ロードローラーは、地面を「ローラー」でしっかりと踏み固めるために使われる建設機械の総称です。さまざまな土木工事現場で使用され、特に道路の整備や補修工事においては欠かせない存在です。しかし、作業内容や地盤の状況に応じて、適切なタイプのロードローラーを選ぶことが重要になります。
本記事では、土木施工管理技士として知っておくべきロードローラーの種類や特徴について、詳しく解説していきます。
ロードローラーは、文字通り「道路(ロード)」を、重たい「ローラー」で転圧(踏み固め)して、平坦で丈夫な地面を作るための建設機械です。具体的には、アスファルトやコンクリートを均等に固めて路面の耐久性を高めるほか、軟弱な地盤を締め固めることで、道路や建物の基礎をしっかりと支える役割を果たします。
たとえば、新しく道路を舗装する際、アスファルトを平らにするためにロードローラーが使われますが、さらに下地である路盤も、この機械を使ってしっかり固めておくことで、長期間にわたって強度のある道路を保つことができるのです。
ロードローラーの種類や特徴を理解することは、土木施工管理技士にとって非常に重要です。それぞれの現場で適切な機械を選定し、効率的な作業を行うためには、ロードローラーの基本的な知識を身につけておく必要があります。
ロードローラーにはさまざまな種類があり、目的や作業環境に応じて使い分けることが求められます。ここでは、代表的なロードローラーの種類を紹介し、それぞれの特徴と活用方法について解説します。
タンデム式ロードローラーは、前後に1つずつ鉄製のローラーが搭載されたタイプです。簡単に言えば、車両の前輪と後輪を大きな鉄製のローラーに置き換えたような構造になっています。このタイプは、主に舗装の仕上げ作業で使用され、特にアスファルトやコンクリートを平らに固める作業に適しています。
タンデム式ロードローラーは非常に長い歴史を持ち、1923年の関東大震災後の復興工事でも大いに活躍しました。現在では、道路や駐車場の舗装工事、さらには高速道路の建設現場などでも広く使用されています。作業精度が高く、平坦な仕上がりが求められる現場で重宝されています。
マカダム式ロードローラーは、前方に2つの鉄製ローラー、後方に1つの鉄製ローラーを備えた3輪タイプのロードローラーです。マカダム式は、特に初期の締固め作業に向いており、道路の基礎部分や路盤の強度を確保するために使用されることが多いです。
このタイプも歴史が古く、100年以上前から日本国内の公共工事や道路建設で使われてきました。強い圧力を均等にかけることができるため、初期段階での地盤強化に非常に有効です。特に、路盤をしっかりと固めることで、その上に敷かれる舗装材が長持ちするため、道路の寿命を延ばす効果があります。
タイヤ式ロードローラーは、鉄製のローラーではなく、ゴム製のタイヤを使用するタイプのロードローラーです。日本国内では、前方に3つまたは4つのゴムタイヤを搭載したものが一般的に使われています。このタイプの最大の特徴は、鉄製のローラーと比べて振動や騒音が少ない点です。
特に、夜間作業や住宅地など、静かな環境が求められる場所で重宝されています。また、ゴム製タイヤは柔軟性があるため、路面の微細な凹凸にも対応しやすく、平らに仕上げる効果が高いです。そのため、仕上げ転圧作業や、騒音が問題となる現場でよく使用されています。
コンバインド式ロードローラーは、前方に鉄製ローラー、後方にゴム製タイヤを搭載したハイブリッド型のロードローラーです。このタイプは、1973年頃から日本国内で使われ始め、現在では幅広い土木工事現場で見かけることができます。
鉄製のローラーで地面を強力に転圧しながら、後方のゴムタイヤでさらに仕上げを行うため、安定した圧力をかけることが可能です。また、振動機能も備えており、振動を利用して地面をより効率的に締め固めることができるため、さまざまな地盤に対応可能です。粘土質の土や砕石など、複雑な地盤条件でも高いパフォーマンスを発揮します。
ハンドガイド式ロードローラーは、作業員がハンドルを持って手動で操作する小型のロードローラーです。その形状は手押し車に似ており、小回りが利くため、狭い場所や細かい作業に適しています。
たとえば、駐車場や歩道、住宅地の小規模な舗装作業などでよく使用されており、他の大型ロードローラーでは作業が難しい場所で力を発揮します。扱いやすいサイズと手軽さから、多様な現場で活躍しています。
ロードローラーを運転・操作するためには、適切な資格が必要です。基本的には「締固め用機械運転者」という資格が求められますが、さらにロードローラーのサイズや使用場所によっては自動車運転免許も必要です。以下でそれぞれの資格について詳しく解説します。
「締固め用機械運転者」は、ロードローラーのような締固め作業に使う建設機械を運転するための資格です。労働安全衛生規則によれば、「動力を使って自走できる締固め機械を操作するには特別教育を受けることが必要」と定められています。
特別教育を受講し修了することで、この資格を取得した作業員は、特定の機械に限らず、さまざまな種類の締固め機械を操作できるようになります。これは、ロードローラーをはじめとする建設現場での重機運転において必須の資格と言えるでしょう。
ただし、注意すべき点として、公道を走行する場合にはこの資格だけでは不十分で、別途、自動車運転免許が必要になります。
ロードローラーの一部には、建設機械としてだけでなく、車両としての扱いが必要なものがあります。特に、公道を移動する際には、ロードローラーのサイズや重量に応じた自動車運転免許を取得していなければなりません。
必要な自動車免許は、操作するロードローラーの種類やサイズによって異なりますが、一般的に以下の免許が求められます。
どの免許が必要かは、使用するロードローラーの仕様に応じて変わるため、現場の要件を確認し、適切な免許を取得することが大切です。特に、大型のロードローラーを扱う場合は「大型特殊免許」が必要になることが多いため、事前に確認しておきましょう。
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