トンネルの多いルートに日本の土木技術が光る
旅行や出張など、遠方へのスムーズな移動手段として欠かせないのが新幹線です。山間部の多い日本では、新幹線のルートはトンネルが多く、土木建設の活躍が大きいです。また、橋梁や土台部分などにも土木建設が大きく関わっています。今回は日本を代表する新幹線建設として、数年前に開通した北陸新幹線と、国を挙げてプロジェクトが進められているリニア中央新幹線の二つをピックアップしました。
4割がトンネルの北陸新幹線
2007年に群馬県の高崎駅~長野県の長野駅間で開通した長野新幹線が、2015年に石川県金沢駅まで延長して北陸新幹線となりました。これによって、東京~金沢間が2時間28分で行き来できるようになり、利便性が大きく向上しています。
ルート上は山脈が多いため、全行程の4割以上がトンネルとなっています。長野県と新潟県にまたがる飯山トンネルは全長が22キロメートルにも及び、日本で4番目の長さ。道路や鉄道問わずトンネルが多いため、高い技術を誇る日本のトンネル技術が活かされています。
湿った重たい雪が多く降る北陸地方では雪対策が欠かせません。高架の両側にある防音壁に斜めのひさしをつけることで、雪の侵入を軽減したり、線路を通常の新幹線よりかさ上げしたりといった工夫をおこなっています。また、スプリンクラーを設置して積雪を溶かすといった技術も使われています。
金沢以降の延長についても、福井県の敦賀までの延長が平成34年の完成を目途に計画されています。
最難関は、3県を通過する南アルプストンネル
東京と大阪をつなぐ新たな交通手段として開業を目指しているのがリニア中央新幹線事業です。開通すると合計約438キロメートルの東京大阪間を67分で移動することができます。
ルート上には南アルプスをはじめとする高い山々があり、全距離の80%以上がトンネルとなっていますが、中でも難工事と言われているのは長さ25キロメートルに及び山梨県・静岡県・長野県の三県を通過する南アルプストンネル。多くの断層があると予想され、トンネル工事中の湧き水や複数の地質条件など様々な懸案事項があります。
このような問題は実際に掘ってみないと分からない部分が多いため、本番用のトンネルを掘る前に「先進坑」と呼ばれる作業用トンネルを掘り、平行して本トンネルも進めていく方式を採用しています。
先進坑の掘削には水平ボーリングと呼ばれる技術が用いられます。先進ボーリングは長い距離を予定通りに掘り進めるのが難しいと言われており、距離の長い南アルプストンネルの高難易度の一因となっています。JR東海をはじめ、工事に取り組むゼネコンなどの協力業者は、数年前から山梨県内で調査坑を掘り進め、技術を磨いて準備してきました。
また、湧き水を止める薬液注入工法、岩盤を搬出する技術、トンネル内部をコンクリートで覆う工法など、日本が誇る最新のトンネル技術を集めて工事が進められます。
リニア中央新幹線は国、民間の総力をあげてのビッグプロジェクトですが、全線開通時の経済効果は数十兆円といわれておりかなりの規模。現在約2時間30分かかっている東京・大阪間が半分以下の所要時間になるため、利便性の向上も期待できます。遠く離れたエリアとの距離感が縮まるため、私たちの生活にも大きく影響があるかもしれません。
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