このページでは、山留工法のひとつであるアイランド工法についてわかりやすく解説しています。比較的安全性が高いと考えられる工法であるため、採用される機会が少なくない工法です。アイランド工法の特徴や主な3つのメリット、そしてこの工法が適する代表的なケースなどについてまとめました。
また、メリットの多い工法ではあるものの、施工を2段階にわけておこなう必要があるため、工事に長い時間がかかってしまうことなど、おさえておくべき問題点や注意点についても併せてみていきます。
他の工法と比較すると安全性の高い部類の工法として知られているアイランド工法。そのため、この工法が採用される現場は少なくありません。施工方法は、山留工法のひとつです。最初に構造物を作り、そこから切梁を斜め方向に伸ばしながら、山留壁を支えます。その状態のまま、まわりを掘削して躯体をつくっていく、というのがおおまかなプロセスです。解体工事でもアイランド工法が選択されることもよくあります。
低コストで施工できることが、メリットのひとつとして挙げられます。コストをおさえられるのは、この工法においては、最初に中心部に構造物を作ることがおもな理由となっています。というのは、そこから切梁を伸ばしていくので、切梁が短くなるからです。しかも、山留め資材も少なくて済みます。
ふたつめのメリットとしては、先行施工部分の工事効率のよさが挙げられます。上述のとおり、最初に中心部に構造物を作る工法であるため、鉄筋やコンクリートの支保工が少ないことによるものです。
切梁を設置する目的は、山留壁などの変形を、できるだけおさえることです。けれども、切梁が長いと、そこにゆるみが生じてしまうという問題があります。
けれども、アイランド工法であれば、中央部の構造体から切梁を伸ばしていく手法なので、切梁が短くなり、そもそもゆるみなどが生じにくい構造になっているのです。これが、アイランド工法の3つ目のメリットです。また、接合部を少なく済ませられることも、ゆるみにくさのもうひとつの理由であるといえます。
メリットの多いアイランド工法ですが、デメリットもあるので、把握しておくようにしましょう。デメリットは、施工期間が長くなりがちになるという点です。第一段階として中央に構造体を建築し、そのあと第二段階として斜面を掘削する作業に移ります。施工が2段階あるので、どうしても工事に多くの時間が必要になります。
また、打ち継ぎの作業をおこなわねばなりません。つまり、施工が2段階になる工法なので、硬化してしまったコンクリートの後に新しいコンクリートを打設する必要が生じるのが、デメリットと言えるかもしれません。
掘削面積が広い大規模な現場には、特にアイランド工法が適しています。中央部分は切梁を使用する必要がない施工方法であるため、言い換えると、現場の面積が広ければ広いほど、その分、アイランド工法の利点を活かした工事が可能になるということです。
掘削深さが浅い場合も、アイランド工法の利点を活かしやすくなります。浅ければ、先行施行部分で切梁が不要になるからです。つまり、効率よく掘削・鉄筋・コンクリート工事を進められます。反対に掘削深さが深い場合は、この工法の利点を活かしにくくなってしまう点が挙げられます。
もうひとつ、アイランド工法が向いているといえるのが、敷地内ギリギリまで建築をしたいケースです。中央部の構造物から切梁を斜めにつけて土留め・法面の掘削を進めながら、残りの構造物をつくる工法なので、敷地内いっぱいに建築できるのです。
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