慢性的な人手不足に陥っている建設業界。人手不足の原因のひとつに、労働環境の悪さが挙げられます。建設業界は平均給与が低いにも関わらず、長時間労働が常態化していて残業や休日出勤も多く、会社によっては休みもほとんど取ることができません。このような労働環境により、建設業界は3K業界の代表格と言われるようになってしまったのです。
そこで建設業界ではマイナスイメージを払しょくするため、国土交通省主導で「新3K」という取り組みをはじめました。ここでは、従来の3Kと新3Kの違いや、新3Kに実現に向けた取り組みについて紹介していきいます。
従来の3Kは「きつい」「汚い」「危険」という3つの頭文字(K)が当てはまる労働環境のことを指していて、1980年代のバブル期頃から使われ始めたと言われています。
一度ついてしまったイメージはなかなか払拭できず、今でも「建設業界=3K」というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。またテクノロジーの進歩によって変化していく社会の中で、体を使ってリアルに作業を行う建設業に対し抵抗を感じてしまう人も多いのが現状です。
しかし、建設業は人々の暮らしの中で必要不可欠な職業であり、オフィスも商業施設も、今住んでいる家も建設業をなくして成り立ちません。日本の建設業の水準は高く、日本の素晴らしい技術を継承するためにも建設業の担い手の確保は重要な課題となっています。
従来の3Kのイメージを払しょくすべく、建設業は現在働き方改革を実施中です。国土交通省が主体となり、3Kから新3Kへ変化していっています。現場作業員のワークバランス改善に努め、休日を増やして賃金水準を確保するなど、より働きやすい職場環境づくりに乗り出しました。新3Kと呼ばれる「給与」「休暇」「希望」について紹介します。
建設業界の給与面を改善させる取り組みとして、「労務費見積もり尊重宣言」推進モデル工事が行われています。この取り組みは一般社団法人日本建設業連合会が発表したもので、下請け企業からの労務費見積を尊重する企業を総合評価や成績評定において優位に評価するというものです。建設業界に携わる人の賃金を、全産業労働者平均レベルに近づける目的で作られました。
CCUS(建設キャリアアップシステム)の使用を義務化させ、目標の達成状況によって成績評点の加減点を行うモデル工事も行われています。
直轄工事では週休2日を確保できるよう、適正な工期設定や経費補正を実施することを提示しています。建設業界では、2024年4月から時間外労働の上限が規制されるようになりました。
今までは36協定を締結し、さらに特別条項を締結すれば実質無制限の労働が可能でしたが、今回の規制により時間外労働は年720時間以内などの制限が設けられるようになります。この規制を踏まえ、計画的に取り組みを推進していくことが求められているのです。
3つ目の希望は、建設業界を希望が持てるような業界にしたいという願いが込められています。希望を持つための取り組みのひとつが「i-Construction」の推進です。これは必要経費の計上だけでなく総合的な評価や成績評定の加減点が可能な「ICT施工」を推進する取り組みで、建設業界全体の生産性向上を図ることを目的としています。
さらに、改正品確法の内容を踏まえた中長期的な工事発注の見直しが2020年度に作成・公表されました。また、既存の建設業界をリブランディングするため、誇り・魅力・やりがいなどに関する提言が取りまとめられています。
「給与」「休暇」「希望」の3Kを実現するため、現在建設業界が一丸となって取り組みが進められています。新3K通りに改善するためにはやらなくてはいけないことが多く、各企業の努力が必要不可欠です。
休日や休暇の確保や給料制度の見直しなど、新3Kを実現させるためには人材確保がしやすい労働環境への改善活動を企業が積極的に行うことが重要です。
建設業界の慢性化している人手不足を解消するためには、「新3K」による働き方改革を実践していくことが大切です。IT技術の導入や誰でも働きやすい環境を整え、建設業界へのイメージ改革をしていくことが求められています。今後「建設業で働くのが格好いい!」という若者や子供が増えれば、将来的に建設業界は活性化していくでしょう。
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