防水工事は雨水や地下水の浸入を防ぐための工事であり、地上の建物でも地下の構造物でも幅広い工事で重視される工程です。このページでは、土木施工管理技士として理解しておかなければならない防水工事の基本や防水工事の種類などについてまとめました。
防水工事とは文字通り水の浸入(浸水)を防ぐための工事です。屋根や屋上に施工して雨漏りを防いだり、基礎や地下の構造体に施工して地下水の浸入や水による劣化を防いだりと、色々な目的や部位で採用されます。
また、多種多様な場所や目的で利用されるからこそ、防水工事には複数の種類があり、それぞれの状況や環境に応じて適切な防水工事の方法を選択しなければなりません。
なお、防水工事によって防水性を得られたとしても、一般的に防水性は恒久的なものでなく経年劣化によって性能低下してしまいます。そのため、防水機能や防水性が劣化する前に、定期的なメンテナンスによって機能を維持することも大切です。
防水工事の目的は「水の浸入を防ぐこと」ですが、突き詰めれば水が浸入することで建物の劣化が早まったり、汚れたり、あるいはカビの発生を防ぐといったことも目的として挙げられます。
なお、実際には施工する対象物や場所、浸水が予想される水量などによって色々な条件が付くこともポイントです。
例えば建物の屋上で防水工事を行う場合、雨風による雨水の浸入を防いで、室内への雨漏りを予防するといった目的になるでしょう。あるいはコンクリートの耐久性・耐候性を向上させるため、コンクリート製の建築物に施工する場合もあります。
その他、貯水槽やプールを作るような場合、水を溜める場所から他の部分へ浸水していかないよう施工するといったことも考えられます。
密着工法とは、防水層を幾層にも重ねて下地へ密着させることで、浸水を防ぐ防水工事の工法です。住宅やマンションのベランダやバルコニーにおいて利用されます。
密着工法の流れは一般的に以下のようなものになります。
絶縁工法は、下地との上に空気が流れる通気層を作ることで、対象への水の接触を回避する工法です。絶縁工法では下地と対象物との間に距離があるため、下地に多少の損耗や経年劣化があっても防水性を維持できます。ただし、下地から蒸発してきた水分が通気層に溜まるため、適切に廃棄して湿度を逃がすことが必要です。
一般的に活用されている防水工事として、以下の4種類が挙げられます。
防水工事として古くから利用されている方法であり、道路の舗装にも使用されるアスファルトを防水材として使った防水工事です。
具体的にはアスファルトを熱して高温にし、溶融したアスファルトを対象部位へ流し込んで固めることで防水層を構築します。また、アスファルトをあらかじめシート状にしておき、対象部位へシートを敷いてからトーチであぶって防水層を作るといったトーチ工法も有名です。トーチ工法は建物の屋上防水などに利用されます。
化学反応によって硬化するウレタン樹脂を防水材として利用し、ウレタン樹脂を塗り重ねることで防水層を構築していく方法です。ウレタン樹脂やペンキのように塗れるため、防水性を獲得させたい場所で塗り重ねることが基本作業となりますが、一方で十分な防水性を獲得させるには適切な厚みを確保しなければならず、ウレタン防水工事を理想的に仕上げようと思えば技術が必要となります。
現代では化学反応で生じる有害物質を使用しない安全なウレタン防水材も開発されています。
防水性のある塩ビシートを貼り付けて防水層を構築する防水工事です。塩ビシート自体は工場で製造されるため、現場でシートを敷いて貼り付けるだけで防水層を作れる簡便さがメリットです。
反面、規格品の塩ビシートを利用するため、複雑な形状の部位には使用しにくい点がデメリットです。
ガラス繊維を混ぜて強度を高めたプラスチック樹脂(FRP)を防止剤にする防水工事であり、FRPは高硬度と軽量性の両方を備えているため、軽さと強度と防水機能をまとめて獲得したい場所などに利用されます。
上記の4種類を組み合わせることでより高品質な防水性を確保したり、部位によってそれぞれの防水工事を使い分けたりと、メリットを追求しつつデメリットを回避するといった混合タイプの防水工事も幅広く活用されています。
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