さまざまな目的のもとにおこなわれる工事です。たとえば、国有林の保全や森林の整備、伐採された木材の搬出路の確保、既存の林道の改良、被害を受けた林道の復旧などがあげられます。
林道をつくる際には、利用しやすい道になるよう、充分な機能を持たせるよう努めることはもちろん大切です。けれども、同時に、自然の体系を崩して災害が起こりやすい状態になってしまうことないよう、しっかりと配慮する必要もあります。そのためには、あまり無理な改変を加えようとすることは、避けなくてはなりません。
森林土木においては、治山工事や林道工事などの調査設計や施工管理などの業務をこなすことが求められます。その際には、森林に効果的な路網をもつ林道つくる計画を立てるための知識や、生物多様性保全に配慮するための知識、そして安全・法令手続きの遵守指導をおこなうための知識などが欠かせません。
そのため、設計管理業務は林業技師が担当することになります。林業技師になるには、資格を取得する必要があります。/p>
林道工事・治山工事では、施工管理に関する様式が細かく取り決められているため、決して簡単な仕事とはいえません。また、ちかごろでは、森林保全のためにバイオマスなどの資源を活用していくことも求められるようになっています。
ですから、土木施工管理技士として森林土木工事に携わっていく際には、土木工事に関する知識はもちろんのこと、バイオマスをはじめとする関連業務にもしっかりと取り組んでいく姿勢が重要です。国土の多くを占める森林を扱う工事に携わることで、国土の保全に大きく貢献することのできる、やりがいのある仕事だといえます。
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